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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
竜装魂霊編・王導開闢
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二九五話 天紡の力


ヒロムがトワイライトとの戦闘を終え、そして試練をクリアした上で彼女の協力を得た頃……


光の柱の中ではまだ終わってはいなかった。


光の柱の中……そこに広がる景色は白銀の城のある景色でも漆黒の城のある景色でもなかった。


本来なら太陽や雲が存在するはずの天からは無数に地上に向けて逆さに建つようにして無数に並ぶ摩天楼が空を支配し、何も無い地上ではフレイとラミアがティアーユと戦っていた。


「はっ!!」


フレイは自身の武器である大剣を強く握ると何度もティアーユに斬りかかろうとするが、ティアーユは何の苦労もなく避けてしまい、ラミアはフレイの攻撃を避けたティアーユに向けて放つも彼女はそれを躱し、ティアーユは二人の体にしょうていつき掌底突きを放って軽く吹き飛ばしてみせる。


「くっ……!!」


「何なのよ……もう!!」


軽く吹き飛ばされたフレイとラミアは倒れることも無く立て直すと構えるが、二人が立て直して構えた時にはティアーユはすでに二人の後ろに立っており、二人に対して両手をかざすと二人は何か強い衝撃に襲われて吹き飛ばされてしまう。


「「きゃぁぁあ!!」」


吹き飛ばされたフレイとラミアは受け身も取れずに倒れてしまい、そんな二人を見ながらティアーユは話し始めた。


「どうしました?

私はまだ本気ではありませんよ?」


「そんな……」


「ナメられたものね……。

だったら本気にさせるだけよ!!」


ティアーユの言葉にやる気を見せるラミアは立ち上がると全身から闇を放出し、周囲を闇で充満させると闇の中から蛇の形をした魔力を出現させ、蛇は闇を纏いながらティアーユに向かっていく。


「常闇の終わりを!!

飢えた蛇の雄叫びを受けろ!!

スターヴ・ディストピア!!」


ラミアが叫ぶと蛇は纏った闇を強くさせながらティアーユに噛みつこうとする。


が、ティアーユは両手の手刀に魔力を纏うと地面から少し体を浮かせ、大地を滑るような動きをしながら手刀で蛇を破壊しながらラミアのもとへと向かっていく。


「な……私の技を!?」


「驚くことではありませんよ、ラミア。

今のアナタの力なら私のこの力でどうにかなりますので」


「アンタ……!!」


「ラミア、下がって!!」


フレイは大剣に魔力纏わせると振り上げ、そしてティアーユに向けて勢いよく大剣を振り下ろすと魔力とともに巨大な斬撃を撃ち放つ。


「クロス・バスターソード!!」


斬撃を放ったフレイは大剣を振り下ろした勢いそのままに回転すると、その回転を利用して新たな斬撃を放つ。


放たれた二つの斬撃が一つとなってさらに巨大な斬撃となり、ラミアが放った闇の蛇を破壊していくティアーユに襲いかかろうとする。


「これは……」


フレイの放った一撃、それを見たティアーユは少し意外そうな顔をしており、止めることも無く見つめていると斬撃は彼女に勢いよく迫っていく。


「これなら……」


「倒せる!!」


フレイとラミア、二人がティアーユに通じると確信したその時、その確信を打ち砕くかのようにティアーユは再び両手に魔力を纏わせるとフレイの放った巨大な斬撃を両手で受け止めてしまう。


「「!?」」


白刃取り、ティアーユがやっているのはそれだ。

フレイの大技であろう一撃、彼女はそれを魔力を纏わせた程度の白刃取りで止めているのだ。


「そんな……」


「フレイの一撃も簡単に……!?」


「アナタたちの攻撃、たしかに素晴らしいです。

ですが……その一撃の素晴らしさに反して脆弱すぎます」


ティアーユが両手に少し力を加えるとフレイが放った巨大な斬撃が破壊され、破壊された斬撃は無数の粒子となって空気中に散ってしまう。


ティアーユは両手の掌を軽く払うと二人に向けてあることを伝えた。


「さて……お二人の力をある程度把握出来たので、次はアナタたちが持ってる一番強い力を見せてください」


「一番強い力……?」


「どういうこと?」


「まだあるはずです。

彼と同じ力を授かってるはずです」


「同じ力……」

「もしかして……」


ティアーユの言う彼、それはヒロムのことだろう。

そしてそのヒロムからフレイとラミアが授かってるはずという力、それが何なのかは検討がついていた。


フレイは「八神」との一戦の時にヒロムが闇に囚われる前に授かり、ラミアは彼を闇から解放したと同時に同じ力を身に宿した。


彼が激化する能力者との戦いに際して人から精霊へと魂を昇華させて戦う力を手にし、二人はその力を使うことを許されている。


その力の名は……


「「ソウル・ハック」」


二人が「ソウル・ハック」の名を口にするとティアーユは頷き、そして彼女は二人にそれを使用するように目で訴える。


ティアーユの視線が訴えるものを理解しているフレイとラミアは彼女が使用するように言ってくる「ソウル・ハック」を発動しようと一瞬考えるが、それを行動に移そうとはしなかった。

いや、できなかった。


心の中で彼女たちは今「ソウル・ハック」を発動することはティアーユの思惑に乗る形になることが引っかかって仕方ないのだ。


それ故に「ソウル・ハック」を発動を躊躇う二人だが、そんな二人に向けてティアーユは語る。


「私に対してどんなことを思い、抱いているかは察します。

ですが、アナタたちが迷っていては彼も前に進めない。

いいんですか?

アナタたちが躊躇えば躊躇うほど彼の試練は止まるのですよ?」


「ここでマスターを出すのは卑怯じゃないの?

