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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天獄激闘編
134/672

一三四話 出現


真助が霊刀「號嵐」を抜刀し、カズマに対して襲いかかろうとしていた頃。


同じように戦いを続けていたシンクと斬角の方も激しさを増していた。


「おおぉぉ!!」


斬角は魔剣「ラース・ギア」を勢いよく振り下ろすが、シンクはそれを氷の剣で受け止め、そして斬角に氷の矢を放っていく。


が、斬角は自身の能力「憤撃」の赤い雷を盾のように展開することで氷の矢を防ぎ、お返しと言わんばかりに斬撃を放つも、シンクは氷の壁を作ると容易く防いでしまう。


「こんなものか……?」


斬角を挑発し、さらに刺激するかのように言葉を発するシンクだが、斬角はそれに反応を示す様子はなく、ただ剣を構えていた。


そんな斬角に向けてシンクはある事を尋ねた。


「……トウマはどこにいる?」


「何?」


八神トウマの居場所、それを問われた斬角もさすがに反応を見せ、それを確かめたシンクは問い詰めるように続けて尋ねた。


「アイツは今どこで何をしている?

誰といる?

なぜここに現れない?」


「……うるさいやつだな!!」


斬角は走ると共にシンクに迫ると斬りかかろうと剣を振り上げるが、剣が振り下ろされるその瞬間にシンクは氷の剣で防いでしまう。


「そんなに知りたいなら調べろよ……!!

得意だろうが……人の敷地を荒し回るのはよ!!」


「荒らす?

掃除してるの間違いだな」


「何だと?」


「オマエらはあんなことをする必要も無い。

だからオレが綺麗に潰して掃除してたんだよ」


「ふざけたことを言うな!!」


斬角は勢いよく剣を振ることでシンクの氷の剣を破壊するが、シンクはすぐに氷の槍をつくると斬角に襲いかかる。



「甘い!!」


氷の槍、その一撃を剣で止めた斬角はシンクに対して告げる。


「すべては「八神」のため……「八神」が最強になるために不可欠なものだ!!

それを分かったような口で語るな!!」


「……分からないし、分かりたくもない」


シンクは防がれた氷の槍を構え直すと連続で攻撃を放ち、さらに氷の剣をつくり直すと左手に持ち、二つの武器で同時に攻撃を放つ。


が、斬角はその攻撃を魔剣で防ぐとすかさずシンクの体を貫こうと突きを放つが、シンクは剣と槍をクロスさせてそれを防いでみせる。


「オレからすれば才能あるヒロムを蔑み、見捨てたあの家に好き好んで仕えようとするオマエの思考が理解できない」


「それはこっちのセリフだ。

オマエみたいな能力に優れた男がなぜあんな男に仕える?

アイツにそこまでの価値は無いはずだ」


「……そんなもの、簡単な話だ」


シンクは氷の剣と槍を勢いよく炸裂させて氷の飛礫にして斬角に放ち、それを至近距離で受けてしまった斬角は怯んでしまい、シンクはその瞬間を逃さぬように足に氷を纏わせると蹴りを放つ。


「がっ……!!」


蹴りを受けた斬角は吹き飛び、さらに蹴りを受けた体は氷に覆われ始めていた。


「この……」


斬角は赤い雷を手に纏わせると氷を破壊して立ち上がると剣を構えるが、そんな斬角にシンクは話の続きをした。


「オレがヒロムに仕えるのはアイツにすべてを託せるからだ。

オレの命も含めた何もかもを託せるほどの人間だからこそオレは仕えることを誓った。

そしてオレはアイツの役に立つために戦う!!」


「託す?

あんなヤツにか?」


斬角は赤い雷を身に纏うと魔剣に力を宿させると勢いよく雷と斬撃を放つが、シンクは無数の氷の壁を出現させて防ぐと斬角に迫るように走り出す。


そんなシンクを迎え撃とうと魔剣を構える斬角はシンクの考えを否定するような言葉を放つ。


「アイツがオマエに何かしてくれるのか?

違うだろ!!アイツは他人に縋らなきゃ何も出来ないだろ!!」


「縋ってんのはオマエだろ、リクト!!」


シンクは全身に氷を纏うと両手両足を氷で覆わせ、さらに翼を纏うと「竜装術・氷牙竜」を発動すると飛翔し、斬角に襲いかかる。


リクト、八神リクトという名は斬角の本名だ。

だが、斬角はこの名で呼ばれることを嫌がる。


「その名で呼ぶな……!!」


「そうやって己の名を否定して居場所を求めてるんだろ?

「八神」に生まれながらトウマやヒロムの護衛という未来しか用意されなかったことを否定したかったんだろ!!」


「だからなんだよ!!

今のオレは角王、その一人の斬角だ!!

すべてはあの方……トウマ様のためだ!!」


「だったら……教えろ!!」


シンクは右手に纏った氷を鋭く尖らせると魔剣を突き、弾き飛ばすことで斬角を無防備にし、さらに左手で斬角の胸ぐらを掴む。



何かされる、そう感じた斬角は赤い雷や魔力を纏おうと考えたが、その考えを打ち消すようにシンクはある事を尋ねた。


それは斬角の動きを止めるほどの内容だった。


「オマエとトウマ、そして飾音さんとヒロム以外の「八神」の血統にある人間はどこに消えた?」


「何を……言っている?」


どういう事なのか、それがわからなかった斬角はシンクに聞き返してしまう。


「なんで今その話になるんだ……?」


「大事なことだからだ。

……分かりにくいならハッキリ言ってやるよ。

先代当主はどこにいる!!」


「そ、そんなこと……オレが知るはずないだろ!!」


なぜだ、とシンクは斬角の言葉に対して言い返すように、そして問い詰めるかのように言い放つ。


「なんで「八神」の人間であるオマエが……正統な血筋のオマエが先代当主のことを知らねぇんだ!!」


「それは……」


「無駄な詮索をするなよ……」


するとシンクと斬角を何かが襲いかかり、二人は大きく吹き飛ばされてしまう。


「!!」


斬角はシンクの言葉に動揺しているのか受身を取れずに倒れ、シンクは何とかして受身を取ると何かが襲いかかってきた方へと視線を向ける。


そしてその先にいた人物におどろくシンクは同時に苛立って舌打ちをしてしまう。


「……高みの見物はやめたのか?」


「高みの見物?勘違いしてないか?

