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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
竜装魂霊編・王導開闢
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二五九話 アマゾネス


「来るといい、精霊のマスター。

アナタじゃ私には勝てないわ」


どこか余裕を見せるアマゾネス。


そのアマゾネスを前にしてヒロムとフレイたちは構えて戦闘態勢に入る。


が、そんな中でユリアはアマゾネスに対しての疑問を抱いているらしく、それをヒロムに伝えた。


「マスター、あの……アマゾネスと名乗る方は何者なのでしょうか?」


「さぁな。

とりあえずこっちに和平の意思があったところで相手は戦う気満々だからな」


「ですがマスター、ここはマスターの精神世界です。

外部からの侵入は不可能なはず……なのにどうして敵が現れるのですか?」


「そんなのは後回しだ。

……来るぞ!!」


抱いた疑問を解決したいユリアに少し冷たく返すと全員に向けて構えるように叫ぶヒロム。


が、そのヒロムの言葉が全員に届くよりも先にアマゾネスはヒロムの目の前に現れ、現れると同時にヒロムの腹に蹴りを食らわせて勢いよく蹴り飛ばした。


「!!」

(はや……)


「マスター!!」


「よくも……!!」


蹴り飛ばされたヒロムを心配するようにユリアやアイリスが叫び、フレイたちはヒロムを蹴り飛ばしたアマゾネスに攻撃しようと動き出す。


「ちっ……!!」


ヒロムは受け身を取るとフレイたちに続くようにアマゾネスに向かって走り出すが、ヒロムたちが動き出した中でアマゾネスはただ手甲の鈎爪を眺めながら立っていた。


「……」


「アイツ、余裕があるみたいだな……!!」


「でもこの数で挑めば!!」

「確実に倒せる!!」


フレイとラミアが先陣を切るようにアマゾネスに攻撃を放つが、放たれた攻撃はアマゾネスに当たることなく彼女に近づく中で止められてしまう。


いや、彼女は何もしていない。

何か壁でもあるかのように攻撃は何かに当たったように止まったのだ。


「「!?」」


「……この程度?」


「隙だらけよ!!」


フレイとラミアの攻撃を見て期待外れと言いたげな顔を見せるアマゾネスだが、そのアマゾネスの背後へと移動したセツナとエリスが手に持った刀で敵と思われる彼女を斬ろうと振り下ろされる。


が、二人の刀すら届かない。

アマゾネスは自身の背後に現れたセツナとエリスに対して何かをする訳でもなく、彼女たちの姿を視界に入れようともせずにただ立っていただけだ。


なのにセツナとエリスの刀は彼女の体に当たることもなく、何か別のものに触れたように止められてしまう。


「そんな……」


「どうして……」


「この程度では通じない」


アマゾネスは呆れたようにため息をつき、そして高く飛び上がる。


それを見たセラとベルナは飛翔して攻撃を放とうとする。


が、アマゾネスが両手を迫り来るセラとベルナに向けてかざすと二人に向けて強い衝撃波が放たれ、放たれた衝撃波が二人を吹き飛ばしてしまう。


「「きゃあっ!!」」


「セラ!!ベルナ!!」


「他人の心配か?」


吹き飛ばされたセラとベルナの名を叫ぶヒロムに向けてアマゾネスは鈎爪を用いて斬撃を放ち、ヒロムにダメージを与えようとする。


アマゾネスの放った斬撃はヒロムに向けて飛んでいくが、ヒロムを守るように彼の前にアリアとマキナが現れて彼女たちは手に持つ武器を用いて敵の斬撃を防ぐ。


が……


「くっ……!!」


「この力……!!」


アマゾネスの斬撃を武器で防いだアリアとマキナだが、その一撃を止めた二人はアマゾネスの斬撃の力の余波によって勢いよく弾き飛ばされてしまう。


「なっ……!?」


弾き飛ばされてしまった二人の姿にアマゾネスに向かって走っていたはずのヒロムの足は止まってしまい、それを見たアマゾネスは彼に向けて告げた。


「精霊のマスター、アナタのその力で従者の力を底上げしてもこの程度だ。

数の力では圧倒していても所詮は一の集合体。

一が何十人いたところで千の力の前では無力だと知るべきだ」


「……無力だと?

