表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
天獄激闘編
130/672

一三〇話 乱戦開始


「覚悟決めろや!!」


ヒロムは勢いよく獅角に殴りかかるが、獅角はそれを避けてヒロムとの距離を取ろうとする。


「その程度で出し抜いたと思うなよ、「無能」!!」


獅角が叫ぶと斬角と刃角が刀剣を構えてヒロムに斬りかかろうと接近して振り上げる。


が、ガイとシンクはヒロムのもとへ駆けつけると、ガイは刃角の一撃を止めると斬撃を放つと共に吹き飛ばし、シンクは勢いよく斬角を蹴り飛ばしてしまう。


「「!!」」


「ヒロムを殺らせると思ったのか?」


「まぁ、今回も倒してやるよ……斬角!!」


ガイは刃角、シンクに斬角に向かって走り出し、ヒロムはそれを確認すると獅角に攻撃しようとしたが、それを阻むようにリュウガたち「ネガ・ハザード」が化け物の姿へと変化して襲いかかってくる。


「!!」


それを察知したヒロムは難なく避けると構え直すが、リュウガたちは猛攻を止めようとせずに次々に攻撃を放つ。


「今回は必ず殺してやる!!」


「やれるならやって……」


ダメだよ、と影の拳がリュウガたち「ネガ・ハザード」を殴り飛ばし、彼らの前に立つようにイクトと夕弦が現れる。


「オマエら……」


「コイツらはオレらが引き受けるよ、大将」


「ヒロム様は角王をお願いします」


イクトと夕弦は影の拳が吹き飛ばしたリュウガたちのもとへと向かっていき、そしてソラとシオンがヒロムの隣に並び立つ。


「さて……角王を分担するかヒロム。

射角はオレに譲れ」


「じゃあ、オレは獅角をもらう」


ソラとシオン、それぞれが倒したいであろう相手を名指しすると走り出し、ヒロムはため息をつくとともに拳角と狼角に視線を向ける。


「……来るなら来やがれ」


「……決着をつけてやる、「無能」!!

