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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
戦撃絶真編
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一一四話 暴炎の人


「かかってこい」


ソラは挑発するように「鬼」と「鳥」に告げるが、二体は中々動こうとしなかった。


いや、動いてはいるのだがそれはソラに向けて進んでるわけではない。


むしろ逆だ。

今「鬼」と「鳥」はソラから離れようとするかのように後ろへ下がっているのだ。


「コイツ……何なんだよ!?」


「し、知らないわよ!!

倒せばいいだけでしょ!!

見てくれだけ変わった相手に怯えてんじゃないわよ!!」


「何だと!!

ふざけたこと言うな!!

オレは……」


もういいか、とソラは首を鳴らすと二体に対して確かめるように告げ、そして指をポキポキ鳴らしながら歩き始めた。


「逃げてもいいぞ?

その時は情け容赦なく殺すだけだ」


「この……調子に乗るな!!

オマエの力じゃオレたちは倒せねぇ!!」


「そうよ!!

アンタはどうせ私たちに殺されるのよ!!」


「……やれやれ。

理性を失った化け物の方がどれほどマシか……」


するとソラの姿が音もなく消えてしまう。


どこに消えた?

ソラを見つけようと「鬼」は周囲を見渡すが、姿がない。


が、「鳥」は動こうとしない。


「少しは素早くなったってか?

おい、オマエも突っ立ってないで……」


「なんで……」


「鳥」の微かな声で発せられた一言、それは何なのか理解できない「鬼」は首を傾げるが、その意味をすぐに理解することとなる。


「鳥」は突然全身が紅い炎に包まれ、そして大きな爆発とともに吹き飛んでしまう。


「な……」


突然のことで驚く「鬼」だが、そんな「鬼」の体に何かが叩きつけられ、「鬼」は壁に衝突するように吹き飛んでいく。


「バカな……!!」



何が起きたか理解できない「鬼」は壁に衝突し、さらに無数の炎がその身に襲いかかり、再生しつつあった体が焼かれていく。



「ああああ!!」


「こんなもんか……」


音もなく消えたソラは音を発することなく二体の前に現れるなりため息をつく。


「あれだけ大口叩いてこんなもんか……。

呆れて笑う気にもなれねぇ」


「黙……」


「鬼」が何かを言おうとすると同時にソラの体に現れた尻尾が動き出し、「鬼」の首を締め上げる。


「がっ……!!」


「どうした、何か言いたいなら言えよ」


「ふざけるなぁあ!!」


すると「鳥」が高く飛翔すると、加速しながらソラに狙い狙いを定め、翼を大きく広げながら突進していく。


その途中、「鳥」は無数の風の刃に身を包み、壁を抉り、地面を破壊していく。


しかしソラはそれを見ても逃げようとせず、それどころか動こうともしなかった。


「……なめるなぁぁあ!!」


「どっちがだよ」


「鳥」がソラに勢いよく突進してダメージを与えようとした時、ソラの目の前で何かが弾け、「鳥」の周囲のものすべてが焼け焦げ、そして「鳥」自身の体もひどい火傷を負ってしまう。


「な……」


「その程度でオレを倒せると思うな」


ソラが「鳥」との距離を詰めて殴ると、「鳥」の全身は紅い炎に飲まれていき、さらにソラの周囲に無数の炎の龍が現れて「鳥」に向かってつぎつぎに襲いかかっていく。


「ああああ!!」


「テメェ……ふざけたことしてんじゃねぇぞ!!」


味方がやられていることに対しての怒りなのか、「鬼」は声を荒げて叫ぶとソラに攻撃しようと走り出す。


だがソラはそれを気に止めることもせずに自身の尻尾に炎を纏わせると、それを勢いよく地面へと突き刺した。


「!?」


「ふざけてんのはどっちだよ。

身の程も弁えない無知が偉そうに吠えてんじゃねぇよ」


尻尾の炎が地面へと消えていくと、「鬼」の周囲に無数の炎の柱が現れ、「鬼」はその柱に襲われて炎に包まれていく。


「ぐおおおお!!」


「そのまま焼け果て……」


まだだ、と「鬼」は必死にもがいて炎の中から抜け出すと紫色の炎をソラに向けた放つ。

だがその炎はソラに向かっていく途中で音もなく消滅さていき、そして「鬼」の周囲が紅い炎に覆われていく。


「な、なんで……」


「能力者の戦いは強い方が勝つ……。

基本中の基本だろうが」


ソラは地面より尻尾を抜くと翼を大きく広げて「鬼」との距離を詰め、そして左手で敵の頭を掴むと逆の手に紅い炎を集中させていく。


「こ……の……」


「中途半端に人の感情抱いてるからこうなるんだよ。

化け物は化け物らしくいればよかったのによ……哀れだな!!」


ソラは集中させた炎を纏わせた拳で「鬼」を殴り、左手を離すと共に勢いよく殴り飛ばしてしまう。


「鬼」は勢いよく殴り飛ばされると「鳥」のそばで倒れ、ソラは二体に狙いを定めると両腕に炎を纏わせる。


「終わらせてやるよ……」


「この……化け物がぁ!!」


「カタストロフィ・ゼロ・ドライヴ!!」


ソラが両手を前にかざすとともに「鬼」と「鳥」は炎に包まれ、肉体を焼き焦がすように炎が勢いを増していき、そして炎は炸裂して敵の体を破壊していく。


「「があぁあ!!」」


「まだだ」


ソラの両腕の炎が悪魔のような形へと変化すると敵に喰らいつき、二体の肉体を完全に燃やし尽くしてしまう。


「「あああああ!!」」



全身にひどい火傷を負った二体は倒れ、そこから動かなくなってしまう。


が、ソラはそんな二体を前にして炎を放とうとしていた。


「もうやめろ、ソラ」



イクトはソラの行動を止めるように声をかけるが、ソラは右手に炎を纏わせると攻撃しようと構える。


「ソラ!!」


「うるせぇ……コイツらは再生したらまた攻撃してくる。

そうなる前に殺すだけだろうが」


「そいつらの動きは止まっただろ。

これ以上はただの一方的な暴力でしか……」


「コイツらは「兵器」としてここにいるんだろ……?

