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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
竜装魂霊編・王導開闢
302/672

三〇二話 炎、爆誕


夜明け。


沈んでいた太陽が昇り、朝日が街を照らしていく。


そんな中、ガイたちは戦う準備をして屋敷の外に出ていた。


そして……


「オマエらの頼みは確かに引き受けた」


屋敷の周囲を囲むように並ぶ黒いスーツの男が並んでおり、ガイたちの前には白崎蓮夜がいた。


蓮夜はガイたちに一言告げるとスーツの男たちに中に入るように指示し、指示を出した後に蓮夜はガイたちに伝えた。


「ここの守りはオレたちが責任をもって引き受ける。

オマエたちはオマエたちがやるべき事を果たしてこい」


「蓮夜さん、勝手なことを言ってすみません」


「気にするな、ガイ。

元々今回の「竜鬼会」の件でオマエたちが何か行動を起こすのなら関与する条件でヒロムと組んでるからなァ。

今回のこの護衛もその一環だァ」


「助かります」


それより、と蓮夜はガイの服装を見るなり彼の服装について訊ねた。


「その服、着たんだな」


「……さすがにこういう時にしか着る機会はないですからね。

気合い入れるって意味でもこれが一番ですよ」


「そうか……。

サイズもピッタリのようだし、送ってよかったよ」


ガイの着ている服、それは黒い軍服のような衣装だった。

そしてそれは蓮夜がガイに送った服でもあった。


自身の送った服をガイが着てくれている、それが嬉しかったのか蓮夜は普段見せないような優しい表情を見せながらガイに言い、そしてガイの言葉を聞いた上で蓮夜はガイとイクトたちに向けてある指令を出した。


「今から出すのは「月翔団」の団長としてでもあり、一人の大人としての言葉だ。

必ず心に刻んで実行しろ」


「何を……」


「必ず生きて全員揃って帰ってこい。

血を這ってでも帰ってこい」


「……!!」


それだけだ、と蓮夜はガイたちに伝える。

蓮夜が出した指令を受けたガイたちは彼の言葉を聞いたからかいつにも増して真剣な顔をしており、そしてガイは蓮夜に向けて強い眼差しを向けながら言葉を返した。


「必ず生きて帰ります。

その間、ここは頼みます」


「任せろ。

もしヒロムが目を覚ましたら……」


「ああ、オマエたちが何をしようとしてるかは伝えておく」


「……頼みます」


いくぞ、とガイが全員に声をかけると目的地に向かって走り出し、イクトたちもそれに続くように走り出す。


「……必ず帰ってこいよ」


ガイたちの後ろ姿を見守るように視線を向けながら蓮夜はただ彼らの無事を祈っていた。






***


とある病院のとある病室……


体に包帯を巻いた水色の髪の少年は服を着替えるなり外に出る支度をしていた。


少年が入院していたであろうその病室にあるテレビには先程ガイたちが見ていたのと同じような映像が流れており、それを見た少年は点滴の針を無理やり抜き取ると投げ捨てた。


「まさか敵がこんな大胆なことをするとはな……」


少年は黒いコートを羽織ると病室を出ようと扉の方に向かっていく。


が、扉の前にたどり着こうとしたその時、彼が扉を開けるよりも前に外から誰かが扉を開け、そして数人の軍服のような衣装の男と女が入ってくるなり少年に向けて銃を構える、、


「……何のつもりだ?」


「大人しくこちらで安静にしていてくれ」


「下っ端風情が上の命令に素直に従えばどうにでもなると思ったか?

悪いがオレにはオマエらを倒せない理由はない……立ち塞がるのなら力づくで……」


「悪いなシンク。

ここで言う通りにしてくれ」


少年……氷堂シンクが魔力を纏いながら戦意を見せつけようとしたその時、軍服のような衣装の男たちの後ろから誰かが言葉を発し、言葉を発した張本人はシンクの前に姿を現すように前に出てきた。


「……!!

オマエ……」


「すまないなシンク。

坊っちゃんのために頑張る姿は評価するが、立場を考えるべきだ」


シンクの前に現れた男……獅童士門は彼に向けて忠告をした。


全身傷だらけ、包帯を巻いた体に点滴を打った状態の獅童はまともに歩けないのか杖をついていた。


「……派手にやられたようだな。

誰にやられた?」


「……クジャだ。

アイツが生きているのに動揺してる隙を突かれた」


「クジャ?

誰だそれは?」


「夕弦の前の強襲行動部隊の部隊長だった女だ。

「竜鬼会」に寝返っていたが、夕弦が倒したらしい」


「そうか。

目が覚めてここに来たのなら申し訳ないが……どけ」


冷たい眼差しを向けながらシンクは冷たい口調で一言告げると氷の剣をつくり、それを右手に持つと獅童に突きつけた。


銃を構える男たちは獅童を守ろうとシンクに狙いを定めて引き金に指をかけようとするが、彼らがそうしようとした時には構えている銃が凍りついて使い物にならなくなっていた。


「なっ……!?」


「いつの間に……!?」


「どけと言ったはずだ。

オマエたちじゃオレには勝てない」


銃が使えなくなったことに困惑する男たちに向けてシンクは忠告をするかのように告げると獅童に向けて突きつけた剣を強く握りながら獅童に向けて告げた。


「今のオマエらじゃヤツらの相手にもならない。

オマエらが無駄に戦うくらいならオレが戦う方がマシだ」


「ダメだ!!

オマエは「八神」との一戦で魂を削ってまで能力を発動しようとしたんだ!!

禁術に手を出したオマエの体はいつ壊れてもおかしくない!!」


「この体はヒロムのために捧げると決めている!!

