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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
竜装魂霊編・王導開闢
299/672

二九九話 超越突破!!


「オレはもう……覚悟を決めた」


光を身に纏い、白銀の稲妻を体に走らせるヒロムはゼロに向けて言う。


ヒロムの言葉を聞いたゼロは首を傾げると何故か彼を馬鹿にするように笑い始めた。


『ギャハハハハ!!

覚悟を決めた?死ぬ覚悟か?

傑作だな……戦う姿勢を見せたかと思ったのに何を言ってるのか』


「笑いたきゃ笑えよ。

オレはもうオマエを倒すために決めるべき覚悟を決めたんだ」


『ああ、笑わせてもらったよ。

そして哀れだと確信したよ……倒せもしない相手を倒そうと意気込むその姿勢がな!!』


「そうか……。

オレからすれば他人の力で強くなった気でいるオマエの方が哀れだと思うよ」


『……あ?』


ヒロムの挑発にも似た言葉を受けたゼロは殺気とともに闇を身に纏うとヒロムに攻撃しようと走り出そうとするが、それを見かねたティアーユがライフルを構えると光弾を放ってゼロの行動を妨害する。


『小癪な!!』


ゼロはティアーユの放った光弾を片手で粉砕すると衝撃波をティアーユに向けて放った。


が、放たれた衝撃波に向けてロゼリアは身の丈はある斧に魔力を纏わせながら斬撃を放つことで相殺してティアーユを守ってみせた。


「ロゼリア、助かりました」


「気にしないで。

仲間なんだから当然のことよ」


『そういやロゼリア……オマエ、アイツのことを今は「アナタ」って呼んでるよな?

現れた時は「貴公」とか真面目な呼び方してたのに……どんな気持ちの変化なんだ?』


「気持ちの変化?

残念だけど私はただ彼になら全てを託せると判断したから信頼の証として呼び方を変えただけ。

オマエが知ったところで何も変わりはしない」


ロゼリアは斧を構え直す中でゼロに向けて強く言い、そしてそのロゼリアの背後からアマゾネスが衝撃波、バニーが魔力で造形された無数のミサイルを撃ち放つ。


『小細工が好きな連中だな!!』


放たれた衝撃波と魔力のミサイルを見るなりゼロは左腕を大きな爪に変化させて斬撃を放ち、放たれた斬撃によって二人の攻撃が消滅させられてしまう。


『オマエらまで何の真似だ?

そいつを疑ってたくせに今になって何で味方のフリをする?』


「味方のフリ?

間違えないでくれるかしら?」


「私もアマゾネスも……それにロゼリアたちもアナタの仲間になった覚えはないのよ。

繋がりがなくても初めから彼の味方なのよ、私たちは」


『正気か?

他人に導かれなければ前にも進めないような男が味方だと言うのか?』


「その男の力を奪わなければ何も出来ないオマエは何て呼べばいいのかしらね?」


するとショットガンを構えたソレイユが話に割って入るなりゼロに向けて弾丸を乱射していく。


放たれた弾丸はゼロの体を穿とうと襲いかかるが、ヒロムの拳撃同様に何か目に見えぬものに防がれてしまう。


「……その壁みたいなの、厄介ね」


『……ソレイユ。

何故だ?オマエの試練すら受けてないその男になぜ加担する?』


何故でしょうかね、とアントワネットが呟くとゼロが無数の魔力の帯に囲まれ、魔力の帯はゼロを拘束しようと迫っていく。


しかし……


ゼロの体から熱波が放たれ、放たれた熱波に触れた魔力の帯は跡形もなく焼かれて消されてしまう。


アントワネットはひとまずソレイユの隣に並び立つとソレイユに対して問いかけたゼロに向けて言った。


「私たちの試練を受けていなくても会っただけで分かるの。

彼はもうすでに精神の深層に到達できるレベルにまで達していることが」


『精神の深層に到達できるレベル?

残念だがそいつには無理だ。

そいつより先に到達するのはこのオ……』


無理ですよ、とトワイライトはハサミのような造形の剣を分割して双剣にするといくつもの斬撃をゼロに向けて放つが、ゼロは影から槍を出現させて右手に持つとそれを用いて全て防いでみせる。


攻撃を防がれたトワイライトは舌打ちをすると、ゼロに向けてゼロは精神の深層に到達出来ないということを告げた。


「アナタは私たちの力を強引に奪っただけ。

精神の深層に向かうための資格までは得てないのよ」


『資格だと?

