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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天獄激闘編
136/672

一三六話 機械天使


「これがオレの真の力だ!!」


四枚の翼を広げて天へと飛翔するトウマ。


そしてその傍らで何かを形取る大きな光の塊。

その光からはこれまでヒロムたちが感じたことの無い異様な力を放っており、廃工場全体を大きく震撼させていた。


トウマはその光の塊を見つめながら、何かを語り始める。


「……虚構の中で生まれし銀色の覇者。

天霊に認められしその力、王である我に頭を垂れて従え」


「な……なんでオマエが……」


「ヒロムと同じ精霊の詠唱をしてんだ!?」


トウマの口にする言葉を聞いたガイとソラが戸惑う中でトウマはそれを止めることなく続けて語る。


「一切合切を拒み、受け入れしは光のみ。

導くは因果なき勝利の世界……!!」


光はさらなる姿へと変化し、人のような姿へと変わると翼を出現させる。

人の姿となった光は徐々に姿を見せるが、鎧のようなものを身に纏ったような姿をし、鋭い爪、人というよりは異形なものに思える骨格を有していた。


「天元解放……天使・オーディン!!」


トウマが天使と呼ぶ光の中より現れた全身機械で造られた兵器のようなそれは悪魔のような雄叫びを上げるとヒロムたちを睨む。


体長はおおよそ三、四メートル。

大きく広げた翼を含めた場合、それをはるかに凌ぐ巨体となる。


天使、トウマがそう呼んだ機械兵器のようなものは呼称されたものには程遠く、強いて言うなら悪魔や化け物だ。


「……オーディン、とは大層な名前付けてカッコつけやがって」


「北欧神話の主神にして戦争と死の神を名乗りながら天使とは……いや、悪魔みたいな見た目だな」


「……どっちでもいい。

コイツごとアイツを潰す!!」



シオンとシンクがオーディンに対して各々の思いを口にする中、ヒロムはトウマを倒そうとやる気になっていた。



「ならどうする、ヒロム?」


やる気になっているヒロムに対して指示を求めるようにガイは尋ね、そんなガイに対してヒロムは語り始めた。


「バッツがトウマと繋がってるならトウマは第一に狙うべきだ。

けど、その前に必ずバッツとあのデカブツが立ちはだかる」


「だったら?」


「……デカブツとバッツを任せる。

トウマはオレが潰す」


無理だな、とトウマの声がするとともにヒロムたちに勢いよく突風が吹き寄せる。


「!?」


「……オーディンはオマエたちを倒すために完成させたんだ」


「何を……」


何を言っている、そう言おうとしたソラはトウマとバッツのそばにデカブツ……オーディンの姿がないことに気づいた。


「まずい……!!」


そしてその瞬間、今吹き寄せてきた突風の正体を理解したソラは全身に炎を纏うと慌てて後ろを振り向く。


振り向いたソラの視線の先にはオーディンがおり、ヒロムたちを背後から襲いかかろうと左腕を構えていた。


「……避けろ!!」


ソラが叫ぶことでヒロムたちは背後のオーディンに気づき、ヒロムたちは慌てて避けようと走り出す。


それと同時にオーディンが左腕を大きく横に薙ぎ払うが、ヒロムたちは何とか避ける。


が、オーディンの一撃は強力すぎるために衝撃波が生まれ、ギンジと彼の戦う「ハザード・チルドレン」たちを吹き飛ばしてしまう。


「うわぁぁぁあ!!」


「ギンジ!!」


「外したか……。

次は当てろ、オーディン」


トウマが命令を下すとオーディンは構え直し、勢いよくヒロムに襲いかかる。


「ヒロム!!」


ガイは「修羅・絶天」を発動させると蒼い炎とともにオーディンの攻撃を防ぎ、身を呈してヒロムを守った。


だが、オーディンのパワーが強すぎるがためにガイは徐々に押され始め、耐えれなくなったガイは吹き飛ばされてしまう。


「がっ……!!」


「テメェ!!」


吹き飛んだガイを目の当たりにしてシオンは雷と肉体を同化させて「雷鳴王」を発動すると音もなくオーディンの背後に移動すると攻撃を放とうとしたが、それを察知したようにオーディンは同じように音もなく消えてしまう。


「な……」

(速い……なんてレベルじゃねぇ!!

