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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編
404/672

四〇四話 ヒート・オーバー


ソラの攻撃によりダメージを受けるバローネと吹き飛ばされたヒューリー。


攻撃したソラは炎魔劫拳によって変化した両腕に紅い炎を纏わせながら敵の動きを見ており、ソラの視線を感じたバローネは彼の先程の言葉に対して質問をした。


「キミはおかしなことを言うね。

姫神ヒロムと戦えるように鍛えてる?

なぜ守るべき相手と戦う?なぜ傷つけることを?」


「は?」


「姫神ヒロムと戦えるようにということは姫神ヒロムと互角に渡り合えるようになるためだろ?

なぜ……」


バカか、とソラはバローネに接近すると拳撃を放ち、放たれた拳撃を受けたバローネは怯んでしまう。


「がっ……」


「勘違いすんなよ?

オレの言うヒロムと戦えるようにってのはアイツを倒すためじゃねぇ。

万が一また闇に囚われて暴走した時に止めるため、飾音やゼアルの時はアイツの背中を見てるだけだった自分を変えるため……次こそはアイツと肩を並べて敵を倒すためだ!!」


ソラは次々に紅い炎を纏わせた攻撃を放ち、放たれた攻撃は次々にバローネの体に命中して負傷させていく。


「くっ……」

(攻撃が……彼の攻撃が放たれる度に威力を増している!!

これが彼の心の……覚悟の力か!!)


「オラァ!!」


ソラの攻撃に追い詰められ、追い詰められる中で彼の力に驚かされるバローネは防御する時間すら与えられずにソラのさらなる一撃を受けて吹き飛ばされ、そしてバローネは負傷しめ膝をついてしまう。


「ぐっ……」


「シンクの時はどうにかして逃げたらしいが、オレは甘くない。

シンクは情報を聞き出すことも算段に入れてるらしいが……オレは敵の話を聞くほど猶予は与えないからな」


膝をついたバローネに対して自らが敵を確実に仕留めようとする強い意志を持っていることを告げるとソラは拳に紅い炎を纏わせ、そしてバローネに攻撃するためにゆっくりと動き出す。


「オマエらがいたらヒロムは安心できない。

だからオレが……ここで殺してやる」


バローネに接近する中でソラは彼を殺すことを宣告するが、宣告されたバローネはとつぜんソラに向けて何かを話し始めた。


「……殺す、か。

私一人を殺したところでバローネの存在は終わらないんだがな」


「終わるさ、オマエはここで……」


「いいのか?

真実を知れなくなるぞ?」


「ヒロムを狙う敵を始末すればいいだけの話だ」


「違うな。

何故ここを奇襲したのか……だ」


「……!!」


バローネの一言、ここを襲った理由というのが気になったソラは動きを止めてしまう。


倒せばいいと口にしていたソラだったが、バローネがここで「七瀬」を奇襲したことについて理由があるかのように言ったのが気になったのだ。


「……ヒロムやシンクを狙ったようにここにもそれに似た理由があるってのか?」


「そうだ。

私たちが何の意味もなく襲撃したと思うのか?」


「奇襲か襲撃、ハッキリさせろ」


「どっちでもいいことだ。

「七瀬」を失えばキミたちは頼るものは無くなる。

心の拠り所があったとしても自分たちの力になる存在がなくては戦いたくても戦えない」


「ヒロムを手にするために外堀から壊してくって作戦か。

だが残念だったな……オマエらの企みはオレが阻んだ」


「ああ、おかげで狙い通りだ」


「……?

