城下町を行く
さて、今回は何を話そうか。
前回調子に乗って色々話してしまったから、あまり話すネタがないんだよね。
え、自業自得だって。
しょうがないじゃないか。
だって初めて君たちと話したんだからさ。
とにかく、今回はさっさと物語に入らせてもらおうじゃないか。
今、俺は城下町を歩いている。
最悪の場合街を追い出されてその場で殺されることもあったことに今更気づいて心臓がばくばくだ。
王様がいい人で本当に良かった。
勇者召喚に巻き込んだことを謝罪してくれて、その上金貨50枚もくれたのだ。
本当は城で暮らしてもいいと言われたのだが、異世界を見て回りたかったので遠慮した。
むしろお姫様の方がよっぽど過激思考だった。
俺が勇者じゃないと知るなり城を追い出そうとしたり、こんな奴にくれてやる路銀なぞ10銅貨で十分とか言ってきたり。
合理的に考えるならばその方がいいのかもしれないが、そんな為政者では国民が付いてこないんじゃないかと思う。
そうえいば、王様のお妃様はどこにいるのだろう。
お姫様が父親の性格を受け継いでいないのなら、お妃様はやっぱり過激思考なのだろうか。
ちなみに、銅貨100枚で銀貨1枚。銀貨10枚で金貨1枚。
普通に人の1日分の食費が銅貨10枚といったところらしい。
もっとも、いろいろなところで作れる身分証明書に電子マネー的な機能が付いているので、普段は現金など持ち歩かないそうだ。
確かに銅貨を何十枚も持っていたら重くてしょうがないからな。
実は今の日本と同じように紙幣をつくる案もあったそうなのだが、もうこの仕組みが確立されていたので廃案になったのだ。
それとは別に、貴族や商人などの大きな額の取引には小切手のようなものが使われるらしい。
ということで、今俺は身分証明書、もとい電子マネーを手に入れるために冒険者ギルドに向かっている。
本当はどこかの商人ギルドの方が良かったのだが、やはり商人は信用第一らしく身元がはっきりしないと断られてしまったのだ。
王様に頼めば何かしてもらえたのだろうが、あまり目立ちたくないのでやめておいた。
やはり危険が多い冒険者稼業、身元など問われないようなので、今度はそちらに向かっている。
冒険者といえば、ステータスについて幾つか王様から説明されていた。
まず、運のステータスにだけ±が付いているのは、
「運が良いかどうかは主観的な考えです。だから、運のステータスは単純に+で表せるものではありません。運のステータスの数値が大きい人は激動の人生を歩み、小さい人は代わり映えのしない毎日を繰り返すような人生を歩むことが多いのです。」
ちなみに、これも普通の人は±10ぐらいらしい。
勇者は基本的に激動の人生を歩むことが多いので、±500ぐらいにはなるらしい。
記録によると、最もひどい人では±8000を超えたこともあるということだ。
でも、次点では±1500にまで下がるので、一人だけずば抜けているだけなのだが。
俺が人よりもはるかに激動に人生を歩んできたこともあり、[巻き込まれ体質]というスキルまであるので、±6738という数字はそこまで驚くべきことでもなかった。
俺はもうとっくに悟ったのさ。
それよりも、±8000を超えた人に黙祷を捧げます。
レベルが最初からある程度上がっていたことについては、
「レベルはステータスの強さを表す一つの指標でしかないので。」
とのことだった。
レベルが上がったからといってステータスに影響することはなく、逆にステータスが上がればレベルは上がるということらしい。
これも、この世界の一般的な成人男性が10ぐらいになるということだ。
一流の冒険者なら50にはなるそうだ。
勇者なら300越えは当たり前で、過去最高が938だというから驚きだ。
この世界でのレベルは単純に強さに比例するわけではなく、上がれば上がるほど上がりにくくなるので、一流の冒険者だけで勇者一人を倒そうとするなら、それこそ何百人単位の大決戦になるだろうと言っていた。
HPが最初から少し減っているのは、
「人間はいつも多少なりとも疲れていますし、少し怪我があればその分減ります。いつも体力全快の人などいないのです。」
だそうだ。
そんなことをグダグダ考えていると、気づけば大通りを外れていたので少し引き返す。
そういえば、この都市では犯罪が結構少ないと思う。やはり、日頃のストレスを魔物に開放できるからかもしれない。
それでもちょっとした発展途上国ぐらいは起きているのかもしれないが。
しかもその辺の人にギルドへの道を尋ねても、ちゃんと教えてくれるという親切さ。
なんて人情に溢れた街なのでしょう。
まあ、王様のいる都市ならば首都のなのだろうし、ここが特別に治安のいいところなだとは思う。
とはいえ、冒険者の中には犯罪歴のある人もいたりするし、安心してはいられない。
これからは、人混みの中で考え事はしないようにしよう。
その後は心機一転してまわりを注意深く見渡しながら歩き、冒険者ギルドらしきところに着いた。
今までに投稿したところもちょくちょく修正しているので、気になった方は読み返してみてください。
今日だけでPV100突破!合計150突破!!でも評価も乾燥も0!!!
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