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レディアント・ロード1st season   作者: hygirl
戦撃絶真編
100/672

一〇〇話 アリス


やる気を見せるヒロムとそれに協力する姿勢見せるノアル。


そんな二人を前に呆れてため息が出てしまうアリスは冷たい眼差しで二人を見ながら告げた。


「あくまで歯向かう道を選ぶか……。

オマエたちじゃオレには勝てない」


「だから諦めろってか?

無理な話だな」



少しいいか、とノアルはヒロムにアリスについて話し始めた。


「双座アリスは天才ゲーマー。

そしてその能力は……」


「聞いてない」


ヒロムは指を鳴らすと、アルカとテミス、フレイとマリアが現れる。


さらにヒロムは情報を提供しようとしたノアルに対して告げる。


「完全に信用してはいないからな?

不審な動きをすればオマエも潰す」


ヒロムの冷たい言葉、それを聞いたノアルは頷くと、それを受け入れた上でヒロム伝える。


「それでもオマエの援護はさせてもらう。

いいな?」


「……勝手にしろ。

アルカとテミスはユリナたちを護衛しつつヤツを撃て。

フレイとマリアは隙をついて攻撃しろ」


「マスターは?」


フレイとの問いかけにヒロムは深呼吸すると体勢を低くした。


「速攻で倒すために先陣を切る!!」


ヒロムは走り出し、一瞬でアリスの前に移動する。


「へぇ……」

(速いな)


ヒロムの速度に感心するアリスに向けてヒロムは殴りかかるが、アリスはそれを避けるとお返しと言わんばかりに蹴りを放つが、ヒロムの前にフレイが現れて大剣でそれを防いでしまう。


