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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天獄激闘編
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一四四話 闇の魂動


「殺す……オマエがオレを?」


ヒロムの言葉を聞いた飾音はため息をつくと、全身に風を纏わせるとともにヒロムに向けて風の矢を放つ。


が、ヒロムに向けて放たれた矢はヒロムの目の前で何かに消滅してしまう。


「……やっぱりか」


「あ?」


「それはおそらく「クロス・リンク」しているアリアの力……「守護」の結界術によるものだな。

もう片方の精霊の能力が合わさったことでその性質が大きく変化し、性能が上がってるようだが……大したことないな」


「まぁ、オマエがやろうとしてる計画には何の支障もないよな」


飾音のもとへバッツが近づくとともに飾音はバッツに手をかざす。


するとバッツの体から紫色の光が溢れ出し、それが飾音の手の中へと吸い込まれていく。


「これで本領発揮出来る……!!」


「しっかり預かってたぜ。

オマエのためにな」


「さて……計画のため、障害を排除するぞ!!」


飾音とバッツが動き出し、それに反応してヒロムも動き出してしまう。


「ぶっ殺す!!」


「待てヒロ……」


「口で止めるくらいなら加勢するぞ、ガイ!!」


シオンは全身に雷を纏わせると体と同化させて「雷鳴王

」を発動させ、ヒロムを追いかけるように走っていく。


「……ああ!!」


「やるぞ……ガイ!!」


ガイは「修羅・絶天」を発動し、ソラは紅い炎を纏わせると「炎魔劫拳」を発動してともに走り出した。


「おいおい……元気なヤツらだな!!」


バッツは紅と蒼の炎を放とうとするが、一気に距離を詰めてきたイクトと夕弦に邪魔をされてしまう。


「ほぅ……」


「あの時の借りを返してやるよ……バッツ!!」


「アナタは私たちが倒す!!」


「オレも忘れんなよ!!」


すると黒い雷を纏いながら地を駆けてきた真助がバッツに殴りかかる。


が……


「甘いなぁ……はっ!!」


バッツが両手を広げるとともに衝撃波が生まれ、イクトと夕弦、真助は吹き飛ばされてしまう。


「……さて、順番に殺すか」


バッツはイクトたちに追撃を加えようと追いかけていく。


が、その傍らでヒロムは飾音に向けて大剣を振りかざしていた。


「飾音ぇぇ!!」


ヒロムの大剣の一撃、飾音はそれを素手で止めるとともに大剣を弾き飛ばし、ヒロムに向けて蹴りを放つ。


が、ヒロムはそれを避けると大剣を手に取り構えようと手を伸ばすが、飾音は右手に雷を纏わせるとともにヒロムに向けて放つ。



「……!!」


至近距離からの雷撃、それを受けたヒロムは大きく吹き飛ばされ、吹き飛んだ先でアリアとマキアとの「クロス・リンク」が解けてしまう。


「ヒロ……」


「次だ」


飾音は紅い炎で龍をつくり出すとソラとガイに向けて放ち、二人はそれを止めようとして力負けしてヒロムと同じように吹き飛ばされてしまう。



「ぐぁ!!」


「キサマ!!」


「雷鳴王」を発動しているシオンは目にも止まらぬ速さで飾音の背後に移動すると共に雷の槍で敵の身を穿とうとするが、飾音に触れる瞬間に槍は砕け散ってしまう。


「なっ……」


「こんなものかい?」


「……まだだ!!」


挑発するような飾音の態度に対してシオンは怒りを露わにしながら連撃を放つが、飾音はそれを避けようともせず、それどころかシオンの全ての攻撃は飾音に触れることなく何かに遮られてしまう。


まるでヒロムが先程まで発動していた「クロス・リンク」、「戦剣王姫」の力を再現しているようだった。


「コイツ……!!」


「選ばれた力もないただの能力者がオレを倒せるわけないだろ?

そんなことも分からないのか?」


「黙れ……!!