オマエらはオレに…………まさか!!」


バローネの一言に違和感を感じたソラ。

そしてその違和感の正体に気づいたソラは慌ててバローネを攻撃しようとするが、ソラが拳撃を放とうとすると先ほど吹き飛ばされたはずのヒューリーがソラの拳を握り掴んだ。


「っ!!」


『アップグレード完了。

「炎魔」の能力に対する実戦データの集計が完了。

出力上昇三十八パーセント、耐炎モードへとシフト』


ヒューリーとバローネの鎧のバックルが電子音が鳴るとメッセージが流れ、それを聞いたソラは舌打ちをするとヒューリーの腕を振り払って蹴りを放つが、ヒューリーは蹴りを受けても動じず、それどころか蹴りを放ったソラを殴り飛ばしてしまう。


「……!!」


「耐炎モードを搭載しておいてよかった。

バローネが氷堂シンクの一戦で各能力に耐性のあるモードをインプットするように進言しなければオレは倒れていた」


「……クソが。

時間稼ぎか」


殴り飛ばされたソラは立ち上がるとバローネを睨み、膝をついていたはずのバローネは何も無かったように立ち上がるとソラに向けて話し始めた。


「キミが攻撃の手を止めたからだ、相馬ソラ。

キミが躊躇わずに、私の言葉に耳を傾けなければこんなことにはならなかった」


「……」


「さて、ヒューリー。

そろそろ私たちの目的を果たそう」


「そうだな。

全ては革命のため、愚かなガキはここで……」


ヒューリーが言葉を発しているとソラは全身から紅い炎を放出し、両腕の「炎魔劫拳」を炎に変えて一体化させると瞳を紅く光らせる。


そして……


「仕方ねぇ。

プラン変更だ」


『……そのようだな』


ソラの言葉に反応するように炎の中から声が響き、そして紅い炎の中から真紅の甲殻に全身を覆われた赤い鬼が現れて雄叫びを上げ、雄叫びを上げると紅い炎は鬼の体に吸収されていく。


「あれは……」


「そう来たか……イグニス」


ヒューリーとバローネは現れた赤い鬼を警戒するように構え、現れた鬼は首を鳴らすとソラに話しかける。


「あれが今回の敵か?」


「ああ、イグニス。

どうやらオレ一人では分が悪い。加勢してくれるか?」


「……オマエの頼みなら断らねぇよ。

ただ……加減しなくていいんだよな?」


もちろん、もソラは赤い鬼……「炎魔」の魔人・イグニスに向けて伝えるとイグニスは全身に紅い炎を纏いながらヒューリーを睨んだ。


「ならあの白いヤツを焼き殺す」


「助かる。

ならオレはオレの失態を挽回する」


ソラはバローネを睨みながらイグニスに言うが、それを聞いていたバローネはソラに向かってある事実を伝えようとした。


「キミは分かっていないようだね。

例え「炎魔」の魔人を呼んだとしても私たちの耐炎モードは超えられない。

あらゆるデータを元に作成されたこの耐炎モードはキミたちでは超えられない」


「それは……どうかな?」


「何?」


「オマエらのその耐炎モードが防げたのは所詮はオレ一人の力。

オレとイグニスの力の前では通じない可能性があることを忘れるな」


「……面白い。

なら試してみろ!!」


ソラの言葉を受けたバローネは武器を構えると走り出し、ヒューリーも拳を強く握るとイグニスに向けて走り出す。


二人の敵が走り出すとソラとイグニスも動き出し、ソラは全身に炎を纏うとバローネを迎え撃とうと蹴りを放ち、イグニスは紅い炎を纏うとヒューリーに殴りかかる。


が、バローネはソラの蹴りを華麗に避けると蹴り返し、ヒューリーもイグニスの拳を掴むとイグニスをボールのように投げ飛ばしてしまう。


「その程度では私たちには通じない!!」


「……なら試してみろ!!」


ソラは右手に炎を集めると巨大な炎の玉を生み出し、生み出した炎の玉をバローネの方に向けて放つ……と思われたが、ソラの放った炎の玉はなぜかヒューリーの方に向かっていく。


「なっ……」

(何故私ではなくヒューリーの方に?