自分の精神の中に許可なんていらねぇんだよ!!』


ゼロは両手に魔力を纏わせるとロゼリアたちに向けて巨大なビーム状に形成させた魔力を撃ち放ち、彼女たちを一掃しようとする。


……が、光と白銀の稲妻を身に纏ったヒロムは身に纏った二つの力を強くさせると彼女たちを守るように前に立ち、そして迫り来るゼロの放った巨大な魔力を両手で受け止めると押し返そうとした。


「ぐぅぅ……!!」


『な……!?

まだそんな力を残してたのか!?』


「……残してたわけじゃねぇ。

この力は……守りたいという思いから湧き上がってくる力なんだよ」


するとヒロムの身に纏う力が徐々に強さを増していき、溢れんばかりの光と稲妻を身に纏うとヒロムはゼロが放った魔力を押し返し、そして押し返した魔力をゼロに向けて撃ち返した。


『何!?』


自身が放ち、ヒロムが撃ち返した魔力に驚いてしまったゼロの動きは一瞬止まり、それによって生まれた隙が防御を遅らせて直撃させる。


自身の攻撃、それすらも防げなかったゼロは後ろに下がるように仰け反り、それを見たフレイ、ラミア、ティアーユは魔力を身に纏うと三人同時に走り出し、一気にゼロに接近すると敵を殴り、そして蹴り飛ばした。


『ぐぁっ!!』


蹴り飛ばされたゼロは勢いよく倒れるが、すぐに立ち上がるとフレイたちを睨みながら全身に力を纏い直す。


『オマエら……よくもこのオレに……!!』


「アナタはここで倒します、マスターのために!!」


『大きく出たものだな、フレイ。

そいつが闇に染まった時、どの精霊よりも先に絶望しかけたオマエが偉そうな事を』


「あの絶望と悲劇を二度と起こさないためです!!

私はアナタの存在を否定する!!」


するとフレイは全身に白い光を纏い、そして彼女に続くようにラミアは紫色の光、ティアーユは青い光を全身に纏っていく。


三色の光は眩い輝きを放ち、その輝きを目にしたゼロは思わず光を目にせぬように手で覆い隠そうとする。


『な、なんだこの輝きは!?』


「これは私とラミア、ティアーユだから出来ること……。

天の字名を宿し、その力を覚醒させた証……レディアントの力!!」


するとフレイたち光を纏った三人が目にも止まらぬ速さでゼロに接近すると敵を殴ろうとする。


が、ゼロは三人に対して強きな姿勢を見せながら叫んだ。


『オマエらが何をしようと無駄だ!!

オマエらのマスターの力はオレに通じなかった!!

オレを倒すのは不可の……』


不可能だ、その言葉を発しようとしたゼロだったが、フレイたち三人の拳はゼロの腹に叩きつけられ、それを受けたゼロは大きく仰け反ってしまう。


『何……!?』


「はぁぁぁあ!!」


フレイはゼロに連続で拳撃を放つとそれを敵に食らわせ、さらに自分の武器である大剣を出現させて装備するとゼロが反応出来ぬ速度での連続斬りを放つ。


放たれた斬撃はゼロの体を抉っていき、攻撃を受けたゼロは怯んでしまう。


『な、何だ……この力は!?』


「受けろ、ゼロ!!

ディープ・オブ・ディザスター!!」


ゼロが狼狽えているとラミアが光を纏いながら紫色の竜巻を発生させて解き放つ。


放たれた竜巻は大地を抉りながら迫っていき、ゼロに接近すると敵を穿とうと襲いかかるが、ゼロはそれを右手で止めようとするのだが、止めようとした右手は竜巻に弾かれ、斬撃を受けたゼロの体はさらに竜巻によってダメージ受けてしまう。


『バカな……!?

