この世の仕組み
説明回。
本日2話目の投稿です。ご注意を。
さてさて、冒険者ギルドまで帰ってきたところで、なにやら真面目な顔をしたレオールに捕まった。ので、とりあえず横っ面をブン殴ってみた。
「ガフゥゥゥゥ!?」
奇声を発して飛んでいったので、無視して再び受付へ。赤髪のお姉さ~ん。
「カ、カズマさんはお強いのですね。ゴードンさんはGランクの実力者なんですが・・・。」
「まぁ、調子でも悪かったんじゃないですか?それより、登録を。」
「あ、はい!それではまずは各説明からさせていただきます。まずは・・・。」
説明はとにかく長かったので、俺の頭の中で要約しておこう。
冒険者とは市民、ギルド、国などの依頼を受け、遂行する「何でも屋」を指す。内容は多岐にわたり、犬の散歩やおつかいからドラゴンの討伐まで色々とあるらしい。
さっきあったゴードン(熊野郎)のランクについて。ランクとは『生物としての強さや格』を表すらしく、よくあるように「依頼をこなして冒険者ランクアップ!」とかそういうものでは無いらしい。しかも、『強さ』ってのは戦闘力って意味ではなく、『生きる強さ』を示すとのこと。なので、普通の生き物(一般人や動物)にはそもそもランクは付かず、逆に魔獣が多く生息する森なんかにはランク持ちの植物なんてのがいるらしい。
ランクはI~Aまでで各ランクに+(プラス)と-(マイナス)が付く。例えばF-、H+のように。かなりベテランの冒険者でG、才能があればEぐらいまでいけるらしい。ゴードン頑張った。
依頼について。依頼は、どの依頼(指名依頼は除く)も誰が受けるかは自由。ただし、ランク持ちが雑務系依頼とか簡単な依頼を受けてるとメチャクチャ嫌われる。下手するとハブられてボッチになる。依頼は成功すれば報奨金が貰え、失敗すれば違約金を払わなければならない。なので、依頼選びは慎重に、とのこと。
実際は他にも色々あるんだが、多すぎる。必要になったら覚えていこう。
さて、ここでようやくお待ちかねの。
「それではカズマさんのランクを調べてみましょう。」
「お、待ってました。で、どうすれば?」
俺がそう言うと、お姉さんは皿の上に浮いている銀色の球体を差し出した。皿を動かすと球もフワフワ付いて来るようだ。興味深い。
「では、こちらに両手を置いてください。そうすれば、こちらの受付側にカズマさんのランクが表示されますので。」
なるほど。仕組みが全く分からん。が、まぁ分かれば良いんだろうな。ちゃんと自分のランクも教えて貰えるそうだし。よっしゃ!えい!
「はい、それで結構です。カズマさんのランクは・・・え?・・・え!?」
なんというか、すごく分かり易い二度見をしてた。んでもって、「しょ、少々お待ちくださいっ!」とか言って、バックヤード(裏方)に引っ込んでいった。嫌な予感しかしねぇ・・・。
待たされること10分。酒場のテーブルに座り寛いでいた俺は、お姉さんに呼ばれたので受付へ。すると、お姉さんの横に、ガッシリしたムキムキ系のおっさんが立っていた。・・・レオールよりも強いかな?
「おお、キミがカズマくんか!はじめまして!私は冒険者ギルド・イルス支部の支部長をしている『ミラン・クーロン』と言う!どうぞよろしく!」
レオールに続きテンション高いおっさんだなぁ。とりあえず、よろしく、と返しておく。しかし、支部長まで出て来るとか・・・。
「ふむぅ。やはり『何故こんな大事になってるのか』と言いたげだな。」
「まぁ・・・はい。」
「そうだな。まずはランクの詳しい説明からせねばなるまい。ランクはI~Aでそこに+と-が付くのは知っているな?しかし、Aランクなんてのはもはや怪物にも勝る『超越者』だ、私が知る限りでも5人しかいない。さて、その上で質問だ。私は過去に『剣魔』の称号を得る程度には名のある冒険者だったんだが、ランクはいくつだと思う?ちなみに現役の時からまだランクは下がっていない。」
ん~、熊野郎よりはかなり強い。レオールよりもちょっと強い。ただ、他に比較対象がいないからなぁ。熊野郎がGなら・・・。
「D・・・+ぐらいですか?」
「ははっ、だったら良かったがね。私はE-さ。ちなみにレオールの奴もE-のはずだ。」
と、言われてもなぁ。「あぁ、そうなのか。」ぐらいの感想しか湧いてこないんだが。
「そしてカズマくん、キミだ。キミのランクは・・・Cだ。」
・・・微妙じゃね?いや、二つ名を貰えるような人よりランクが高いのは分かるけど、ハッキリ言って目の前のおっさんがEとかその辺なら、俺はAぐらいでもおかしくないと思う。だって俺がCってことは、世の中のAとかBは俺より(色んな意味で)強いって事になる。どの程度存在するのかは分からんが、かなり納得いかねー!
とか考えてる俺を、どう勘違いしたのか支部長は話を続けた。
「キミは素晴らしい才能を持っているようだ。それこそ、王族に近い素質をね。しかし、慢心してはいかんぞ?世の中はランクだけではどうにもならないことも沢山あるからな。キミが更に上を目指すなら、コツコツと努力を重ねて、しっかりと経験を積むんだ。・・・いやしかし、我がイルスに才有る若者が来てくれたのは喜ばしいことだ!歓迎しよう、才有る新人くん(ニュービー)!」
支部長の言葉と同時に、周りの冒険者達も歓声を上げる。内容は新人を歓迎するものだ。レオールが言っていたように、酒癖は悪いが気のいい人たちのようだ。
ただ、前代未聞のCランク新人ということで、1時間は放してもらえなかったが・・・。
さぁ、ギルド証も貰ったので、いざ依頼へ!と、いきたいところだが、なまじランクが高いから下手な依頼は選べない。この先パーティーを組む必要性は感じないが、他の冒険者との情報交換なんかは必要だ。無駄な軋轢を生むのはいただけない。
そうなれば、やはり討伐依頼だろう。せっかくの初依頼だ。報奨金の良いものを狙うか。
「これ、『森の怪物・討伐依頼』とかオモシロそうだなぁ。」
「やめとけ、新人のお前じゃ無理だよ。」
「ん?」
俺の独り言に答えたのはレオール。あぁ、いたのか。
「お前のせいで気絶してたんだよ!ったく、とんでもない威力の拳だぜ。さすが黒斬兎を討伐出来る実力者だ。あぁ、これ報奨金。黒斬兎の分な。カズマのソロ狩りだから全部で銀貨30枚だ。」
銀貨30枚ってどんなもんなのよ?
次回はようやく冒険者回。
ここからいろいろキャラを出していけたらなぁ。