この間みたく炎で焼かれる前に潰してやる!!」


狼角は雄叫びをあげるとともに狼の獣人へと姿を変え、拳角も炎を纏うと飛翔する。


「いくぞ……あの時の屈辱的な敗北の借りを返させてもらうぞ!!」


「やってみろ……今回も返り討ちだぁ!!」



***


「この野郎!!」


刃角は刀で斬りかかるが、ガイは霊刀「折神」で刀身を斬って粉砕してしまう。


「オイオイ……また前の時みたく隠す気か?」


「……そんな気はないけどなぁ!!」


刃角は壊れた刀を捨てると柄のみの刀を両手にそれぞれ三本ずつ計六本構えると魔力と雷を纏わせ、魔力の刀身を出現させる。


無限の刃を冠する霊刀「無刃」、そして霊刀「無刃」は霊刀で唯一と言っていいほどの派生がある刀。

それは作ったのが親子三代であり、初代は「無刃」、二代目は「無刃・朧」、三代目は「無刃・暁」と霊刀に名付けたからこそ霊刀唯一の派生のある刀となったのだ。


そしてそれを所持しているのが刃角だ。


「後悔するなよォ、ガキ。

今回ばかりは殺しに行くからな!!」


「ああ……そのつもりで来いよ!!」


ガイは「折神」に「修羅」の能力による蒼い炎を纏わせると走り出し、刃角も体に魔力を纏うと迎え撃とうと走り出した。


「「はぁっ!!」」


ガイと刃角、二人が同時に刀を振るうことで斬撃が放たれ、斬撃同士がぶつかり、さらに刀同士もぶつかる。


刀同士の衝突、本来なら火花を散らし力と力のぶつかり合いで拮抗する可能性もあったが、これは普通の刀による戦いではない。


霊刀、能力を用いた運用を前提として生み出された刀同士の戦いだ。


未知の領域、互いの持つ能力と霊刀の性質が左右する戦いだ。


が、この戦いは一方的な展開になる。


それは刃角が不運なことに目の前の敵を相手にするには不利な状況下にあることだ。


刃角の霊刀「無刃」は魔力を刃にすることで無限の刃を誇る武装、そして雷の能力だ。


対するガイは魔力や能力を与えればあらゆるものを斬るほどの斬れ味を発揮する霊刀「折神」を持ち、そして触れたものを次々に斬り裂く能力「修羅」を有している。


「はっ!!」


ガイが刀を振り切ると霊刀「無刃」の魔力の刃は悉く粉砕され、そしてガイの一撃の余波によって刃角はその身に斬撃を受けてしまう。


「なっ……!?」


「この間は剣術だけでアンタと互角だった。

けどな……今のオレは能力を使う分前よりも力は増している。

そして今のオレに……斬れないものはない!!」


「……斬れないものはない?

豪語しやがって……!!

オレの刀は無限の刃を持つんだ!!」


刃角は「無刃」に対して再び魔力の刀身を出現させるとガイに向かって何度も何度も斬りかかるが、ガイは「折神」で防ぐと同時に刃を破壊し、その度に刃角は刀身を作り直していた。


「オマエがどれだけ壊そうが、何度でも……」


「分かってねぇだろ?」


ガイは「折神」の柄を刃角の腹に叩きつけて怯ませると全身に蒼い炎を纏い、そして刃角を蹴り飛ばして刀を構え直す。


「アンタはあの時から戦い方も力も変わってねぇ……。

けどオレは強くなるために己を磨き続けた!!」


ガイは体勢を低くするとともに走り出し、その過程で刀を鞘に収めると体を回転させ、刃角に接近するとともに勢いよく抜刀した。


「受けろ……これが進化した奥義!!

夜叉殺し……抜天!!」


ガイが抜剣すると同時に放った斬撃は蒼い炎を纏いながら刃角の体に命中し、大きなダメージを与えると共にその手に持つ霊刀「無刃」を破壊し、刃角を背中から倒れさせてしまう。


「がっ……!!」


傷口は酷いらしく、血が勢いよく溢れ出て、周囲の地面を赤く染めていく。


霊刀「無刃」、刃角の武装である刀は刀身だけでなく柄まで完全に破壊され、六本すべてが使い物にならないレベルになっていたのだ。



「勝負あったな」


刃角の体のダメージ、破壊された刀、現状の刃角の状態から勝負を続けることは無駄だと考えたガイは一言刃角に告げたが、それを聞いた刃角は諦めることをせずに動こうとする。


「……まだ、だ……」


刃角は倒れながらも何とかして立ち上がろうとするが、ガイは刀を突きつけると冷たく言い放つ。


「前回は剣術で互角だったが、今回ばかりはすべてにおいてオレが上回った。

故にアンタは負けたんだ」


「……まだだぁ!!」


刃角は立ち上がるとともに雷を纏わせた拳でガイに殴りかかろうとする。


「……哀れだよ、アンタは。

剣士なら剣士らしく、刀剣同士の勝負に負けたなら潔く負けを認めろ!!」


「認めてたまるか……!!

オレは……」


「だったらオレも認めねぇ……!!

オマエらがアイツを見下すことを!!」


ガイは刃角の拳を柄を用いて防ぐと勢いよく体を回転させ、その勢いを上乗せした蹴りを放ち、刃角を蹴り飛ばして気絶させ、その場に倒れさせる。


「……が……」


「……せめて剣士として誇りを抱くアンタの本気を見たかったよ」

(「八神」に加担してる時点で生かすつもりもなかったけどな……)



***


獅角と対峙するシオンは雷を身に纏うと走り出し、勢いよく殴りかかる。


「失せろぉ!!」


「……ふん!!」


獅角は獅子の獣人へと姿を変えるとそれを避けてカウンターの拳撃を放つ。


が、シオンはそれを両手で止めると勢いよく押し返し、体勢が崩れかけた獅角の顔に蹴りを食らわせる。


「!!」


「残念だけどな……。

この間の戦闘で実力はほとんど分かってんだよ!!」


「コイツ……!!」


「どんな手を使おうとしても今のオマエがオレに勝つなんて不可能なんだよ!!」


シオンは全身に纏う雷を大きくさせると連続で獅角を殴り、それにより怯んだ獅角の脳天に踵落としを決める。

脳天への踵落とし、確実に決まった。

そう思えたが……



「……なめるなぁ!!」


獣人と化した獅角の防御力故なのか獅角はビクともせず、雄叫びをあげながらシオンに向けて衝撃波を放っていく。


だがシオンはそれを避けるのではなく、全身に纏う雷を衝撃波が来る方向へと大きく展開することで防いでいく。


「悪いな……。

その程度で倒されるオレじゃねぇんだよ」


「生意気な……」

「生意気?