間違えるなよ……オレが守ろうとしてるのは「人間」だ」


ソラは右手に纏わせた炎を激しく燃やさせると放とうとするが、イクトは影の腕を出現させるとそれを止めようとした。


「……何のつもりだ?」


「ふざけるなよ……!!

そんな理由で……」


「じゃあどうしろって言うんだよ!!

殺戮のために生み出されたコイツらを止めなきゃ意味ねぇだろうが!!」


イクトに向けて強く言い放つソラ、だがそのソラの表情からは何かに苦しんでるという思いが伝わってくる。


それを感じたイクトは何も言えずにいたが、二人の話を遮るように「鬼」と「鳥」の身に変化が生じ始めた。


「あ……ああ……」


「う……うう……」


二体の体が徐々に粒子となって、消え始めていたのだ。


「な……」


目の前の敵の変化にソラは思わず攻撃をやめ、イクトも何が起きてるのか何となくではあるが理解した。


「……肉体が力に耐えれなくなったんだ。

再生能力でダメージは消せても肉体への負荷は消せなかったんだ……」


「つまり、トドメを刺さなくても消えるのか……?」


そうだよ、と「鬼」はソラを見ながら告げる。


「オマエの力に勝てず、己の力に潰される……惨めだろ?

笑いたきゃ笑え……」


「……」


「……どうせオレたちは失敗作だ……。

後のことは他のヤツらがやってくれるさ……」


「他のヤツら?」


どういうことだ、とソラが問い詰めようとすると「鬼」と「鳥」の肉体は完全に粒子へと変わって散ってしまう。


「……終わった……な」


戦いが終わった、それと同時にソラは元の姿へと戻るが、突然その場に倒れてしまう。


「おい、ソラ!!

大丈夫か!?」


大丈夫だ、とソラは小さな声で答えるが、起き上がる気配がない。


「本当に大丈夫か?」


「……うるせぇな。

少し休んだら問題なく動ける」



ソラはイクトに伝えるが、ただイクトは心配してしまう。

おそらく今ソラが動けないのは「魔人」の力の反動なのだろう。


(敵の攻撃も激しくなってる。

ソラも確実に「魔人」の力を使うはずだし……このままじゃ危険すぎる)


「ソラ……」


イクトがソラに何かを言おうとすると大きな揺れが起き、壁に大きな亀裂が生じ始める。


「やば……!!」

(今の戦闘でここが壊れ始めてる。

ソラの回復を待ってる暇ねぇな!!)


「悪いな、ソラ。

今から脱出するから影の中に入ってもらうぜ」




***


入口で敵を倒していた夕弦とギンジだが、激しい揺れにより崩れ始める研究所から抜け出そうとしていた。


抜け出したが中にいるソラたちが心配なギンジは引き返そうとするが、夕弦はそれを止めていた。


「やめなさい!!

今戻ればアナタも巻き込まれるわよ!!」


「わかってる!!

だけどまだ中にアイツらがいるんだぞ!!」


「ソラもイクトもアナタが思ってる以上の戦いを乗り越えてきた。

今は信じて待つしかないのよ」


けど、とギンジが不満げに何かを言おうとすると研究所が大きな爆発を起こし、崩壊していく。


崩れゆく研究所、そろを目の当たりにしたギンジは走り出そうとしたが、大きな爆発が起きるとともに爆風が二人に襲いかかる。


「くっ……!!」


爆風に吹き飛ばされぬように耐えようとする夕弦とギンジだが、爆風に乗って勢いよく研究所の残骸が飛んでくる。


「な……」


「この野郎が……!!

レジスト・ロック!!」


ギンジは勢いよく大槌で地面を叩くとともに巨大な岩の壁を作り出し、飛んでくる残骸を防いだ。


「助かったわ……」


「爆風さえなきゃ助けに行けるのに……!!」


「アナタまだそんなこと……」


夕弦が最後まで言い終える前にギンジの影が大きく膨れ上がる。


それに気づいたギンジは驚き慌てふためくが、膨らんだ影の中からイクトがソラを担いで飾音とともに姿を現す。


「危なかったぁぁぁ!!」


イクトは大きな声を出すとともにソラを下ろし、ソラも体力が戻ったのか立ち上がるが、フラついていた。


「こんな技持ってたとはな……」


「影転移……奥の手だけど体力の消耗半端ないんだよ」


「なんでオレの影から!?」


「ああ、オマエの影にマーキングしてたから。

バカだし気づかないと思ったから」


「バカってなんだよ!!」


とにかく、とソラは口を開くとため息混じりにイクトたちに伝える。


「ここは危険すぎる。

見つかる前に逃げるぞ」


「そうだね。

何かあってからじゃ遅いから早く行こう」


飾音が先行し、それに続くようにギンジが歩いていくが、ソラとイクト、そして夕弦はなぜか行こうとしない。


「どうでした?」


「気づいてたの?」


「ええ、二人が飾音様を……あの人を怪しんでいたのは」


「……まだ信用は出来ない」


ソラは冷たく言い放つと飾音の背中を見ながら二人に告げる。


「オレはあの人が不穏な動きを見せれば容赦なく殺しに行く」


「……ソラ」

(今のオマエは……どうしたいんだ?)

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