オレは……オレの使命を果たしに来ただけだ」


「使命……だと?」


「そうだ……忌まわしい「無能」を殺すためにな」


「ふざけんなよ……トウマ!!」


ほざけ、とシンクの前に現れた人物、黒髪に異常なまでに冷たい眼差しでシンクを見つめる少年は魔力を纏うと光の翼を身に纏う。


「八神」の当主、八神トウマだ。


なぜここにいるのか、戦場となったこの場にいる誰もが戦う手を止めてトウマを見てしまう。



「トウマ!!」


それぞれの相手を倒し、増援の部隊を倒していたガイ、ソラ、シオンはトウマを倒そうとシンクのもとへ駆けつける。


「オマエら……」


「あの時以来だな……「八神」の当主!!」


「ようやく……オマエを潰せる!!」


「二人とも落ち着け。

オレたちで……」


「オラァ!!」


ガイの言葉を遮るようにトウマの方へと拳角と狼角が吹き飛ばされ、そしてヒロムが勢いよく現れる。


「……よぉ、久しぶりだな」


ヒロムは殺意に満ちた瞳でトウマを睨み、そしてトウマもヒロムを睨んでいた。


そんなトウマに加勢しようと拳角と狼角は立ち上がるとヒロムを睨みながら構える。


「トウマ様……ここは我々に……」


「アナタは下がって……」


「バカを言うなよ。

オマエらは役不足だ」


するとトウマのもとへ紫色の煙が現れ、その煙は突然拳角と狼角を弾き飛ばしてしまう。


「!?」


「オマエらは時間稼ぎでしかない。

本命はトウマとオレだ」


紫色の煙が人の形になると、徐々に姿を見せ始める。


が、その姿を見たヒロムたちは言葉を失ってしまう。


それは、ここにいるはずのない存在。

かつてヒロムが倒したはずの存在だからだ。


「な……」


「なんで……」


「……驚くなよ。

驚くのはこれからだぜ!!」


紫色の鎧に包まれた戦士は仮面越しでは表情が読めず、狂気に満ちた殺意を放ち始める。


「……いくぜ、オマエら」


「……生きてたのか……バッツ!!」


当然、と紫色の鎧の戦士・バッツは笑い声とともに答えるとヒロムを指差しながら語る。


「まさかオレが死んだと思ってたのか?

甘いなぁ、オレは死なないように手を打ってたんだよ」


「ありえない……オマエは魔剣と一緒にあの時ヒロムが倒したはずだ!!」


目の前の現実を否定するかのようにガイは言うが、バッツが目の前にいるのは確かだ。


そしてガイが言うようにヒロムがパーティーの日にバッツを倒したのも確かな話だ。


あの日……パーティー会場に恐怖を与え、イクトを瀕死の重傷に追いやった張本人。


それが目の前に再び現れたのだ。


「さて……どうするかな」


「当然、「無能」を殺す」


「ダメだ。

まだヤツは精霊を隠している。

殺すのは確かめてからだ」


「……面倒だな。

だけど、オマエとあの人の頼みだからな……聞いてやるよ」


トウマとバッツ、二人の会話が続く中でヒロムはある事を思っていた。


それはなぜここにいるのかということだ。


前回はヒロムの父親・姫神飾音に憑依し、さらにヒロムたちの力を吸収したことで新たな肉体を手に入れてヒロムたちを苦しめた。


なら今回は?


ヒロムのなかで嫌な予感がしてならない。


「バッツ、オマエは……」


ヒロムがバッツに問おうとした時、銃声が響き、弾丸がバッツ襲いかかる。


が、弾丸はバッツに当たることなく、空気中で破壊されて消えてしまう。


「……邪魔するなよ」


「邪魔するさ……オマエはオレの敵だからな」


弾丸が飛んできた方向からゆっくりと一人の男が歩いてくると、その男はヒロムたちの前に立つとバッツに銃を構える。


そしてその男の登場はヒロムたちをさらに驚かせたのだ。


「なんでここに……」


「……息子が頑張ってるんだ。

ならオレも頑張らないとね」


突如現れた男・姫神飾音は笑顔で答えるとともに魔力を纏い、トウマとバッツに狙いを定める。



そんな中、ヒロムの中で新たな疑問が生まれたらしく、ガイとソラもを見ると深呼吸をした。


「……やるしか、ないよな」


ヒロムの呟き、それが聞こえていたらしくガイとソラは心配そうにヒロムに視線をむけるが、ヒロムは心の中で何かを決意したらしく全身に白銀の稲妻を纏うとガイたちに伝えた。


「……援護してほしい。

すべてを……ハッキリさせる!!」


「任せろ」


「ああ、そのつもりだ」


ガイとソラは魔力を纏うとそれぞれ蒼い炎と紅い炎をその身に纏い、シオンも雷を、シンクも飛翔するとヒロムは拳を強く握り、そして敵を睨みつける。


「……いくぞ!!」

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