勘違いしてんじゃねぇぞ……!!

今のオレはな、オマエらのやり方に怒りで煮えたぎってるんだよ!!」


シオンはすぐに右手へと雷を収束させると獅角を殴り、さらに左脚に雷を纏わせると獅角の体に勢いよく蹴りを食らわせる。


「力を持たない無抵抗な人間に危害を加えてまで目的を果たそうとするオマエらのやり方が気にいらねぇ……!!

やるなら正々堂々かかってきやがれ!!」


「綺麗事を言うな……!!

我々にはどんな仕打ちを受けてでも全うすべき使命がある!!」


「そんなことまでして成さなきゃならねぇ使命よりもテメェの中のプライドに従えよ!!」


シオンは雷を大きくすると無数の弾丸に変化させて獅角に向けて撃ち放つも獅角はそれらをすべて避けるが、シオンは攻撃を避けた獅角に接近すると顔面に蹴りを食らわせる。


「能力者としての誇りも、強者としての己の矜持……オマエからはそんなものは感じられない!!

あるのは……無様なまでに落ちぶれた使命感だけ!!

そんなヤツに……オレは負けねぇ!!」



シオンはその場で勢いよく回転すると獅角の顔をさらに蹴り、そして勢いよく蹴り飛ばすと頭上に巨大な雷ほ塊を出現させる。


「見せてやるよ……!!

オレの誇り……オレの生き様を!!」


頭上の雷は形を変えていき、巨大な虎へと姿を変えると雄叫びをあげ、そして獅角に襲いかかる。


「造形術だと!?」


「昨日ソラとシンクに模擬戦頼んだからな……おかげで造形術の感覚もやり方も覚えれたんだよ!!」


「バカな……これが……」


「受けろ、怒りの雷撃を!!」


虎は大きな口を開けるとともに獅角に食らいつこうとしたが、獅角は両手に魔力を纏わせて虎を止めようと掴むが、その獅角の背後へとシオンが音もなく現れる。


「な……」


シオンの出現に驚いた獅角は反応が遅れ、その瞬間を逃すことなくシオンは両手に雷を纏わせるとともに鋭い刃へと変化させて襲いかかる。


「雷獣滅爪斬!!」


シオンの雷の刃が獅角を背後から切り裂き、その一撃で一瞬力が緩んだがために雷の虎は自由を取り戻し、獅角に食らいつき、大きな爆発を起こすように炸裂してしまう。


「ぐぁぁぁぁあ!!」


獅角は爆発と雷撃に襲われ、元の人の姿に戻ると倒れてしまい、そして爆風に飲まれてしまう。


倒れていく獅角を見ることもなくシオンは背を向けると、資格に吐き捨てるように告げた。


「……オマエじゃオレは止められねぇ。

そしてオレは……止まらねぇ」


爆風が風に乗って消えると、そこから倒れている獅角が姿を見せ、そして獅角がシオンに向けて手を伸ばしながら倒れているのが確認できた。


最後の足掻き、そう思えるような姿で倒れる獅角を横目で確かめるように見たシオンは振り返ることもなく去ろうとする。


「オレは堕ちた強者に何かを語る気は無い……。

そのまま負けを噛み締めろ」


最後の言葉を獅角に告げたシオンは雷を纏うとともに走り出す。


角王や「ハザード・チルドレン」の後方から続々と現れる敵の増援を見るなりシオンは笑みを浮かべ、そして高く跳び上がると雷を放とうとする。


「次は誰がオレの相手をしてくれるんだ!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