何を企んでるか知らないけど……」


「アナタが望むのなら……」


「「やってやるわ!!」」


ティアーユの言葉を受けるなりフレイは白銀の稲妻を、ラミアは紫色の稲妻を全身に纏い、稲妻を纏うと二人は構えて走り出す。


「行きます!!」


「覚悟しなさい!!」


「……覚悟するのはどちらでしょうか」


フレイとラミアが走り出した中でもティアーユは焦る様子もなく両手に魔力を纏わせる。


「さて……その力、見せてもらいますよ」


「そのつもりよ!!」


ラミアは紫色の稲妻を全身に駆け巡らせると加速してティアーユに一気に接近して拳の連撃を放つのだが、ティアーユはその連撃を魔力を纏わせた両手でいなすようにして防いでいく。


が、それで終わらない。


「はぁぁぁあ!!」


白銀の稲妻を纏ったフレイは大剣を地面に突き刺すと身軽になった上でさらに加速し、ラミアの連撃に加勢するように自らもティアーユに向けて拳の連撃を放っていく。


二人の止まることの無い激しい連撃、それを前にすればティアーユはさすがに焦るかと思われたが、焦る様子もなければ動じることもなかった。


迫り来る攻撃を魔力を纏わせた両手で払うように防ぎ、そしてその上で二人の中にある小さな隙を突くように攻撃を放って吹き飛ばす。


が、二人は吹き飛ばされる中で何とか耐え抜くと稲妻を強くさせてティアーユに再び攻撃を連続で放つが、ティアーユは再び放たれる攻撃すらも簡単に防いでしまう。


「この……!!」


「これでも効かないっていうの!?」


「まだまだです。

まだアナタたちの中には力があるはずです」


ティアーユは二人が拳の一撃を放つとそれを掴み止め、そして掴んだまま二人を持ち上げると天に向けて勢いよく投げ飛ばす。


投げ飛ばされた二人は宙で体勢を立て直そうと考えるが、ティアーユは投げ飛ばした二人のもとへ飛ぶと無数のビーム状の魔力を放射して追撃していく。


「「!!」」


フレイとラミアを倒そうとするかのようにティアーユが放った無数の魔力のビームだが、フレイとラミアは稲妻を強くさせて力を高めると彼女が放ったビームをかき消し、迫ってくるティアーユを迎え撃つべく構える。


その中でラミアはどこからか大鎌を出現させるとそれを手にして無数の斬撃を放つ。


大鎌、それはヒロムの精霊・ベルナの武器と同じ大鎌だ。


そしてフレイも精霊・ディアナの槍をどこからか装備すると光の矢を放ち続ける。


放たれた光の矢と斬撃がティアーユに向かっていくが、彼女は両足に魔力を纏わせると空を滑るような動きをしながら次から次に躱し、フレイとラミアに接近する直前に魔力で剣を作ると二人の武器を破壊しようと攻撃を放つ。


放たれた攻撃をフレイとラミアは手に持つ武器で防ぐと反撃しようと考えるが、それを読んでいたであろうティアーユはさらに剣で攻撃を放つと二人の手から武器を弾き落とし、さらに二人の背後へと瞬間移動すると二人を地上に叩き落とすように何かを炸裂させて吹き飛ばす。


吹き飛ばされた二人は勢いよく地面に叩きつけられ、ティアーユは魔力の剣を捨てるとライフルをどこからか取り出し、それを構えるとフレイとラミアに狙いを定めた。


「……シュート」


ティアーユが引き金を引くと銃口から一発の光弾が放たれる。


放たれた光弾は軌道を変えることなく地上に落とされた二人に向かっていき、迫り来る光弾を確認したフレイとラミアは立ち上がると身に纏う稲妻を強くさせてティアーユが放った光弾を迎え撃とうと考えた。


が……


「アムネスティ・サイファー」


ティアーユが言葉を発すると光弾が無数に分裂し、分裂した光弾は数千数万と増加していく中で流星群のようにフレイとラミアに向けて降り注いでいく。


降り注がれる光弾は輝きを放ちながら二人に迫っていき、二人は稲妻を強くさせて光弾を防ごうとする。


が、二人が稲妻で防ごうとするとその稲妻を光弾は消し去るように無力化していき、そしてフレイとラミアの体に纏われた稲妻が完全に消滅してしまい、無数の光弾が二人に襲いかかっていく。


「「あぁぁぁぁあ!!」」


光弾に襲われたフレイとラミアは光弾の力の前に倒れ、ティアーユはライフルを構えながら着地すると倒れた二人を見ながら話した。


「これで終わりですか?

アナタたちの力はこの程度ですか?」


「くっ……」


「ふざけたことを……!!」


「アナタたちの力はアマゾネスとの一戦もあって成長しているようですね。

ですがアナタたち自身は成長していないようですね」


ティアーユは手にしたライフルを光の粒子に変えて消すと、続けて二人についての話をした上で質問をした。


「先程も説明しましたが、アナタたちが強くならなければ他の精霊たちはその恩恵を受けて強くなれません。

その上で質問します……ここで終わりますか?」


「終わる……?」


「ここで……?」


「「ふざけるな……!!」」


彼女の質問、それを聞いたフレイとラミアは彼女に向けて強く言葉を放つと立ち上がり、そして拳を強く握ると構えた。


「ここで諦めたらただマスターにお見せる顔がない……!!」


「悪いけど、ここに来たからには勝つまでは帰れないのよ……!!」


「でしたら……どうしますか?」


二人の意気込みを聞いたティアーユは彼女たちに問う。


その問いに対してフレイとラミアは稲妻を体に纏い直すと叫ぶように言った。


「私はアナタに負けたりしない!!」


「マスターに信頼されたのだからその期待に応える!!

だから……」


「「私たちが勝つ!!」」


「でしたら、遠慮なくかかってきてください」

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