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Ray of light  作者: mefa
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じゃしん様と好きな理由

「えーと幽霊ですか?」

そう言うと、少女はすこし怒ったようで

「違うわ!ドアホ!私は邪神様じゃ!」

と、なんか良く分からないとてもスペクタクルな物が目の前にいるようだ。

「えーっと、君中学生?もう暗いからうちに帰らないとな?親御さん心配するぞ?」

「どこまで私を愚弄する気なのじゃ!貴様の好きな人と結ばれたいという願いを聞き届けてここに出てきたというのに!」

その子供、凶暴につき。またからかうと、今度は噛み付かれそうだったので話を聞くことにした。

「で?そのなんだっけ?じゃしん様がなんで僕の願いを叶えてくれるんだ?」

「それは秘密じゃ。おいおい話してやろう。」

おいおい、なんか詐欺師とかじゃないだろうなこいつ。

「まぁなにはともあれコイツがあればその女もイチコロじゃ!」

と、その少女に手渡されたのは1つの小さい瓶だった。

「これは何?」

と、質問すると即答で

「媚薬じゃ。」

と答えた。

「はぁ!?」

僕はただでさえ現実離れした話に付き合ってられなくなり

「付き合ってられるか!こんなもの!」

と、強引に瓶を返しその場を立ち去ろうとした。

「待って……」

と、少女は震えながらTシャツを摘んでいる。

その声に聞き覚えがあった。昼間の声とほとんど同じ声だ。

「もしかして、昼間の声はお前か?」

そう聞くと、体が一瞬びくんとなり首を縦に降る。

「わかったよ。少しだけお前に付き合ってやるよ。」

そうすると俯いていた顔をあげ、キラキラと光る蒼色の瞳をこちらに向けてきて

「本当か?本当なのじゃな?」

と、問いかけてきた。

「本当だ。」

そう答えると、少女は僕に飛びつき

「やったー!ありがとう!」

と、無邪気な姿で僕にそういった。

「人間なんてちょろいもんじゃのう。」

小声で聞こえてしまったが、気にしないようにしよう。


どうやらこのじゃしん様は、僕にしか見えないらしく危害も僕にしか加えられないらしい。

小柄な生き物には愛嬌が沸くらしいが、こいつにはそんなのが微塵も感じられない

容姿も、服は白い着物で少し死人らしさを感じさせるが、顔立ちは特に悪くなくむしろ可愛げのあるほうだ。

朝、通学中にはるか先輩とばったり会ってしまった。

「おはよー後輩くん。」

「おっおはようございます。」

「あれれ?顔が赤いぞ?熱でもある?」

「いいいいえ!そんなことはないです!やー少し今日熱くないすか?多分そのせいですよ!あはは……。」

「そうだねー少し暑いかもなー。やっぱりこんな時にはかき氷だよね!」

「あーいいですね。頭にツーンとくる感じが癖になるんですよね。」

「そうそうそう!流石私の後輩くんだ。」

と、こんな会話をしながら歩いているといつの間にか学校には遅刻していた。


「はぁー……。」

楽しかった反面、朝からどっと疲れがでて1時間目が終わったあと、僕は机に突っ伏していた。

「あれがお主の好きな奴かー、なるほどなるほど。」

「なんだよいきなり。」

「いや、いい奴じゃなと思っただけよ。」

がーがーうるさい調子とは違く、何故か少し後ろめたさを感じた。その後の休み時間や授業中もじゃしん様が出てくることはなかった。

そして昼休み。

苦労して、屋上のピッキングに成功した僕は、誰もいない静かな心地よい風が吹き抜ける爽やかなところで、気持ちよく弁当が食べられることに喜びを感じていた。

弁当は全てお手製。だから開ける前のドキドキなんかはないが、それでも今日の弁当は美味しく感じた。

「なんじゃそれは?うまそうじゃの。」

と、じゃしん様がひょこっと出てきた。

「なんだ?食べるか?」

「どれ1つもらおうか。」

じゃしん様が食べたのはお稲荷さんだった。

目をつむり、何回も咀嚼してよく味わって食べている。

「なかなかいけるな。」

「だろ?」

自信作とまでは行かないが、よくできたほうだった。

「お前なんであの奴が好きなのじゃ?」

と、唐突に少女は話題を振ってきた。

「急になんだよ。」

「いいから答えるのじゃ。」

どうやら、拒否権はないらしい。

「先輩にとって、僕は憧れなんだ。

「いつでも笑顔を振る舞いて、みんなが常に楽しいように気を使って毎日を精一杯に生きてる。

悩み事があっても先輩を見てれば、それすらちっぽけなことに感じるくらいに。」

「でも、ある日僕は見たんだ。

先輩が裏で泣いてるところを。

どんな理由かはわからないけど、それを押し殺してまで自分たちのことを考えてくれているんだと思うと、なんか申し訳なくてさ。

僕が原因でもないのに、救ってあげたいといつしかそんな風に思うようになったんだ。」

少女は横で僕の話を真剣に聞いてくれた。

「お前のこと少し見下していた。すまん。」

と、これまたいきなり少女が謝罪をしだした。

「その先輩と言う奴が、私は羨ましいのう。」

「そうか。」

ごーっと強い風が吹き抜けた。

「さて、そろそろ戻らないとな。」

時刻はもうすぐ午後の授業が始まるところだった。

僕は走って屋上をあとにした。

その場にもう一人、別の人物が居合わせたことも知らずに。


読んでくださった方々ありがとうございます。

次で最終話になります。長い短編のような感じになってしまいましたが精一杯書いたので最終話も読んでいってください!

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