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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
心想恋華編
189/672

一八九話 conspiracy deter


シンクの口から告げられた鬼之神麗夜という男の目的。


それを聞いたイクトと夕弦は驚愕し、あまりのスケールの大きな話にユリナはついて行くのに必死で困惑していた。


が、ヒロムは先程まで驚いていたのに今はどこか落ち着いてるように見えた。


「……それが本当だとしてコイツはオレを始末して「姫神」を乗っ取って何をする気なんだ?」


「ただ自警団を大きくするためとしか聞いてないが……ヒロムを狙うってことは「八神」から何らかの見返りを求めてるはずだ」


「見返り、か……口車に乗せられて利用されてるだけだろ?」


「鬼之神麗夜は冷静な男だ。

これまで動きを見せなかったのも何か理由があるはずだ」


どうかな、とヒロムは興味が薄れてきたのか軽い返事を返すが、それを聞いたイクトは心配そうにヒロムに話しかけた。


「いいのか大将?」


「ああ?」


「だって相手は「姫神」と深く関わってる相手なんだろ?

敵に回ったとして大将が……」


「手を出せない、て?

悪いけどオレの前に立ちはだかるなら容赦はしない。

ただ……この男の動きがないなら手を出せないのに変わりはないな」


イクトの心配など気にすることなくヒロムは冷たい言葉で返すと少し悩み始めた。


シンクは鬼之神麗夜という男が「八神」と関係を持っており、「竜装術」を使用する能力者を従えて「姫神」の家とヒロムの命を狙っていると言ってはいる。


が、そのシンクの情報だけでは敵として攻撃することは無謀すぎるし、それがヒロムを誘き寄せるためにシンクを利用した罠だった場合返り討ちにあう危険性がある。


現状、シンクの情報だけで鬼之神麗夜の行動を阻止しようと動こうにも危険が伴うがために容易に動けないのだ。


「シンク、他に情報はないのか?」


「他の情報……?」


「ああ、今のままじゃコイツを止めるには決定打に欠ける。

コイツを追い詰められるほどの情報が欲しい」


「……鬼之神麗夜は冷静な男であると同時に用心深い男だ。

今回オレと接触してきたのもなにか思惑があるはずだが……」


「ないのか?」


「……ああ、それ以上の情報はないな」


「あのさ、一ついいか?」


「どうした?」


ヒロムとの会話を中断させるようにイクトはシンクに向けてあることを確かめるように質問をした。


「鬼之神麗夜ってのが大将や「姫神」を狙ってるんだよな?」


「ああ、ヤツはオレにそう言ったからな。

それがどうした?」


「考えてみたんだけど……「姫神」を乗っ取るのなら蓮夜さんたちの動きを封じようとしないか?