ヒロムの未来を切り開けるのならオレは止まるわけにはいかない!!」


シンクと獅童、二人の意見が真っ向からぶつかり、そして二人はともに睨み合うと譲れぬ思いを抱きながら相手を見ていた。


そんな中、シンクは突然ある事を話し始めた。


「ヒロムのためだけじゃない、約束したんだよオレは……。

「八神」との戦いがおわったら、全てをやり直すってな」


「何を……」


「女との約束だ……。

死んだら何もできない、だから生きて帰ってヒロムのために何かをする。

それがこの体の崩壊を招こうとオレは躊躇わない」


「……」


「もう一度言うぞ獅童。

そこをど……」


わかった、と獅童はため息をつくとシンクの前から退き、彼が通る道を作った。


突然の獅童の行動にシンクは一瞬警戒するが、そんなシンクを見兼ねた獅童は彼に向けて言った。


「坊っちゃんのところのお嬢さんと何か約束したんなら必ず守れ。

我々「月翔団」と坊っちゃんとオマエの「天獄」は組織は違えど同じ「姫神」に属する人間同士。

そこにあるのは同じように価値のある命だ」


「いいのか?

蓮夜に咎められるぞ?」


「……これは蓮夜の指示じゃない、オレの独断だ。

オマエが死のうとするのを見過ごせなかった」


「……そうか」


獅童に対して冷たい一言を返すとシンクは病室から出ようと獅童の前を歩いていく。


そんなシンクの後ろ姿を見ながら獅童は深深と頭を下げながら謝罪をした。


「すまなかった!!

オマエの事情も知らずに……一人で敵地に潜んでまで坊っちゃんのために尽くしてくれていたことを知らずにオマエを裏切り者と呼んでしまったことを許してくれ!!」


「……獅童、その程度のことで頭を下げるな」


シンクは歩みを止めずに獅童に言うと、続けて彼に向けて伝えた。


「真に覚悟を決めたのならどんな汚名を着せられても貫き通す……オレが師であるアンタから学んだことだ」





***


騒動が起きている脳力犯罪者収容施設周辺。


そこはもはや地獄絵図のように化していた。


「ギャハハ!!」


「ヒャッハァァ!!」


上空に滞空する戦艦のような巨大な飛行物の攻撃によってその機能を失った収容施設は警備システムと牢によって閉じ込めていた囚人を抑圧する力もなく、施設の破壊によって牢が壊れたらしく次々に囚人が外に出てきて暴れている。


暴れ回る囚人の衣服には返り血と思われるものが付着している。


おそらく収容施設内に配属されていた警備兵をその手にかけたのだろう。


外に出たという喜びと再び自由を得たという興奮の二つによって囚人たちは手のつけようが無いほどに能力を使いながら暴れ、事態を抑えようとするギルドの兵たちは応戦するも囚人として収容されていた凶悪な能力犯罪者の群れを前にしてなす術もなく倒されてしまう。


「あ、ああ……」


「ま、まずいぞ……」


非常事態と聞いて駆けつけて報道のために離れて撮影するキャスターたちもこの場にいる危険性といつ襲われるか分からない恐怖感によって動けなくなっていた。


「に、逃げなきゃ……」


「ひ、ひとまず街まで逃げよう!!」


慌てて撤収しようとするキャスターたち。

彼らが逃げようとする街はこの収容施設のある場所から数キロ離れた場所にある。


当然移動は車になる。


撮影機材などを運んで車に向かおうとする彼らだが、彼らの行動に気づいた囚人たちは自分たちが楽しむ玩具を見つけたかのように嬉しそうな笑みを浮かべると走り出す。


「獲物がいやがったぞ!!」


「ヒヒヒッ!!

楽しめそうだなぁ!!」


楽しみを見つけた囚人たちは目を輝かせながら叫び、その声を聞いたキャスターたちは恐怖に駆られてしまい、我を忘れたかのように運ぼうとしていた機材を投げ捨てて走っていく。


「きゃぁぁあ!!」


「うわぁぁあ!!」


「いいぞいいぞ、もっと悲鳴を聞かせろ!!」


「やっぱシャバの空気は最高……」


悲鳴を上げて逃げるキャスターたちを追い詰めようと走る囚人。


すると突然、天より無数の紅い炎が隕石のように降り注がれていく。


「!?」


「な、なんだ!?」


「ぎゃぁぁあ!!

熱い、熱い!!」


逃げる人を襲おうとしていた囚人たちは炎に飲まれると全身焼かれ、黒く焼け焦げるとそのまま炎によって消されてしまう。


危機から脱したキャスターたちだが何が起きてるのか分からないため茫然としており、炎を免れた囚人も目の前のその炎を前にして動きを止めてしまう。


「何が……」


「派手にやってくれてるな」


キャスターの女性が状況を確かめるように呟こうとした時、炎の中から声がする。


「罪人どもを利用するなんて派手なことを思いついたものだ。

オレとしては別に軽く始末すればヒロムの安寧を守れると思っていたが……生かす理由も無くなったな」


紅い炎は舞い上がるようにして天に消えていき、紅い炎が燃えていた場所には一人の少年が立っていた。


オレンジ色の髪、そして水色のラインが施された黒い装束に身を包み紅い拳銃を右手に持った少年は囚人たちを見ながら告げた。


「オマエたち罪人は罪を贖うためにそこにいるべきだった。

贖うべき罪を反故にして外に出ようと言うならオレはそれを阻止する……オマエらが気安く踏み入っていい世界はもうこの世界にはない!!」


少年は……相馬ソラは紅い炎を全身に纏うと囚人たちに向けて殺気を放ち、そして囚人たちを倒そうと走り出す。



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