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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天醒乱舞編
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三八八話 バローネの囁き


「何言ってやがる……?」


突然現れた謎の騎士の言葉に困惑を隠せないシンク。


困惑するシンクに向けて謎の騎士は続けてかれにある事を伝え始めた。


「キミが求めるものは今いる場所にはない。

我々のもとに来ればキミの求めるものが手に入る」


「……オレが求めるものってのをオマエに理解出来んのか?

えっと……」


「バローネ、通りすがりの正義だ」


「通りすがりの正義……?」

(コイツ、見た目だけじゃなくて頭の中もふざけてんのか?)


目の前の謎の騎士……バローネの存在と言動に不信感しかないシンクは纏う冷気を強くさせるとバローネを倒そうとするかのように構える。


シンクの構える姿を見たバローネは首を傾げ、そして不思議そうに彼に問いかける。


「何故構える?

私に戦う意思はない」


「オマエになくてもオレにはある。

オマエのような怪しい輩を信用するのは無理な話だからな」


「……つまり、交渉決裂か」


「最初から何も交渉してねぇけどな!!」


シンクは冷気を纏いながら両手をかざすと無数の氷柱を出現させ、出現させた無数の氷柱を矢のようにバローネに向けて撃ち放つ。


放たれた氷柱は回転しながらバローネに迫っていくが、バローネは弓に魔力を纏わせると魔力を鋭くさせ、鋭くなった魔力を纏った弓を刀剣のように振るとシンクの放った氷柱を全て破壊してしまう。


「……見た目に反して実力はそこそこあるようだな」


「心外だな。

わたしはこのビジュアルをかなり気に入ってるのだがね」


「そうかよ」


シンクが指を鳴らすとバローネが破壊した氷柱の破片が冷気に変化し、変化した冷気は新たな形を得ていくと数体の郡の龍へと形成されていく。


「これは……」


「噛み砕け!!」


シンクが叫ぶと氷の龍が一斉にバローネに噛みつこうと襲いかかる。


……が、バローネは巧みな足さばきとそこから繰り出される華麗な動きを駆使して氷の龍の攻撃を避けると天に跳び、右手で弓を構える。


バローネは左手に魔力を纏わせるとその魔力を矢に変えて弓に添え、そして目にも止まらぬ速さで矢を放つと氷の龍を全て射抜き、粉砕してしまう。


「……」


「さすがは氷堂シンク。

優れた造形技術を持っているようだな」


「……オマエのような得体の知れぬヤツに褒められても嬉しくもないが、褒め言葉として一応受け取っておこう」


だが、とシンクは冷気をさらに強く纏うと周囲に吹雪を発生させ、そして発生させた吹雪の中で氷の剣を二本造るとそれを装備する。


季節外れの吹雪、それに見とれるバローネはどこか余裕があるように見える。


「この時期に吹雪とは珍しいものが見れた」


「いちいち風流感じてる暇あるとは……随分余裕だな!!」


余裕を見せるバローネに向けてシンクは走り出すと氷の剣を構え、バローネとの距離を縮めると剣を強く握って勢いよく振り下ろした。


シンクが氷の剣を振り下ろすとバローネはそれを魔力を纏わせた弓で防ぎ、二人の武器がぶつかって距離が近づくとバローネはその状態のままシンクに向けて話し始める。


「余裕があるのは当然だ。

私はキミと違って迷いはない。

迷いや悩みのある今のキミでは私の力には遠く及ばない」


「迷い?悩み?

何の話か知らねぇがオレには関係ない!!」


あるさ、とバローネをシンクの氷の剣を弓で砕くとシンクに蹴りを入れ、そして弓を構えるとシンクに向けて魔力の矢を撃ち放つ。


放たれた矢はシンクに向けて飛んでいくが、シンクは冷気を纏わせた右手で矢を掴むと凍結させ、凍結させた矢を握り潰すと受け身を取って構え直した。


そんなシンクに向けてバローネは先程話していたことについて話した。


「キミは今何のために闘い、誰のために尽力するか迷いを抱いている。

そんなキミの攻撃が私に通じるはずがない」


「迷ってる?

オレが?

……笑わせるな!!」


シンクは冷気を強く纏うとバローネに接近して拳撃を放つが、バローネはその拳撃を弓を盾に防ぐ。


だがシンクは弓で防いだバローネを力で押し切ろうと拳に力を込めていく中でバローネに向けて自身の胸に秘める思いを語った。


「誰のために尽力すべきかは既にハッキリしている。

何のために戦うかもハッキリしている……!!

オレが戦うのは……ヒロムのためだ!!」


「分かっていないな。

キミはいつもそうやってことある事に自分の戦う理由をあの男に見出しているがキミの意思はそこにあるのか?

キミは真の意味で戦いたい理由を見出していない、違うか?」


「そんなわけ……」


シンクがバローネに反論しようとするも衝撃波がシンクに襲いかかり、衝撃波に襲われたシンクは勢いよく吹き飛ばされてしまう。


「がっ……!!」


「楽しそうだな……」


シンクが吹き飛ばされて倒れると魔力の矢に肩を射抜かれたはずの獅角がシンクに向けて右手をかざしており、獅角が右手に魔力を纏わせると無数の衝撃波がシンクに向けて放たれる。


シンクはすぐに立ち上がると氷の壁を生み出して衝撃波を防ぎ、シンクが衝撃波を防ぐと獅角は首を鳴らしながらシンクに向けて話し始めた。


「オマエ、オレのこと忘れてねぇよな?」


「……まだ生きてたのか。

しぶとい野郎だ」


「オマエを倒さなきゃ手ぶらで帰ることになるからな。

何がなんでもオマエを倒してその首をもらう!!」


獅角は全身に魔力を纏わせると体を肥大化させ、肥大化させた体は二メートルを簡単に超えるほどの全長に達すると獅角の体は獅子の獣人へと姿を変え、そして爪や牙が鋭くなると獅角は雄叫びを上げる。


