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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
竜装魂霊編
229/672

二二九話 死神強襲


時は少し遡る……



紅真キリハを倒した紅月シオン、雨月ガイ、黒川イクトは倒した敵から情報を聞き出すために尋問をしていた。


「さっさと吐いた方が楽だぞ」


「がぁぁぁあ!!」


シオンによる尋問だが……傍から見れば拷問に近い。


シオンの能力である雷でキリハの全身に引き裂きながら焼くような激痛が走り、そして断末魔にも似た叫びがキリハの口から出ていく。


「楽になりたいならさっさと言え。

このままだと死ぬことになるぞ?」


「誰がオマエなんかに……!!」


「オマエの頭にオレが電気信号を送って情報を話すように仕向けてるのに耐えやがって……。

オマエのせいでオレはこんな事してるんだからな」


「はっ……!!

オマエの力に屈するオレじゃない!!」


「……あっそ。

ガイ、コイツはこのあとどうなる?」


シオンは何か気になることがあったのかガイに向けて質問をした。


質問されたガイはキリハがどうなるか、それについて一度間を置く形で考えるとそれについて大体の範囲で話した。


「おそらくだがコイツは始末されるだろうな。

生かしておいてもヒロムを狙う危険性があるかぎりは生かす理由もないだろうからな」


「なるほど……。

なら今始末しても問題ないよな?」


「何をする気だ……!?」


シオンの一言、それを聞いて嫌な予感のしたガイは彼を止めようと考えたが、シオンはそんなこと構うことも無くキリハの頭を掴むなり彼の全身に雷を流し込んでいく。


が、その流し込まれていく雷の量がおかしかった。


流し込まれた雷はキリハの体内に収まらないのか溢れ出そうとしており、尋常ではない量の雷を流されるキリハはただ悶え苦しんでいた。


「!……!!!!……!!」


「抗うってなら抗えないようにしてやる。

廃人化する可能性が高いけどな……」


「うわぁ、えげつないことを……」


「よせシオン!!

そいつは……」


「コイツは敵だ」


シオンの行動に引き気味のイクトに対して危険性を感じたガイは止めようとしたが、シオンは自分を止めようとするガイを制止するように告げた。


「コイツは敵、始末されるのならここで壊れても大差はない」


「限度がある。

始末するとしてもそれをやるのは蓮夜たち「月翔団」の仕事だ」


「関係ない」


シオンはキリハに流す雷を強くし、止めようとしないシオンの行動にガマンできないガイは霊刀「折神」を抜刀しようとした。


その時だ……


「……オレの他に……「覇王」を狙うヤツがいる……」


シオンに雷を流され続けられているキリハの口が開き、少しずつ言葉を発し始める。


が、言葉を発するキリハの意識は消えているのか目は虚ろで一切動く気配はなかった。


ただシオンの雷による電気信号で強制的に言葉を発する人形のようになったキリハは続けて言葉を発する。


「……向かってるのは……「紅炎竜」、「蒼炎竜」……そして「狂破竜」……。

ヤツらは「覇王」を殺すために……動いている……」


「……そうか」


シオンは雷を止めるとキリハを投げ捨てる。


投げ捨てられたキリハは転がるように倒れ、そのまま一切の動きを見せる気配もなくなる。


意識を失って倒れるキリハのことを気にかけることも無くシオンはガイに向けて言った。


「死ぬ直前に情報を吐いたぞ」


「……やり方に問題があるけどな。

とりあえず、敵は他にも動いてるようだな」


どうする、とガイはシオンに訊ねようとしたが、それよりも先にシオンは彼に言った。


「ヒロムの方に向かう。

それ以外にないだろ」


「だがヒロムと合流しようとして挟み撃ちにあったら別行動の意味が無い。

向かうにしても何か策を考えないと……」


「その敵にヒロムより先に接触するのは?」


突然のイクトの言葉、ガイとシオンは理解出来なかったが、イクトは二人に分かるように言った。


「ガイは大将と合流するために安全を確保したいんだろ?

だったら敵の居場所を特定してオレたちが奇襲かければ大将に危険は及ばないだろ?」


「だが敵の居場所をどうやって特定するんだ?」


「未来視してもらうんだよ、未来視」


「断わる」


イクトは笑顔でシオンを見つめ、見つめられたシオンは即答で断る。


が、イクトは折れない。


「じゃあもっかい電気信号流して聞いて」


「分かった」


「おい!!」




数分後ーー


何とかして敵の居場所を聞き出したシオンはイクトに伝え、それを聞いたイクトはガイに伝えた。


「よし、オレは先に向かってるからガイはその敵をどうにか処理したらシオンと一緒に大将に連絡入れてそっちへ向かってくれ。

真助とシオンをオレの方に向わせて、ガイは大将を逃がしてくれ」


「待てよ。

それならシオンも……」


「電気信号流すのに能力使って消耗してるだろうから休んでもらうんだよ。

まっ、その間に終わってたらゴメンだけどね」


「……ならひとまずは任せるぞ」


「おうよ」


***



時間を戻して現在……高層マンションの屋上


さて、とイクトは大鎌を構える中で目の前の素性の知れぬ男三人を見ながら敵に言った。


「アンタらが「紅炎竜」、「蒼炎竜」、「狂破竜」の三人で間違いないよな?」


「貴様……なぜオレたちのことを知っている?」


「なぜだと思う?」


蒼牙の問いに対してイクトははぐらかすような言い方をし、イクトの言葉を受けた蒼牙は少し考えるとある可能性について思いついた。


「弾馬め……口を割ったか!!」


「あらら、そっちにたどり着いたか。

まっ、割ったのに変わりないけどな」


「そっち?