悪いが、オレたちがこの程度で諦めると思ったのか!!」


ヒロムは全身に駆け巡らせる白銀の稲妻を激しく強くさせると両手にテミスの武装である銃剣、アルカの武装である拳銃を装備すると雨の如き無数の弾丸をアマゾネスに向けて放つ。


放たれた弾丸はアマゾネスの脳天を撃ち抜こうと向かっていくが、アマゾネスは避けることも防ぐこともせずにただ立っており、そしてアマゾネスに迫った弾丸は目に見えぬ壁にぶつかったかのように潰れて消えてしまう。


「はぁぁぁあ!!」


弾丸はアマゾネスに届かなかった。

にもかかわらずヒロムは何十、何百と弾丸を放ち続ける。


「……無駄なことを」


「無駄なんかじゃない!!」


「マスターの力を甘く見るな!!」


アマゾネスがヒロムの行動に対して一言冷たく呟く中でそれを否定するようにテミスとアルカがアマゾネスの両サイドからヒロムと同じように無数の弾丸を放ち、さらにユリアが杖で地面を強く叩いてアマゾネスの体が受ける重力負荷を何十倍にも強くしていく。


「……」


ユリアの能力によって重力負荷が何十倍にもなったアマゾネスは一切の動きを止め、そこに畳み掛けるようにヒロムとテミス、アルカは弾丸を放ち続ける。


が、それでもアマゾネスの体に触れる直前に何かに衝突したかのように弾丸は破壊されていく。


「……無駄だというのに」


「いいえ、無駄ではありません」


「マスターたちのおかげでチャンスは来ました」


するとロゼとセレナがハンマーと聖剣でアマゾネスの背後から攻撃を放ち、さらにディアナがアイリスとリリアとともに槍から無数の突きを放つ。


ヒロムたちの放つ無数の弾丸、ユリアが与える重力負荷、ロゼとセレナ、そしてディアナたちが背後から放つ連撃……。


身動きを取らないアマゾネスに向けて彼らの攻撃が迫っていく。


「受けろよ、アマゾネス!!」

(オマエがどういう原理で攻撃を防いでるかは知らない。

けどこれだけの猛攻をノーリスクで止められるはずがない!!)


するとヒロムの背後からクロナとシズカ、メイリンが高く飛び上がって全身に魔力を纏いながら攻撃を放とうと構え、テミスの背後でイシスが無数の魔力の矢を展開し、アルカの隣でフランが黒炎の龍、メイアが氷の槍を生み出しながら構えていた。


(オレたちの攻撃を全て防いだとしてもそれで終わりじゃない!!

オマエのその得体の知れない力にこの攻撃が防がれても、一瞬はあるはずのインターバルの隙をついて波状攻撃を仕掛ける!!)


「オレたちにしか出来ない戦術……それを見せてやる!!」


「……無駄だと言っている」


アマゾネスがため息をつくとユリアの放つ重力負荷力が引き剥がされ、そしてヒロムの予想通り彼らの放った攻撃が全て何かによって防がれてしまう。


が、それを見たヒロムは叫んだ。


「今だ!!」


ヒロムの言葉を合図にフランたちが一斉に攻撃を放ち、さらにディアナたちの背後からマリアがランファンとともにアマゾネスのもとへと駆けていくと拳を叩きつけようと攻撃を放つ。


そしてヒロムは両手の武器を捨てるとフレイとマキナがそれぞれ武装として用いている大剣を二本装備してアマゾネスに向けて巨大な斬撃を放つ。


「これで……どうだ!!」


「……なるほど。

その圧倒的数を利用した波状攻撃を利用して私を倒そうと考えてるのですね」


ヒロムの考えを理解したアマゾネスはそれを口に出すように呟く。


が、彼女はため息をつくと全身に殺気を纏う。


そして……


「私を倒すには足りない……!!

……破っ!!」


殺気を纏うアマゾネスが息を吸うなり叫び、その叫び声によって強い衝撃が走り、その衝撃が烈風となってマリアとランファンを吹き飛ばし、さらにヒロムやフランたちが放った攻撃を破壊してしまう。


