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002:ポイントカードだよ、こじきちゃん!

 私が子どもの頃はまだ普及していなかったように思うが、さまざまなお店で共通して使えるポイントカードというのは、現在ではとてもメジャーなものとなった。

 実は、というほど改まった話ではないが、1円でも安いものをという考え方が今まで理解できなかった。しかし、大学へ進学してひとり暮らしをするようになってからは私もいつの間にか「あの店の方が牛乳は1円安いな」などと考えてしまっている。

 ポイントというのは、少しずつしか貯まらないものの、お得なシステムなのだなとここに来て実感している。


「お会計713円になりまーす」

 ここはコンビニ。お昼ご飯とシャープペンの替え芯を買った。

「あっ、ポイントカード忘れた」

 忘れたものは仕方ない。まあ、数ポイントくらいだし、気にすることはないだろう。と、思っていると

「はい、これ使って!」

「えっ、これは?」

「モナのポイントカードだよ!」

「う、うん」

 一緒に来ていたモナちゃんがすかさず私にポイントカードを差し出して来たのである。

 正直、予想はしていたが、実際に渡されるとビビる。あと恥ずかしい。


 コンビニを出て、大学へ戻るとノンノが学生ホールで待っていた。

「おっ、帰って来たか。いやー、みーは好きだよねーコンビニ弁当」

「いや、コンビニ弁当が好きなんじゃなくて、ここの唐揚げ弁当が好きなだけだよ」

「たいして変わらんだろー」

 私の好みなのだからいいじゃないか! とは思うが口では言わない。

「ところでモナは何買ったのさ?」

「なんも!」

「え、みーに付いて行っただけ?」

「そだよー。お弁当あるし」

 まさかとは思うが、モナちゃんは私がポイントカードを持っていようがいまいが関係なく自分のものを使わせるつもりで一緒に来たのではないか……。

 私の中にこのような悲しくも虚しい憶測が飛び交ってしまうのもこじきちゃんだからこそである。

 そういえば、レシートにはポイント残高が記載されているはず。果たして彼女の残高はどれほどなのだろうか。財布にしまっておいたレシートを取り出し、確認する。

「はっ、はっせん!?」

「な、なんだよ急に!」

 思わず大きな声が出てしまった。ノンノが不思議そうにこちらを見ている。

「ごめん。なんでもないよ」

 だって、8,206ポイントって……。

 貯まり過ぎだよ、こじきちゃん!

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