まさかテメェ……」


イクトの言葉から何かに気づいた紅牙は敵を睨みながら真相を確かめるように問い詰めるかのごとく言葉を発する。


「テメェ、キリハに何かしやがったな!!」


「……頭のいいヤツがいるようだな。

その通りだよ。

彼は簡単に口を割ってくれたよ」

(シオンが滅茶苦茶したおかげだけど……多分人としては半分終わってるような状態だったし……)


「キリハをどこにやった!!」


紅牙は怒りを顕にしながら身を包んでいたローブを脱ぎ捨ててその姿を晒す。


真紅の武術道着にも似たような戦闘装束に身を包み、紅い髪と金色の瞳を持った青年である紅牙は魔力を纏うなりイクトに向けて走り出す。


「力づくでも答えさせてやる!!」


「悪いね……答える気はないし、倒される気もない!!」


イクトは自身の黒い瞳を金色に輝かせると無数の影の腕を出現させ、無数の影の腕を拳に変えると紅牙に向けて放つ。


が、紅牙は全身に纏う魔力を紅い炎に変えるとそれを放出して影の攻撃を全て弾いてしまう。


「!!」

(紅い炎、だと!?)


「オレは「紅炎竜」の紅牙!!

この紅き炎の力……その身に焼きつけてやる!!」


「いらないね。

紅い炎はアイツの炎だけで十分なんだよ!!」


イクトは新たに無数の影の腕を出現させ、紅牙に向けて放つとともに大鎌を強く握りながら走る。


紅牙は走り出したイクトを見ると紅い炎を強くしながら迫り来る影の腕を破壊し、破壊していく中でイクトとの距離を詰めていく。


そんな中……


「さて……オレは目的のために行くぜ」


イクトと紅牙が戦いを始めた中で一人の男がその場から去るように走り出した。


「貴様!!

どこに行く気だ!!」


「悪いがオレはオマエの指示を受ける気は無い!!

好きにやらせてもらうぜ!!」


蒼牙は男を止めようと叫ぶが、男は聞く耳を持とうとせずに高層マンションの屋上から飛び降りていく。


「……あのクソッタレが!!」


「くそっ!!

一人逃がしたか!!」


男が一人逃げた、そう思ったイクトは逃がさぬように追いかけようとするが、紅牙が行く手を阻むとイクトの邪魔をするように炎を放つ。


「どこ見てやがる!!

オマエの相手はオレだろ!!」


「邪魔すんなよな、熱血野郎!!」


「……仕方ない」


紅牙とイクトが睨み合う中、蒼牙は苛立ち混じりにため息をつくと黒いローブを脱ぎ捨て、青い髪と青い戦闘装束に身を包んだ姿を見せると魔力を纏いながら紅牙に向けて言った。


「紅牙、コイツを始末してあのバカを拘束する。

その後に標的を殺すぞ」


「分かったよ蒼牙!!」


「させると思うか!!」


イクトは叫ぶと大鎌に魔力を纏わせ、巨大な斬撃を放って紅牙と蒼牙を倒そうとした。


……が、蒼牙は蒼い炎を右手に纏わせると迫り来る斬撃を粉砕し、さらにイクトに向けて炎を放つ。



「貴様の意見など求めていない。

オレはやると言えばやる、有言実行を胸に抱いて戦う!!」


「今度は蒼かよ!!」


イクトは自身に向けて放たれた炎を避けると影の一部で銃を生み出し、それを手に持つと紅牙と蒼牙に向けて魔力の弾丸を数発放つ。


が、放たれた弾丸に向けて紅牙と蒼牙は紅と蒼の炎を放ち、迫り来る弾丸を焼き払うと無力化してみせた。


「この程度でオレたちを倒すだと?」


「笑わせるなよ、おい。

オレたち「双炎」を倒したければ本気で来い!!」


イクトの力に対して呆れたような物言いをする蒼牙、そしてイクトを挑発するかのように煽る紅牙。


そんな二人の扱う炎を見たイクトはある事を感じていた。


「コイツらの炎……」

(見覚えがある。

それもスゴく身近なところでだ。

紅と蒼……大将に仕えし二人の戦士と同じ色!!)


「オマエらのその力……まさかとは思うが、ソラやガイのを真似たのか?」


「真似た?

少し……いや、根本から違うな。

オレたちの炎はかつて赤と青だった」


イクトの疑問を解決させるかのように蒼牙は語り始める。


「赤と青……二色の炎は互いに力を高めあえる位置にある力だった。

そしてその力は竜装術を宿すための竜……つまり「紅炎竜」と「蒼炎竜」の力を宿したことで今の力へ進化した。

この力を得たことでオレたちは強くなった」


「その力が人の命を踏み躙ってつくったものだとしても誇らしく言えるのか?」


「……適材適所。

この力のために犠牲になった者は初めからそういう運命にあった。

それだけだ」


「テメェ、うるさいから死ねや!!」


紅牙と蒼牙は紅と蒼の炎の巨大な球を生み出すとイクトに向けて放ち、放たれた炎の球はイクトに向かっていく中で力を増すように大きく膨れ上がっていく。


が、そんな二人の攻撃が迫る中でイクトは避けようとしなかった。


まるで……攻撃されることを待っているかのようだった。


そんな風にも思えるイクトだったが、彼はため息をつくと紅牙と蒼牙に冷たい眼差しを向ける。


そして……


「……それが誰の炎を模してるのかはよく分かるよ。

だからこそイラッとする!!」


イクトは大鎌に魔力を纏わせると一閃を放ち、迫り来る二色の炎を両断してしまう。


「「!!」」


「本物の炎はこんなもんじゃねぇ……!!

オマエらみたいな偽物の炎はここで消してやるよ!!」

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