動く気配も予備動作もなかったのに……あのデカブツがなんで……)


消えたオーディンについて頭の中で試行錯誤するシオンの頭上に渦中のオーディンが現れると勢いよくシオンを殴り飛ばし、壁へと叩きつけてしまう。


「がは……!!」


「あのデカブツ……!!」


「オレのことも忘れるなよ!!」


ヒロムたちがオーディンに気を取られていると、バッツがこちらに向けて走り出し始めた。


「……クソ!!

デカブツだけでも厄介なのによ!!」


ヒロムは白銀の稲妻を全身に走らせるとともにアイリスの武装である槍を装備してバッツを攻撃して動きを止めようとした。


するのソラが紅い炎を纏うとともにオーディンの方へと進み始める。


「……ソラ!?」


「ヒロム……あの機械天使はオレに任せろ」


ソラは身に纏う紅い炎をさらに大きくするとはげしく激しく燃やさせ、炎は悪魔のような姿となるとソラに食らいつく。


そして悪魔のような姿となった炎がソラと同化するとともにソラの姿が変化し、悪魔にも似たような容姿となってソラは雄叫びをあげる。


「あれは……」


両腕は肩まで、両脚とともに「炎魔劫拳」のような姿をした紅い甲殻にも似たアーマーに覆われ、さらに尾には鋭く尖った尻尾を持ち、そして炎の翼を身に纏ったその姿を目の当たりにしたヒロムとシンクは驚き、そしてトウマも何かを感じたのか警戒するような目でソラを見ていた。


「……純粋種でもないのにそこまで「魔人」を支配してるのか」


「これは面白くなりそうだな」


バッツが面白そうに笑っていると、ソラに向けてオーディンが攻撃を放とうと動き出すが、ソラは拳に炎を纏わせるとその一撃を殴り返し、さらにオーディンに接近すると蹴りを放ち、オーディンを転倒させる。


倒れたオーディンは少し起き上がるのに時間がかかったが、すぐにソラに狙いを定めると襲いかかる。


ソラもそれに応戦するように回避するなり攻撃を放っていく。


「……コイツはオレが潰す!!」


「……任せた!!」


ソラにオーディンを任せたヒロムはバッツを蹴り飛ばすと武器を投げ捨てて自身の傍にアイリスとイシスを召喚する。


さらにシンクも「竜装術・氷牙竜」の翼を大きく広げると構えた。


「バッツはオレが引き受ける。

ヒロム……オマエはアイツを頼む」


「……そのつもりだ」


トウマをヒロムに任せたシンクは飛翔するとバッツに向かって加速し、そのままバッツへ襲いかかる。



その傍ら、ヒロムは白銀の稲妻を大きくするとともにアイリスとイシスにも白銀の稲妻を纏わせる。


そして



「……「クロス・リンク」!!

「零槍」アイリス!!「幻杖」イシス!!」


ヒロムが叫ぶと共にアイリスは冷気に、イシスは霧に姿を変えるとヒロムを包み込んでいく。


「幻想にして幻影なる冷たき闘志を抱け!!」


冷気と霧が一体化するとヒロムの全身は氷の塊に覆われ、そして大きな亀裂が入ると共に氷は砕け散り、中より装いを新たにしたヒロムが現れる。


アイリスとイシスの衣装を合わせたようなノースリーブのような服を身に着け、肘まであるグローブとロングブーツを着用、さらに二つの腰布を装備していた。


洗練されたようなその姿を目の当たりにしたトウマはなぜがため息をついた。


「……何をしても無駄だ。

オレの力の前ではすべて無力化される」


「すべて……?

