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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
竜装魂霊編・王導開闢
340/672

三四〇話 エンド・ディメンジョン


ガイ、ソラ、イクト、シオンの猛攻を耐え凌ごうとしたウルはガイとソラの連携によって負傷してしまい、ガイたちは追撃しようと動き出す。


ウルはソラの炸裂した炎弾によって負傷した体をドス黒い魔力で再生させるかのように傷を消そうとするが、それを阻むようにソラはビーム状の紅い炎を連続で放ち、放たれた紅い炎を前にウルは避けることを専念させられる。


「この……!!」


どうにかして傷を治そうとしたいウルはソラの攻撃を避ける中で隙を窺うように神経を張り巡らせるが、それすらも拒むようにガイが斬撃を放ち、さらにはシオンは雷を無数の矢に変えてウルに撃ち放つ。


放たれた斬撃と雷の矢を前にして隙を狙う余裕すらなくなるウル。


「次元竜」のウルと名乗っていたウルは竜装術を発動させたにもかかわらずその名に相応しい戦いを披露しない。


空間に干渉して移動したり攻撃を飛ばしたりしていた力を最大限に発揮出来るはずの竜装術を発動したはずなのに力を最大限に使おうとしない。


いや、使えないだけかもしれない。

今のウルはガイたちを前にして追い込まれている。

だからこそ使えないのかもしれない。


が、使えないのならばガイたちにとっては好都合。


「イグニス!!

ミサイル発射!!」

『任せろ!!』


ソラが叫ぶと武装として纏われているイグニスが返事をし、イグニスが返事をするとウルに一部破壊された武装の装甲が開き、そこから無数の小型ミサイルが発射される。


発射された小型ミサイルはウルに向けて飛んでいくとその過程で外部の装甲がパージし、中より無数の炎の極小ミサイルを出現させてウルにおそいかからせる。


炎の極小ミサイルはウルに襲いかかると周囲を爆炎で焼き、そしてウルはその炎から逃れようと翼を広げて飛翔する。


が、ウルが逃れようとした爆炎はまるで意思を持つかのように動くとウルに向けて炎弾を放ち、ウルの竜装術の翼を破壊しようとする。


「しつこい攻撃だ……!!」


迫り来る炎弾を回避していくウルだが、避けきれなかった数発の炎弾が彼の翼の一つに命中して焼き壊そうとする。


「この程度!!」


ウルは自身の身に炎が燃え移らぬように翼の周囲の空間を歪め、炎を焼き壊されそうになる翼ごと空間の歪みの中に消し去り、彼は残った翼を大きく広げて光を放つと爆炎を空間の歪みへと消していく。


そして反撃と言わんばかりにウルは空間を大きく歪めると空間の歪みから巨大なビーム状のドス黒い魔力を掃射してソラを襲わせる。


「イグニス、加速し……」

『ダメだ、間に合わ……』


回避しようとするソラの行動は間に合わず、ドス黒い魔力はソラを襲い、魔力に襲われたソラは傷つきながら巻き上がる戦塵の中に隠れてしまう。


「ソラ!!」


負傷したであろうソラを心配して助けに向かおうとするガイだが、そのガイを邪魔するようにウルは彼の周囲の空間を歪めると彼の体を串刺しにしようとするかのように無数の剣を放つ。


ガイは手に持つ二本の霊刀に蒼い炎を纏わせて放たれた無数の剣を斬り壊していくが、空間の歪みはガイが剣を破壊していくなかで歪んでいく空間の範囲を広げていくとまるで無限にあるかのように次々に撃ち放っていく。


「はぁぁあ!!」


「ガイ!!」


次々に放たれて襲いかかってくる剣を止まることなく破壊していくガイ。


そんなガイを助けようとイクトは背中に纏う結晶の翼から紫色の光の粒子を大量に放出するとそれを誘導兵器・ビットのようにしてガイのもとへ向かわせるとガイを助けるようにウルの歪めた空間から放たれる剣を破壊していく。