現状「姫神」の部隊である「月翔団」の団長であるあの人に邪魔されればコイツの計画も台無しになるだろうし」


「ああ、そのことか。

蓮夜には一応報告はしてある」


それを早く言え、とヒロムは冷たい言い方でシンクに告げるが、言われたシンクは弁解するようにヒロムに言った。


「蓮夜に言ってはあるが確定情報はオレが聞いた言葉だけ。

「言葉だけなら知らないの一点張りになった時厄介だ」とヒロムと同じことを考えていたよ」


「じゃあなんで大将に……」


「一つだけ……オレの中で方法がある」


これまでそんな素振りを見せなかったシンクがイクトに言うと、ヒロムは興味を示しながらシンクに尋ねた。


「どんな方法だ?」


「可能ならもう一度斬角に連絡してみる。

ヤツなら何か……」


「おい、ふざけたこと言うなよ。

なんで大将を狙うヤツに頼らなきゃならないんだよ」


「だが直接的な情報となれば今では斬角に頼るしかない。

敵だということはわかっているが、利用出来るのなら利用すべきだ」


「それで大将が危険に晒されたら……」


シンクとイクトの意見がぶつかり合う中、突然ヒロムの携帯電話の着信音が鳴り響く。


それによって二人の論争は止まり、ユリナや夕弦の視線はヒロムへと集まっていく。


視線が集まる中ヒロムは携帯電話を取り出すと通話ボタンを押して耳もとへと携帯電話を近づけた。


「……誰だ?」


『おいおい、困ってるようだから情報をやろうとしたのによぉ。

その言い方はないんじゃないかぁ、姫神ヒロム?』


電話越しに聞こえてくる男の声、ヒロムにはその声に覚えがあり、そしてその人物を知っていた。


「鬼桜葉王……!!」


『ご名答だ』


「……どうやってオレの番号を調べた?」


『気にするなよ。

それよりも今は鬼之神麗夜についてどうにかした方がいいんじゃないのかぁ?』


どうやって鬼之神麗夜のことを知ったのかは分からないが鬼桜葉王の口からその名が出たことにより、ヒロムは少し苛立ち混じりに舌打ちをすると電話越しの相手に問う。


「用件はなんだ?」


『大した話じゃないさ。

ただオマエが鬼之神麗夜のことを知って今頃悩んでると思ったからなぁ』


「お見通しってか……」

(こんなヤツに見透かされてるのが腹立たしい……!!)


『まぁそんな邪険にするなよ。

悩める少年にいいことを教えてやろうと思ってなぁ』


「ならさっさと言え」


『それは……』


電話越しの葉王がヒロムに向けて話そうとした時、病室の扉を誰かがノックした。


突然のことでヒロムは一瞬通話を終わらせようとしたが、イクトが扉の方へと向かったためそれをやめた。


扉へ近づくなりイクトは静かに扉を開けると、扉を開けた先にはノアルとシオンがいた。


「おっ、珍しい組み合わせだな」


「ちっ……コイツがシンクの見舞いに行きたいって言ったんだよ。

監視されてる自覚がないのか知らんが……迷惑なヤツだ」


茶化すようなイクトの言葉にシオンは舌打ちをしながら嫌そうに言うとノアルとともに中へと入ってくる。


そしてシオンはヒロムの顔を見るなり何かを思い出したのかポケットから何かを取り出した。


「ヒロム、フロントで渡されたんだ。

オマエ宛てらしい」


「オレに……?」


シオンはヒロムに何か封筒のようなものを手渡し、ヒロムはそれを受け取ると中身を取り出そうと開けた。


すると電話越しに葉王がヒロムに話しかけた。


『封筒は受け取ったか?』


「……まさかオマエが送ったのか?」


『正確にはオレの手下だけどな。

まぁそれはいいとして……それはオマエが必要としていた決定打になる鍵だ』


「中身を見ない限りは信用出来ないがな」


ヒロムは葉王の言葉を疑いながらも封筒の中身を取り出した。


封筒の中から出てきたのは数枚の写真と一枚のSDカードだった。


「これが決定打に……?」


見てみろ、と葉王に言われるがままに写真を見るとヒロムはそこに写るものに驚きの表情を出してしまう。


何が写っているのか、それが気になったイクトはヒロムの横から写真を見て確認すると写っていたものを見て思わず声を出してしまう。


「マジかよ!?」


「おい、それは何だったんだ?」


自分がヒロムに何を渡したのかが気になってしまったシオンも写真を見るが、同じ写真を見てるはずなのに二人が驚く理由が分からなかった。


「これは……角王の獅角だよな。

横の黒髪の男は誰だ?」


「え……見せてください!!」


夕弦が声を大にして言うとヒロムは彼女に写真を手渡し、夕弦はシンクとともに写真を確認した。


「これは……!!」


「……ヒロム、電話の相手は?」


「鬼桜葉王だ」


「なるほど……信用していいかはさておいて、これは決定打になるな」


ヒロムたちが見た写真、そこにはシオンが言ったように「八神」に属する「角王」の獅角がおり、そしてその獅角と何かを話している鬼之神麗夜という男が写っていた。


「……一体どこで手に入れた?」


『さぁな、それを知る必要ないだろ?

それをさっさと「姫神」の偉い人間に渡してヤツを拘束するなりすればいい』


ヒロムは確かめようと葉王に問いかけるが、葉王は答えようとしない。


それどころか話題を逸らすかのように急に違うことを話し始めた。


『さて……そこに紅月シオンと東雲ノアルがいるよな?』


「オマエ……どこかでオレらのことを見てるのか?」


『そんなわけないだろ?