アンタはここで……」


「うるさいな……!!」


飾音は蒼い炎を身に纏うとシオンを何度も殴り、さらにシオンの腹に蹴りを入れると宙に浮かせ、掌底づきを放って殴り飛ばしてしまう。


飾音の攻撃、それを受けたシオンの体は打撃を受けたと思えぬほどに斬られたような傷があり、そして倒れるとともに「雷鳴王」が解除されてしまう。


「これは……ガイの……」


「なんでアンタがオレの能力を……」


「バッツから受け取ったのさ。

本来のオレの能力と一緒にアイツが吸収した能力をな」


飾音は得意げに説明すると紅い炎……つまりはソラと同じ炎を右手に纏わせると周囲に竜巻を出現させて炎とともにヒロムたちに向けて放つ。


「イービルメント・ディザスター」


炎と竜巻が一つになり、爆炎の竜巻となるとともにそれはヒロムたちに迫っていく。


「くっ……!!」


迫り来る攻撃、それを前にしてソラとガイは立ち上がるとヒロムを守ろうと構え、ヒロム自身も立ち上がると白銀の稲妻を纏い始めた。


「……「クロス・リンク」!!

「烈火」テミス!!「獄炎」フラン!!

……「烈獄焼炎」!!」


ヒロムのそばにテミスとフランが現れるとヒロムとともに炎となり、ヒロムは赤い炎と黒い炎を彷彿とさせるロングコートを纏ったような姿へと変化すると銃剣と剣を構えて飾音の攻撃をガイとソラとともに迎え撃とうとする。


「「はぁぁぁぁ!!」」


三人は魔力を纏うとともにそれぞれが持っている強力な一撃を放ち、爆炎の竜巻にぶつける。

が、爆炎の竜巻は止まらず、それどころか三人の攻撃を消滅させると三人に襲いかかる。


「な……」


「弾け飛べ」


飾音が指を鳴らすと、三人に襲いかかる爆炎の竜巻が炸裂し、三人は勢いよく吹き飛ばされていく。


「「うわぁぁぁ!!」」


「さて……やるか」


飾音は全身に雷を纏うとシオンの「雷鳴王」にも似たような姿となって走り出し、そして目にも止まらぬ速さでガイとソラに連撃を叩き込んでいく。


「が……」


「は……」


「トボロジック・キャノン」


ガイとソラ、二人に向けて手をかざした飾音の両手に紫色の炎と雷が現れると巨大な球体となっていき、それらはガイとソラに向けて放たれるとともに大きな爆発を起こすように炸裂し、二人に大きなダメージを与えながら倒していく。


攻撃を直で受けた二人は倒れるとその身に纏った力が消え、立ち上がろうにも立ち上がれずにいた。



「殺すか……」


「させねぇ!!」


ガイとソラにトドメをさせようとする飾音を止めようとヒロムは接近して武器を構えるが、飾音が指を鳴らすと武器は音もなく壊れ、そしてヒロムは衝撃波に襲われて再び「クロス・リンク」が解けてしまう。


「ヒロム!!」


氷を身に纏い、「竜装術・氷牙竜」を発動して氷の翼を大きく広げながら飛翔したシンクはヒロムを守ろうと飾音に向けて氷の矢を放つが、飾音はそれを風の刃ですべて砕き、さらに風の槍を放ってシンクの氷を次々に破壊していく。


「……!!」


「オマエでも勝てない。

これが現実だ」


全身の氷が砕けるとともにシンクは倒れてしまい、そしてヒロムは跪くように膝をついてしまう。


「コイツ……」


「ぐぁっ!!」


バッツを倒そうとしていたイクトたち三人までもが負けたのか、三人は大きく吹き飛ばされており、バッツは飾音のもとへとゆっくりと向かっていた。


「そ、そんな……」


力の差、まさしくそれを見せつけられたのだ。

今までならどうにか乗り越えてきた。


ヒロム一人で無理だとしても、ガイたちと力を合わせれば不可能はなかった。


なのに……



これまでを否定されるかのようにすべてを覆され、そして力を見せつけられたのだ。


「理解したか?