「ほぉ……精霊にしては速いな」


「スキあり!!」


ヒロムやフレイの動きを分析するアリスの背後へと移動したマリアは魔力を拳に込めて殴るが、アリスはそれを振り返ることもせずに右肘で弾き返してしまう。



「え……!?」


予想外のことに驚いてしまうマリアだが、アリスはそれを見逃すことなくマリアに蹴りを放とうとした。


だがしかし



「甘いわ!!」


マリアを守るようにテミスがアリスに向けて炎弾を放ち、アリスはそれを避けようと攻撃を中断して高く跳び、アルカは雷弾で撃ち落とそうとする。



だがアリスは空中であるにもかかわらず自由に宙を動いて雷弾を避けていく。



「この……」


「想定内だ、アルカ」


焦るアルカに一言伝えたヒロムは高く跳ぶとアリスに殴りかかり、さらに回転して蹴りを放つ。


その両方を防いだアリスだが、そんなアリスは何かに襲われて吹き飛んでしまう。


「!!」



アリスに襲いかかったのは光に包まれたディアナとランファン。


その二人による一撃で吹き飛んだアリスは驚きつつも立て直すと、服に付いてるであろう埃を手で払う。


「奇襲、のつもりか?」


「さあな」


ヒロムと精霊の攻撃を前にしても平然としているアリスだが、そのアリスの反応を前にしてヒロムも落ち着いた様子を見せていた。


いや、むしろヒロムとしては想定内なのかもしれない。


相手は「一条」の能力者。

過去に鬼桜葉王と戦ったからこそ「一条」の能力者の実力を理解しているのだ。


「さて……どうする気だ?」


次の手に期待するアリスだが、ヒロムは首を鳴らすと拳を強く握り、姿を消す。


「消えた!?」


戦闘を見守るユリナたちは驚いて声を出すが、アリスやノアルは驚いてはいなかった。


「……オマエの戦闘力は理解している。

そして弱点もな」


アリスは両手に魔力を纏わせると、ユリナたちに向けて次々に魔力を弾丸のように放ち始める。


「きゃあ!!」


迫る攻撃に怯えるユリナたちの前にテミスとアルカ、そしてフレイとマリアが現れると、アリスの攻撃を順番に破壊していく。


が、それを狙っていたであろうアリスは不敵な笑みを浮かべながら語る。


「オマエの……オマエたちの弱点は邪魔な飾りがいることだ。

それを狙われれば戦力は分断されやす……」


「悪いな、それは理解してるんだよ!!」


ヒロムはアリスの頭上に現れると踵落としを喰らわせようとするが、アリスはそれを拳で防ぎ、魔力を叩きつけようと構える。


そのアリスの行動を見たヒロムはお返しと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべながら笑う。


「かかった……!!」


「何……?」


ヒロムの言葉が何を意味するのか、それを考えようとしたアリスの背後にフランが現れ、黒炎をアリスの体に叩きつける。


「!!」


「もらった!!」


フランは黒炎を激しく燃やし、それから逃れるようにヒロムはアリスを蹴って大きく飛ぶ。


ヒロムが離れたのを確認したフラン、そしてユリナたちのもとからテミスが走ってこちらに向かってくると二人は炎を身に纏い、アリスに攻撃を放つ。


「「ツイン・エクスプロード!!」」


二人の炎が大きくなるとともに放たれ、アリスに命中すると巨大な爆発を起こし、アリスを飲み込んでいく。


さらに追撃を放つようにランファンが魔力の龍を何体も出現させるとアリスに向けて放つ。


「剛龍翔連波!!」


爆発に飲まれたアリスに食らいつくように魔力の龍は襲いかかっていく。


「すご……」


精霊の激しい攻撃にユリナたちは驚きすぎて言葉を失っているが、それでもヒロムは攻撃をやめない。


「ソウル・ハック……コネクト!!」


ヒロムは白銀の稲妻をその身に纏い、さらにフレイたちにも白銀の稲妻が纏われる。


そしてヒロムはフレイの大剣を出現させると手に持ち、フレイとともに大剣に白銀の稲妻を刃に乗せて振り上げる。


「いくぞフレイ!!」


「はい、マスター!!」



振り上げるとともに力を増幅させ、斬撃を放つ瞬間にその力をアリスに向けて放つ。


「「クロス・バスターソード!!」」


ヒロムとフレイ、二人の大剣より放たれた巨大な力を宿した大きな斬撃は勢いよくアリスに向かっていく。



爆発に飲まれ、魔力の龍に襲われるアリスにとどめを刺すように向かっていく斬撃。



(このまま仕留める……!!

葉王と戦った時と違って容赦はしない!!)


ヒロムの考えではここまでは予定通りなのだろう。

だが、それを嘲笑うように目の前で起きることはヒロムの考えを裏切っていく。



「やれやれ……」


爆発と魔力の龍に襲われていたはずのアリスが爆風を振り払うように魔力を解き放ち、一切の傷を負っていない姿で現れ、魔力を纏わせた右足で斬撃を無力化していく。



「葉王との戦いから短期決戦でなら勝てると思ったか?

それとも飾りのために早く終わらせたいだけか?」


「この……!!」


「両方、か。

無意味なことを……」


ヒロムはフレイたちとともにユリナたちを守るように前に立ち、武器を構える。



アリスは首を鳴らすと、魔力を身に纏い、そして両手を前にかざす。


「……?」


アリスの構え、それが何を表すのかわからないヒロムは大剣だけでなく、テミスの銃剣も出現させて左手に持つ。


(何をする気だ……?)


「まあ、有効的な策だった。

もっとも……オレには愚策だがな」


アリスの両手に赤と黒の炎が現れ、それがヒロムに向けて放たれる。


「なんて技だったかな……?」


放たれた炎は徐々に力を増しながらヒロムに迫り、それを防ごうとテミスとフランが炎を放つ。



「「ツイン・エクスプロード!!」」



それだ、とアリスが指を鳴らすとアリスの放った炎が炸裂して爆発し、テミスとフランの炎を巻き込んで燃え上がっていく。



さらに……


「次はこれだ」



アリスが天に手をかざすと魔力の龍が現れ、それらが燃え上がる炎を潜り抜けながらヒロムに向かっていく。


「まさか……!!」


「撃ち落と……」



やめろ、と魔力の龍を見たヒロムは何かに気づいたのか攻撃しようとするアルカを止めると大剣を魔力の龍目掛けて勢いよく投げ飛ばした。


魔力の龍と大剣が衝突し、大きな音ともに相殺され、それにより生じた衝撃波が燃え上がる炎をかき消していく。




「……気づいたか」


だが遅い、とアリスの両手に魔力で生成された二本の大剣が現れる。



それを見たヒロムは走り出すとテミスの銃剣で撃つが、弾丸はアリスの前で砕け散ってしまう。



「ちっ……!!」


「そんな攻撃は通じない」


「……フレイ!!