「な……」


「私を倒したいのならもっと本気を出せ!!」


アマゾネスがさらに叫ぶと強い衝撃波が無数に放たれ、放たれた衝撃波によってヒロムたち全員が吹き飛ばされ、衝撃波は円卓の間を破壊していく。


「くそ……!!」


衝撃波を受けて吹き飛んだヒロムは吹き飛んだ先で倒れてしまうが、何とかして立ち上がるとアマゾネスを睨みながら構え直す。


「ま、マスター……」


立ち上がり構えるヒロムの姿を目の当たりにして何とか立ち上がろうとするフレイたちだが、そんな彼女たちを見ながらアマゾネスはヒロムに向けて言った。


「どんなに力を合わせても所詮はその程度。

精霊のマスター、アナタの力は何も成し遂げることが出来ない。

従者の力を底上げする性質を持つ力を発動してもアナタは何も出来ずに倒される」


「この野郎が……余裕がある感じが腹立たしいな」


「事実を告げているだけ。

現にアナタとその従者の攻撃は私には届いていない。

届くことも無く終わっている」


「……」


「精神の深層に向かおうとする者としてはあまりにも無様で情けない。

未熟な力でよく今まで死なずに済んだものだ」


「そうかよ……オレがまだ未熟だって言いたいんだな。

だったら未熟かどうか試してみるか?」


するとヒロムが全身に駆け巡らせる白銀の稲妻をさらに激しくさせると、さらに紫色の稲妻も全身に走らせる。


「はぁぁぁぁぁぁあ!!」


二色の稲妻を全身に走らせるヒロムはその稲妻を大きくさせながら力を高めるように声を上げ、ヒロムのそれに呼応するように稲妻は大きくなるとヒロムの全身をさらに駆け巡る。


「はぁぁぁぁぁぁ!!」


「……無駄なことを。

何度やっても結果は変わらない」


「……どうかな。

オレが未熟だって言うなら……オレの覚悟を見せてやる!!」


「マスター!!」


ヒロムが強い意志とともにアマゾネスに向けて言葉を放つ中、何かに気づいたフレイがヒロムを止めようとするかのように叫んだ。


「ダメです!!

それ以上力を高めればマスターの体は確実に精霊に変化してしまいます!!

それ以上変化したら……マスターの体の半分が精霊と同じになってしまう!!」


「……止めるな。

覚悟を決めてやらなきゃコイツを倒せないんだ」


「だとしてもマスターが限界を超えるようなことをしなくてもいいはずです!!

他に方法が……」


「他に方法があるとしても目の前の敵を相手にしている今、それを探す余裕はない!!

正体の分からぬコイツを倒すためにはここで確実に倒すための手段を選択しなきゃならない!!

これが……その確実に倒すための選択だ!!」


ヒロムが強く叫ぶと二色の稲妻はさらに激しさを増し、そして彼の体の中から稲妻とともに殺気と強い衝撃にも似た力が溢れ出る。


そしてヒロムの瞳が紅く輝くとともに彼の全身が白銀の輝きを放ち始める。


「これは……」


「……待たせたな、アマゾネス」


ヒロムの体から溢れ出る輝きを目にして驚きを隠せないアマゾネスに向けてヒロムは一言放つと走り出し、一瞬で距離を詰めるとアマゾネスに向けて拳を放つ。


ヒロムの放った拳、アマゾネスはそれを手甲を盾にする形で防いだ。


これまでヒロムたちの攻撃を防ごうとも避けようともしなかったアマゾネスが初めて防御したのだ。


「この力……人の身でどうして……」


「オマエを倒すためにオレはこの体をさらに変化させた。

四割だったものを今は五割くらいまで進行させたからな……それなりに力は増してるんだよ!!」


ヒロムはさらなる一撃を放つことでアマゾネスを殴り飛ばし、殴り飛ばされたアマゾネスは受け身を取るなりヒロムの動きを警戒して構える。


「マスター……」


アマゾネスを殴り飛ばしたヒロムのもとへフレイが歩み寄ると彼女は不安を抱いたような面持ちでヒロムを見つめ、それに気づいたヒロムは申し訳なさそうに言った。


「悪いな、勝手なことして」


「……勝手すぎますよ。

後戻り出来ないのに、半分を超えるかもしれないような変化を自分で引き起こすなんて……」


「けどこれでアマゾネスを倒せる。

まずはヤツを倒してからだ」


「……倒したらまずはマスターの体に異常がないか調べますから」


「分かってるよ。

だから……力を貸してくれ」


当然です、とフレイが答えると倒れていたラミアたちも立ち上がって構え、ヒロムは深呼吸するなりアマゾネスに向けて叫んだ。


「いくぞ、アマゾネス!!

その身に宿す魂燃やして……オレたちを滾らせろ!!」

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