それより、質問に答えろ』


「……二人ならここにいる。

それがどうした?」


『実は鬼之神麗夜の自警団に属している人間の一人がある場所に向かっているらしい。

ちょうどオマエがいるところから近い所になぁ』


「……二人と一緒にそこに向かえってか?」


『察しがいいなぁ。

その通りだよ姫神ヒロム。

相変わらずの頭の回転の速さだ』


「それをオマエに言われるのは初めてだと思うがな……。

どこに向かってるんだ、そいつは」


『……姫咲女子学園』


「姫咲女子学園……?」


『伝えたからな?』


場所を伝えるなり葉王は一方的に電話を切ってしまう。


「あっ、おい!!

……切りやがった」

(つうか姫咲女子学園ってどこだよ……?)


聞き覚えのない場所の名前にヒロムは頭を悩ませていると、その名を口にした際に聞いていた夕弦がヒロムにそれについて話した。


「ヒロム様、姫咲女子学園は隣町にある中高一貫の女子校です」


「女子校!?

なんでそんなところに……」


「鬼桜葉王は何と言ってるのですか?」


「……鬼之神麗夜の自警団の人間がそこに向かってるらしい。

シオンとノアルがいるか確認されて、今から二人を連れて向かえって……」


「なぜオレが行かねばならん!?」


「……なるほど」


女嫌いの自分がなぜ行かなければないけないのかと不満しかないシオンを他所に夕弦は何か分かったようで、ヒロムにあることを話した。


「ヒロム様、昔行われた共同生活を思い出してください。

あの生活の中でこの学園の生徒と会ってるはずです」


「共同生活で?

オレが女子校のヤツと会ってるってか?

いたかな、そんな……」


『何かあったら声をかけてくださいね』

『フフッ、アナタは優しいのね』


夕弦に言われて思い出そうとしたヒロムの頭の中で二人の少女の言葉がよみがえる。


と同時にヒロムは夕弦が何を言ってるのか理解したらしく、シオンとノアルを見るなり二人に伝えた。


「悪いけどオレに付き合ってくれないか、厄介なことになりそうだ」


「おい、なんでオレが女子校に……」


「人の命がかかってるからだよ。

今頼れるのは二人だけなんだ」


「人の命だと……!?」


ヒロムの一言を受けてシオンは何かあるのではないかと察すると文句を言うのをやめて話を聞こうとした。


「何が起きている?」


「最悪の場合鬼之神麗夜の手下の人間はそこにいるオレの関係者を襲う気だ」


「それは何のためにだヒロム」


「ノアル……オマエも覚えておけ。

大きな獲物を狙う時はその獲物にとって足枷になる人質を用意しろってな」


「おい、まさか……その言い方だと……」


そうだよ、と困惑するイクトにヒロムは言うと全員に聞こえるように結論に至った自分の考えを伝えた。


「ヤツらはおそらく姫咲女子学園にいる二人の生徒を狙ってる。

オレを殺して、「姫神」を乗っ取るためにな」


「「!!」」


「ヒロム様、それは……」


「夕弦、イクト。

二人に頼みがある」


ヒロムは写真とSDカードをイクトに手渡すと夕弦と彼にあることを頼んだ。


「イクトはこれを蓮夜に渡してくれ。

最悪の場合カルラでもいい」


「お、おう!!」


「夕弦、あとの二人の安否確認頼めるか?」


「そちらはスバル様が向かわれてるはずですが……念のために確認しておきます!!」


「頼む!!

じゃあ……」


「ヒロムくん……」


ヒロムがイクトと夕弦にそれぞれ依頼した中、ユリナは一人不安そうな顔で彼の言葉を待っていた。


「ユリナ……」


「わ、私は……」


「ここでヒロムの帰りを待とう」


不安を感じるユリナに向けてシンクは言うと、続けて彼女に伝えた。


「キミに何かあればヒロムが悲しむ。

ヒロムのことはシオンとノアルに任せてここで待っていよう」


「は、はい……。

ヒロムくん……無理しないでね?」


わかってるよ、とヒロムは微笑みながら言うとシオンとノアルに向けて告げた。


「いくぞ。

鬼之神麗夜の目論みは何としても止めてやる!!」

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