ユリナたちを守れ!!」


「マス……」


「クロス・バスターソード」


アリスが大剣に魔力を纏わせると斬撃をヒロムに向けて放ち、それにより放たれた斬撃はヒロムに襲いかかると戦塵を上げていく。



「ヒロムくん!!」



ヒロムの安否が心配になるユリナは思わず大きな声で叫んでしまう。


何が起きたのか、ユリナは急かすようにフレイに問う。


「何が起きたの!!

ヒロムくんは……ヒロムくんは大丈夫なの?」


「マスターは無事ですが……最悪の事態、です」


戦塵の中から何とか攻撃を避けたであろう無傷のヒロムが現れるが、ヒロムの顔色はあまり良くなかった。


そしてフレイも、テミスたちもだ。


「どういう……こと?」


「あの男の能力……いえ、今あの男が放った技はすべて私たちがこの戦闘で放った技です」


「それって……」


フレイの言葉を聞き、真っ先に答えに気づいたアキナはそれを口にしようとしたが、それよりも先にヒロムはアリスに向けてそれを口にした。


「オマエの能力は……他人の能力のコピーか?」


「……よく気づいたな」


アリスは大剣を消すと右手に魔力を纏わせ、ヒロムに向けて弾丸を何発も放つ。


ヒロムは銃剣で切り払うようにして防いでいくが、徐々に押されていた。


「くっ……」


「理解してももう遅いがな」


アリスは右手に雷を纏わせると放つ弾丸を雷弾に切り替え、ヒロムをさらに追い詰める。


「その作戦はたしかに賢明な判断だと思った。

だが、オレは「一条」の能力者、そんな簡単に倒せると思ったか?」


アリスが放った雷弾にヒロムは手に持つ銃剣を破壊され、さらにそんなヒロムを仕留めようと雷弾は迫っていた。


「くそ……!!」


回避を余儀なくされたヒロムはユリナたちを巻き込まないようにアリスの側面に回り込むように走りながら避けていくが、それを読んでいたかのようにアリスは笑みを浮かべる。


「それだとオマエの飾りが無防備にならないか?」


「しま……」


アリスがユリナたちに雷弾を放つと、それと同時に無数の炎と魔力の龍が放たれてユリナたちに襲いかかる。


ユリナたちを守ろうとフレイたちは防御に全力を尽くすが、全てを防げず、流れ弾がユリナたちに迫っていく。


「逃げ……」


逃げろ、ヒロムがそう言おうとした時、アリスの放った攻撃が音もなく消滅していく。


何が起きたのか?


それをやったであろう人物はユリナたちを守るように立っていた。



「……今オマエの相手はこっちにはいないだろ、アリス」


ユリナたちの前に立つノアルは冷たい眼差しでアリスを睨みつける。


ノアルに対して舌打ちをするアリスだが、攻撃の手が止まったことでヒロムはアリスに接近し、彼の顔面に拳を叩きつける。


「!!」


「オマエ、よくも……」


さらなる一撃を放とうとしたヒロムだが、そうしようとした時、アリスは黒い霧となって消えていく。



「な……」


見覚えのある光景だ。

そう、ヒロムの精霊の一人、イシスの幻術と同じような現象なのだ。


だがおかしいと思うしかなかった。


この戦闘ではヒロムはイシスを呼び出していない。

アリスはイシスの存在を「一条」の情報から得ていたとしても技を見ていないはずだ。


なのになぜ、今同じことをやってみせたのか?


その答えを教えるかのようにノアルはヒロムやフレイたちに向けて大きな声で伝えた。


「アリスの能力はただのコピーじゃない!!

アリスの能力はアリスの知識にある能力を自分のものにできる能力だ!!」


「な……!?」


「それって……!?」


フレイやテミスたちが驚く中、ヒロムはバッツや葉王と戦った時に感じた恐怖に近いものを抱きながらアリスの力に戸惑っていた。


「つまり……情報さえあれば再現してしまえるってか……!!」


「……バラしやがって。

まあ、いい……理解したよな?」


するとアリスは周囲に大剣、槍、剣、レイピア、銃剣などの武器を出現させていき、炎や氷、風や雷を纏ってみせる。


「これがオレの能力、「夢幻」の力……!!

不可能のない最強の力、オマエに攻略する術はない!!」



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