これが現実だ」


飾音はヒロムの頭を掴むなり体を持ち上げ、そして冷たい眼差しを向けながら告げた。



「オマエがこれまで順調に勝ててたのはオレがそうなるように仕向けたからだ」


「何……?」


「オマエの力を引き出すために裏でバッツに指示を出して動かさせた。

徐々に力を増す敵を前にすればオマエは精霊を呼び出すと思ったからな」


「そのために……「ハザード・チルドレン」や「ネガ・ハザード」を……リュウガたちを巻き込んだのか……」


「巻き込んだは心外だな……何の意味もなく生きる彼らに意味を与えてあげたのだからね」


「ふざ……」


「ふざけるな!!」


ヒロムの言葉を遮るとともに、ヒロムを助けようとフレイは現れるなり大剣を構えて飾音に襲いかかるが、大剣は飾音に触れることなく破壊され、そしてフレイは蹴り飛ばされてしまう。


「きゃあ……!!」


「オマエは黙ってみてろ。

これからオマエは従うしかないのだからな……!!」


飾音が指を鳴らすとヒロムは闇に包まれていく。


「が……あああ!!」


闇に飲まれていくヒロムは徐々に苦しみだし、その悲鳴を聞いたガイたちは慌てて立ち上がるとヒロムを助けようとするが、飾音の前に無数の能力者が列を為して現れる。


「どけ……」


「やめておけ。

彼らは「四条」により能力を極限まで強化された強化兵だ」


「な……「四条」だと……?」


「ああ……盗聴器の設置者が七瀬アリサと思ってたのか?

いや……研究所の時の話でそう勘違いしたのか?」


飾音の言葉に困惑するソラに対して彼は尋ねると、続けてそれについて語り始めた。


「元々ヒロムは「十家」を嫌っていた。

だからそんなヒロムに協力を申し出るようなヤツが現れればオマエたちの誰かは信用する。

そして何かあればそいつを疑う、そうすればすべてを上手く進められる」


「オマエの計画のためだけに……「七瀬」を利用したのかよ!!」


ソラは怒りを隠せずに紅い炎を身に纏い、飾音に向けて解き放つが、列を為して現れた「四条」の強化兵が身代わりになってしまい、飾音に届かなかった。


そんな中でヒロムを飲み込む闇は次第に大きくなり、ヒロムはその中へと消えそうになっていた。


「マスター……!!」


「くっ……」


「さて……これで完成する。

一人で多くの力を有した最強の兵器がここに完成する!!」


「……なるほど……!!」


飾音の言葉を前にして闇に飲まれながらヒロムは笑みを浮かべると白銀の稲妻を纏い始め、そしてその稲妻はフレイの身にも纏われる。


「マスター……!?」


「オマエの思い通りにさせるかよ……!!

オレの可能性は尽きても……希望だけは消させねぇ……!!

絶対に……希望が勝利に導く!!」


「無駄な足掻きを!!」


飾音が身に魔力を纏うとヒロムを飲み込もうとする闇はさらに大きくなり、ヒロムの全身を飲み込むと白銀の稲妻を消し去る。


そして全身を完全に飲み込むと大きな球体へと変化していく。


いや、例えるなら繭と呼ぶのが相応しいのかもしれない。


「ヒロムー!!」


ガイが叫ぶ中、ガイたちの背後に「四条」の強化兵と思われる能力者が現れ、そして飾音が高らかな笑い声とともに彼らに告げた。


「さぁ、喝采しろ!!

これが「八神」を真に最強にする完全兵器……!!

八神ヒロムの完成だぁ!!」


黒い繭が砕け、黒い粒子を散りばめながらヒロムが姿を現す。


が、その瞳は魂が宿っていないかのように冷たく、そして紫色に染まり、彼の赤い髪も闇に染っていた。


「さぁ、ヒロム……かつての仲間を殲滅しろ!!」

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