同時に獅角が獣人へと変化すると彼の肩の傷が消え、さらにはシンクの「ダイヤモンド・パニッシュ」の一撃によるダメージも何事もなかったように消えてしまう。


「……獣人ってのも厄介だな」


「オマエのような氷だけの能力者には出来ぬ芸当。

これで勝負は……」


獅角がシンクに何か言おうとするとそれを邪魔するかのようにバローネは獅角に向けて魔力の矢を撃ち、魔力の矢を放たれた獅角は衝撃波を放つことで魔力の矢を破壊する。


魔力の矢を破壊した獅角は眉間にシワを寄せながらバローネを強く睨み、そしてバローネに向けて強く言い放った。


「邪魔をするな。

オマエの相手はヤツを始末した後でゆっくりとしてやる」


「それは困るな。

私の目的は氷堂シンクにある。

獅角、オマエにはないんだ。

……失せろ」


「失せろとは失礼な野郎だな。

……テメェの方が失せろ!!」


バローネの言葉に激昴すると獅角は全身に魔力を纏いながら一瞬でバローネに接近して殴りかかるが、バローネは獅角の攻撃を片手で止め、そして獅角の顔面に蹴りを食らわせる。


……が、獣人となった獅角の全身の強度の前ではバローネの蹴りは通じないのか獅角はビクともせず、蹴りを受けた獅角は不敵な笑みを浮かべていた。


「……何かしたか?」


獅角は不敵な笑みを浮かべながら拳を強く握るとバローネに殴りかかるが、バローネは両足に魔力を纏わせると高く跳んで回避してしまう。


「……なるほど、厄介だな。

だが……脆い」


バローネは弓に魔力を纏わせると矢を出現させ、そして出現させた矢に風を纏わせながら撃ち放つ。


撃ち放たれた矢が纏う風は弓から矢が放たれると竜巻へと変化し、竜巻を纏った矢は獅角を射抜こうと迫っていく。


だが獅角は右手の拳を強く握ると魔力を集中させ、集中させた魔力を獅子の頭の形へと変化させていく。


「……レグルス・ブラスト!!」


獅角が右手の獅子の頭の形の魔力を解き放つと獅子の頭が巨大化して砲弾のように放たれ、放たれた獅子の頭の形の魔力が竜巻纏う矢を相殺してしまう。


「……なるほど。

オマエへの認識を改める必要があるな」


獅角の一撃を見たバローネはその「一条」の強さから自身の獅角に対する認識を改めようと口にするが、それを聞いた獅角は何も言わずにバローネに向けて続けて獅子の頭の形の魔力を放っていく。


放たれた攻撃は次々にバローネに襲いかかるもバローネはそれらを華麗な動きで回避し、バローネが回避した獅角の攻撃は軌道を変えるとシンクに向けて飛んでいく。


「このっ!!」


シンクは無数の氷の矢を出現させると獅角の放った獅子の頭の形の魔力に向けて撃ち、撃った氷の矢は魔力を撃ち抜くと獅角に迫っていくが、獅角は拳で全て破壊してしまう。


「油断してたのかシンク?

オマエはオレの標的だということを忘れるなよ」


「別に忘れてねぇ。

ただ……今オマエのことは眼中に無い」


「オマエ……!!」


その通りだ、とバローネは獅角に向けて次々に矢を放ち、獅角は迫る矢を破壊しようとする。


……が、獅角が破壊しようとするとバローネの放った矢は突然炸裂し、炸裂した矢は無数に分裂すると獅角の体を次々に貫いていく。


「何……!?」


「残念だが獅角、オマエの行動にたいする処置法は全てアップグレード済みだ。

力任せのオマエではもうオレには勝てない」


「き、キサマ……!!」


体を矢に貫かれた獅角がバローネを睨みつけているとシンクが氷塊を放ち、放たれた氷塊は獅角に激突して彼を吹き飛ばす。


「!?」


吹き飛ばされた獅角は地面を何度も転がると倒れ、そして氷塊は例気になると倒れた獅角の動きを封じるように

まとわりつき、そして獅角の体を包むと敵の肉体を巻き込むように凍結していく。


冷気が凍結して氷となったことで身動きが取れなくなった獅角に向けてシンクは睨むような視線を向けながら言葉を発した。


「油断してたのか獅角?

さっきのお返しだ」


「オマエ……!!

この氷を……」


「オマエは眼中に無い、二度も同じ事言わせんな」


シンクが指を鳴らすと獅角は全身は凍りつき、そして瞬く間に獣人の氷塊へと変わり果てる。


獅角が氷塊に変わり果てるとシンクは小さなため息をつき、視線をバローネに向けた。


「これで邪魔はなくなった。

心置き無く……オマエを倒せる」


「間違えないでもらいたい。

キミは戦いで答えを出すのでなく、わたしと来るかどうかを言葉で……」


必要ない、とシンクは冷気を纏うと氷の翼と氷の尾を纏い、そして両腕両足を氷で覆い爪を鋭くさせると口元を氷のマスクで覆い隠し、そして髪を逆立たせるとバローネに向けて強い殺気を放つ。


「オレが語るのは力という言葉のみ。

オマエが生きてオレを倒せたなら……仕方なく話を聞いてやる。

だがオマエがオレを倒せないのなら……凍てつく氷の中で失せろ!!」

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