粒子は光を放ちながら剣を破壊してガイを手助けし、それでも止まらない剣の雨に全ての粒子はガイの周囲を勢いよく回ることで竜巻のようになって迫り来る剣を弾きながらガイを守っていく。


「ガイ、今のうちに体勢を立て直……」


無駄だ、ウルが指を鳴らすと空間の歪みから剣は放たれなくなるが、剣の代わりに先程ウルに襲いかかっていたソラの爆炎が放たれてイクトの光の粒子諸共ガイを飲み込んでいく。


「ぐぁぁあ!!」


「ガイ!!」


「油断する余裕があるとはな」


ウルが再度指を鳴らすとイクトの頭上……天高くの空間が歪み、歪んだ空間に光が集まっていく。


集まった光は炎を超えるのではないかという規模の熱量を持っており、それを見たイクトはウルが何をしているのかをすぐに理解してしまう。


「まさか……太陽光を攻撃に……!?」


「気づくのが遅い」


ウルが呟くと天の歪んだ空間に集まった光が解き放たれ、超高温の熱線がイクトに襲いかかる。


太陽光という未知の領域にも近い熱の攻撃に対してイクトは慌てて黒炎を纏って逃れようとするが、放たれた熱線はイクトが逃げようとするよりも早く彼を飲み込むと彼を焼き殺そうとする。


「がぁぁぁあ!!」


「空間を支配することで太陽光線を一点に集めて敵を焼き殺すという芸当も可能なんだよ」


「オマエェェ!!」


ガイ、ソラ、そしてイクトが敵の攻撃を受けたことにより残されたシオンは「雷帝王」の力を纏いながら落雷と同等の速度でウルに接近して敵に攻撃を放つが、ウルはシオンの放つ攻撃を全て右手だけで簡単に防ぐとシオンに蹴りを食らわせる。


「ぐっ……!!」


「どれだけ強くなったところでそれを先に晒したのはミスだったな。

オマエたちの全てがそれなら……オレの力はまだ残っている」


「隠してたのか……!?」


「当然だ。

手の内を晒すのは弱者が強がる時にすることだからな」


ウルが指を鳴らすと彼の翼が光を放ち、放たれた光が炸裂するとシオンを吹き飛ばしてしまう。


「ぐあっ!!」


「だが追い詰められているのは確かだ。

この姿をオマエたちに見せることになったのは予想外だったからな!!」


ウルの翼がまた光を放つとシオンの周囲の空間が歪み、歪んだ空間からドス黒い魔力が掃射されてシオンを襲う。


「ああああああああぁぁぁ!!」


「オマエたちはオレに言ったな……。

オレの敗因はオマエたちを敵に回したことだと。

だが実際はどうだ?

オマエたちはオレに勝つことは……」


まだだ、とガイを飲み込む爆炎が無数の衝撃波によって消されると中から負傷したガイが現れ、現れたガイはウルに向けて走り出す。


負傷しているガイ。

爆炎を受けたせいか全身に火傷を負っているがそれでも止まることなく加速しながら走り、ウルに迫ると連続で斬撃を放とうとするが、ウルは両手の爪に魔力を纏わせて鋭くさせるとガイの刀を止めてみせる。


「……!!」


「まだやる気か?

オレとの力の差は分かったはずだ」


「まだ終わらねぇ……!!

オマエらを倒して全てを終わらせるまでは終われねぇ!!」


「終わらせるべきだな。

終わりを迎えて絶望しろ」


「絶望はしない……!!

オレたちは……アイツが進むかぎりオレたちは諦めることも絶望することもしない!!」


ウルの言葉を否定するように強く言うとガイは刀を強く握り、そしてウルの爪に纏われた魔力を打ち砕く。


「何……!?」


「見せてやる……力だけが全てじゃないことを!!」


「力が全てだ!!

オマエたちはその事実を……」


「はぁぁあ!!」


ガイの言葉を否定しようとするウルの背後に傷だらけのシオンが雷を纏いながら現れると雷の剣で翼を引き裂き、ガイとシオンはタイミングを合わせるようにウルに攻撃を放ち、放たれた攻撃はウルに命中して彼にダメージを与える。


「何……バカな……!?