なぜオレの力が!?』


「アンタの力なんて……そんなものよ!!」


ラミアはトワイライトの武器であるハサミのような造形の剣を装備すると刀身と柄を開いて裁断バサミのように構えてゼロに襲いかかり、そして彼女は鋭い刃でゼロの右腕を胴体から斬り落とすように両断する。


『がぁぁぁあ!!』


右腕を斬られたゼロは叫び声を上げ、そんなゼロに追撃を加えるようにティアーユはライフルを二丁拳銃に変形させると無数の光弾を放ち、光弾は刃のように鋭くなりながらゼロの体を貫いていく。


『が……な、何故だ!?』


自分の力の方が勝っているはずだとゼロは確信していた。

いや、自分の力が劣っているなんてことは無いとすら思っていたくらいだ。


なのに……


それなのにゼロは今、自分よりも劣ると思っていたヒロムに攻撃を弾き返され、さらには「レディアント」などという訳の分からぬ名前の力を纏ったフレイ、ラミア、ティアーユに追い詰められている。


ありえなかった。


ゼロが今持つ力はこの精神世界の中にあるヒロムやフレイたち精霊、そして精神世界から奪った力だ。

奪い取った数多の力が集まったゼロの今の力が劣るはずはない……はずなのに今ゼロはヒロムやフレイに追い詰められている。


『オレはオマエらを凌ぐ力を得たはずだ!!

なのに何故だ!?』


「ゼロ……オマエは強くなってなんかいない」


狼狽え現実を否定しようとするゼロに向けてヒロムは今何が起きてるのか、そして彼の強さについて語った。


「トワイライトが言ってたはずだ。

オマエのその力はオレたちから強引に奪っただけのものだ。

つまり……オマエのその力はオマエが得るべき本来の力じゃない」


『バカを言うな!!

オレはオマエらを超えるほどにまで達した!!

どんな形であれオレは……』


「だからオマエは強くないんだよ。

オマエは真に到達すべきものを見ていない……!!」


『ふざけ……』


ヒロムの言葉に対して反論しようとしたゼロだが、ゼロはヒロムに視線を向けると彼の変化に反論するために口にしようとしていた言葉を止めてしまう。


『何を……している!?』


「何を?

さぁな……奪うしか出来ないオマエには出来ないことさ」


戸惑うゼロに向けて言葉を放つヒロム。

そのヒロムは光と稲妻を纏う中で目、鼻、耳、口から血を流していたのだ。


ゼロの攻撃によるダメージなのかは分からないが、至るところから流れる血を見たゼロは困惑していた。


『バカなのか……!?

そこまで負傷しておきながら何故……!?』


「負傷……?

そうかもな……でも、これはオマエを倒すために必要な事だからな」


するとヒロムは突然天に向けて右手をかざし、手をかざすとともに自身の足下に魔法陣のようなものを浮かび上がらせる。


その魔法陣が強い光を放つとフレイやラミア……他の精霊はもちろんのこと、ロゼリアやアマゾネス、ティアーユといったヒロムとの繋がりが失われている精霊の足下にも同じような魔法陣が出現して光を放ち始める。


何かが起きている、そう思ったゼロはヒロムに向けて攻撃を放とうとするが、それを阻むように無数の魔法陣から光が放たれてゼロの攻撃を消してしまう。


『な……何が!?』


「ゼロ……オマエになくてオレにあるもの、それを今からこの身に宿す」


『今更何を得るつもりだ?

今のオマエにはかつて失った繋がりもなければ取り戻す術である試練も……』


「ふっ……」


『まさか……オマエ!!』


何かに気づいたゼロは慌て始め、闇を放出しながら走り出してヒロムに攻撃を仕掛けようと向かう。


が、その慌てるゼロの姿を見ながらヒロムは笑みを浮かべると彼に向けて告げた。


「気づくのが遅かったな……。

もう、完成したんだよ」


『オマエ……オマエは繋がりを無理やり奪ったのか!?』


違うな、とヒロムがゼロの言葉を否定すると訂正するように言葉を発しながらフレイたちの足下の魔法陣を自分の魔法陣のもとへと集め、集めた魔法陣を一つに重ねた。


「かつて失った繋がりを……オレが繋ぎ合わせただけだ!!」


『そんなことをすればオマエの精神は完全に人間では無くなる!!

恐怖はないのか!!』


「だから言ったはずだ……覚悟を決めたってな。

その目に焼き付けろよゼロ……これが全ての繋がりを取り戻したオレの……本来のオレの姿だ!!」


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