こんな不意打ちにもならない攻撃を……)


「いい攻撃じゃねぇか」


バローネがソラの放った炎の玉を不思議に思っているとイグニスが炎の玉を邪魔するように立ちはだかり、そしてイグニスは炎の玉に右手を突っ込むと全身に炎を吸収していく。


炎を吸収したイグニスは力が増したのか殺気が増し、それを感じたヒューリーはイグニスを始末しようと殴りかかる。


……が、イグニスはヒューリーの拳を簡単に止めるとヒューリーを蹴り飛ばし、続けて無数の炎弾を放つ。


……のだが、こちらもなぜか目の前の敵ではなく何故かバローネに向けて放たれる。


「何故オレを攻撃しない……!?」


「……見てりゃ分かる」


イグニスが指を鳴らすとソラが炎弾の前に現れ、現れたソラは右手をかざすと炎弾をすべて右手へと吸収してしまう。


「はぁぁぁあ!!」


続けてソラはイグニスに向けて炎を放ち、この炎をイグニスが吸収するとソラに向けて炎弾を放ち、ソラも負けじと吸収していく。


「何をしている……!?」


「一体何を……」


バローネとヒューリーはソラとイグニスの不可解な行動に戸惑うが、ソラとイグニスは全身から強い殺気と紅い炎を放出すると音も立てずにバローネとヒューリーに接近する。


「何!?」


「いつの間……」


「「オラァ!!」」


一瞬で迫った二人にバローネとヒューリーは驚いて反応が遅れ、その二人に向けてソラとイグニスは炎を纏った拳撃を放って敵を大きく吹き飛ばす。


吹き飛ばされたバローネとヒューリーは受け身を取るが、何が起きてるのか分からなかった。


「くっ……」


「何故ヤツらの力が増した!!」


「教えてやるよ」


イグニスはヒューリーに接近すると何度も敵を殴り、さらに頭を掴むと腹を何度も何度も殴り、そして顔面に蹴りを叩き込むと続けて鋭い爪で鎧を引き裂くかのように斬撃を放っていく。


「ぐっ……!!」


「オレとソラはオマエらの使うアップグレードについて話を聞いた時、イクトが倒した「竜鬼会」の蒼牙と紅牙のことを思い出した。

互いの炎を吸収しながら力として蓄え、そしてそれを用いて全スペックを底上げする」


「まさか……オレたちの真似を……!?」


「真似じゃねぇよ。

ヒートオーバー、オレたちがオマエらを殺すために生み出した新技だ!!」


イグニスは紅い炎を強く纏うとヒューリーを殴り飛ばし、そしたヒューリーに無数の炎弾を叩き込む。


「ガァァァア!!」


炎弾を叩き込まれたヒューリーは炎に焼かれながら苦しみ、それを目の当たりにしたバローネは驚きを隠せなかった。


「バカな……!!

何故耐炎モードが機能しない!?」


「機能してるはずだ。

オマエらの用意した力はな」


ソラは驚くバローネに向けて言うが、それを聞いたバローネはソラに反論した。


「耐炎モードが機能してるのならキミたちの炎は通用しない。

なのに何故……」


「オマエらが耐炎モードを発動させたのはアップグレードが完了してからだろ?

そのアップグレードした際のオレの火力を最大だと勘違いしてなかったか?」


「まさか……」


「仕掛けさえ分かれば簡単な話だ。

アップグレードがこっちの全てを受けて学習して上書きする力なら上書きする内容をこっちで操作すればいい。

火力を抑えて圧倒し、圧倒されたことで発動するアップグレードにあれが最大出力だと勘違いさせてな」


ソラの説明を受けたバローネは言葉を失っていた。

万が一に備えて用意した炎対策の耐炎モード。

だがソラはその万が一さえも上回るレベルの先読みでアップグレードを攻略してきたのだ。


「バカな……」


「一か八かの賭けだったが、三十八パーセントって聞いたときにオマエらのアップグレードはあと半分程度しか出力を上げれないとわかったからヒートオーバーを使った。

そしてオレの読みが正しければ……アップグレードは連続で発動しない」


「そこまで……」


「さて……今度こそ殺してやる」

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