何故だ……!?」


「オマエは知らない……。

人が持つ可能性を……誰かのために戦うことの強さを!!」


シオンはこれまで自分がヒロムたちと過ごす中で知ることの出来たもの……人の可能性と誰かのために戦うことの大きな意味を思い返し、それをウルに知らせるかのように雷を拳に纏わせて殴ろうとするが、ウルはシオンと自身の間の空間を歪めて空間を固定して壁のようにするとシオンの拳を止める。


が、止まらない。


「誰かのために強くなることを否定するなら教えてやる!!

オレたちの無限の可能性を!!」


シオンを手助けするようにガイは蒼い炎を纏った斬撃でウルが固定して壁にする空間を切り裂き、そしてシオンの拳は再び動き出すとウルを殴り飛ばす。


「がは……!!」


「力が全てだと思ってるなら後悔しろ……」


「人の優しさに触れることの無い己の弱さに……後悔しろ!!」


「……黙れ!!」


ウルはシオンとガイの言葉を否定しようと叫びながらドス黒い魔力を放とうと右手を前に出すが、重傷を負うソラが半壊する武装を纏いながら接近すると右脚の硬質ブレードで敵の右腕を切断する。


「!?」


「させるか!!」


「貴様……!!」


「「はぁぁあ!!」」


「やれ!!」


ソラが叫ぶとガイとシオンが力を纏いながらウルに接近すると蹴りを放ち、蹴りを受けたウルはダメージを受けながら吹き飛ばされる。


「こ、こうなったら……」


吹き飛ばされたウルは受身を取ると自分ごと空間を歪め、時を遡って体を元に戻そうとする。


しかし……


「……待ってたぞ、この時を!!」


無数の影の腕が現れるなりウルを拘束し、イクトが現れるとともに黒炎を纏わせた大鎌で歪んだ空間ごとウルを斬る。


放たれた一閃はウルの体を大きく抉り、さらに空間の歪みは黒炎を受けた影響かウルの体を引き裂くように消していく。


「が……ああああああああぁぁぁ!!」


空間の歪みに肉体が引き裂かれるように消えていき、消えた体は空間の中へと飲まれていく。


まるで歪みがウルを取り込もうとするように……


「み、認めない……!!

こんなヤツらに……」


消えていく体でウルはガイたちの力を否定しようとするが、そんなウルを見たガイは冷たく彼に告げた。


「オマエは負けたんだよ。

力に溺れたオマエは……オレたちに負けたんだよ」


「まだだ……また時を……」


残念だよ、とイクトが指を鳴らすと黒炎がウルと彼の体を歪める空間ごと焼き払おうとする。


その中でウルに向けて告げる。


「オレの黒炎が……それを許可しない」


「き……貴様ァァァ!!」


空間と黒炎に消される中で叫ぶウルだが、誰もそれに反応せず、そしてウルは跡形もなく消えてしまう。


「……倒した、か?」


跡形もなく消えたウルとの戦いが終わった、そう感じながらも警戒するガイ。


だがこれまでのようにウルが現れる様子はない。


倒せた、その結果を受けたガイたちは身に纏う力を解除すると膝をつくように座ってしまう。


「やったな……」


「ギリギリだったけどな……」


四人ともこの戦いでかなりのダメージを受けて負傷している。


本来ならここで休むべきなのだろうが、ガイたちにそんな暇はない。


「……ヒロムを追いかけなきゃな」


「……この傷でか?」


「……行くしかねぇ」


待て、とガイとシオンを止めるようにソラは言うとある事を提案した。


「本来なら頼るべきじゃないかもしれないが……少し時間をかければ万全になる方法がある」


「本当か……?」


「オレはイグニスと契約してる影響で少し待てば傷は勝手に治る。

でもオマエらは治癒術を使わなきゃ治せない。

だったら……」


「お、おい……それって……!?」


「ああ、あの人に頼る」

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