本当にそうか?」


するとヒロムの体から冷気が放出され、さらに周囲に霧が現れる。


そんな中でヒロムはトウマに向けて語り始めた。


「オマエの能力「天霊」は魔力や能力を無効にして消せるみたいだけど、純粋な身体能力による攻撃は無効に出来ない。

例えば炎を纏った拳も炎は消せても拳を止めれない」


「だから身体能力なら攻撃が当たると?

そんなこと、もう分かってるんだよ」


「シンクに負けたからか?」


そうだよ、とヒロムの一言に不快感を露わにするトウマは翼をさらに大きく広げると光を発してヒロムを威嚇するが、ヒロムはそれに警戒することも無く構えると走り出した。




「血迷ったか?

その姿も無効にして消してやるよ!!」


トウマは右手に光を集めるとヒロムに向けて勢いよく放つ。


魔力と能力を無効にして消し去る「天霊」の光、それは大きくなりながらもヒロムに向けて確実に迫りつつあった。


が、それでもヒロムは走る足を止めようとしない。


そんなヒロムの行動を愚かに感じて呆れるしかなかったトウマは笑うと共にヒロムを蔑むように冷たく言葉を放つ。


「無効にされて消されるのが分かってるから自爆特攻か?

哀れだな!!打つ手もなくその身を犠牲にするしかないか!!」


「ああ?

何言ってやがる?」


ヒロムとトウマの放った光の距離が僅かなところまで接近し、接触するその瞬間にトウマはヒロムを憐れむように笑みを浮かべる。


が、その笑みを打ち砕くようにヒロムは光をかき消し、「クロス・リンク」した姿を維持したままトウマに接近して顔面に拳を叩きつけた。


「!?」

(な……に……?)


想定していた展開と全く違う結果に戸惑い、ヒロムの一撃でよろけてしまうトウマは今ので口の中を切ったらしく、血を少し口から零れ落とす。


何が起きた?

トウマの中で不可解なことが起きており、思考が追いついていなかった。


「なぜ……消えない!!

オマエのその力は確かにオレの光に触れたはずだ!!

なのにどうして……!!」


「分からない、よな?

なんでオマエの能力が通じなかったのか」


「何をした!!

貴様は今、何をしたんだ!!」


「別に……?

「クロス・リンク」を発動してるだけだ」


「なぜ消えない!!

オレの力は……」


「オマエの能力が消せるのは魔力と能力だけだ」


トウマの言葉に対してヒロムが返した言葉、それを聞いたトウマは理解が追いつかなかった。


いや、意味がわからない。

なぜヒロムはトウマの能力について説明し直すのか?

それが気になってしまう。


「今更何を……」


「そもそもオマエは勘違いしてんだよ、トウマ。

オレのこの力……「クロス・リンク」は二人の精霊と同化してその二人の力を最大限に行使することが出来る状態だ」


「……精霊だから消せなかったと?

だがオマエは精霊を魔力に変えて……」


「そもそも「クロス・リンク」は「ソウル・ハック」はオレの魂を精霊と同列にして魂同士を繋げやすい状態にし、「ソウル・ハック・コネクト」や「クロス・リンク」はその状態で精霊と同化しているんだ」


「……?」



分からないのか、と未だ理解できないトウマに向けてヒロムは結論を述べた。


「今この「クロス・リンク」が纏っているこの力は能力じゃない……オレと同化した精霊の一部、つまりはオレ自身の肉体がその恩恵を受けて変化したものだ。

オマエの能力じゃ人の肉体をどうにかするのは不可能だろ?」


「まさか……精霊と肩を並べることでその力を何もない身に宿し、その上で外部から干渉されない力を纏えるというのかで!?」


「そういうことになるな。

もっとも、その能力が好き勝手消せる能力じゃないってのもあるけどな」


「まさかこの短時間で……」


「オマエを倒すために研究したんだ……柄にも無い努力してな。

さて……今のオマエとオレのどちらが「無能」か試そうか!!」

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