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閑話―――その日、とある村で―――


 圧倒的なチート注意。




 本編でも出てない設定が出てきます。

 この話は飛ばしてもらっても、本編には関係ありませんので、苦手な方はブラウザバックをば。



 オーヴァーン帝国北西部、辺境の村『カキリ』。

 小さくも長閑で平和な村。村民は50人強。村全体で家族のような付き合いをしている、この世界にはありふれた村の一つ。


 そんな村に生まれた少年。名を『ソラ』と言う。

 ソラは今年15歳になる。この世界で言う成人の年だ。

 ごく平凡な少年で、上に姉が1人、下に弟3人妹1人の6人兄弟の長男。10歳から家族の手伝いで農作業を始め、今では一端の農夫扱いをされる程度には成長した。

 勿論、夢は冒険者になって名を上げて、家族に楽な暮らしをさせること。村の男子なら100%目標にする夢だ。

 休みの日や、空いた時間は自作の粗末な木剣で、鍛錬とも呼べない騎士の真似事に費やす。


 しかし、ソラも今年で成人する。いつまでも夢を見ているわけにはいかなかった。

 そこで、成人を機に村を出ることを決めた。まだ幼い弟妹に仕事を押しつけることになってしまうが、自分が冒険者として大成するまでの間だけだ。


 これも、小さな村落ではよくある話。男は冒険者になり外へ。女は村に残って、家を守り、子を育てる。

 男はいずれ夢破れ、村で待つ家族の元に帰り、村の女を娶って子を成し、長閑で平和な村で生きていく。


・・・そんな、ありふれた話。




 ただ一つ、ありきたりな物語と違ったのは。





<Side.ソラ>



 ボクは目を覚ました。まだ外は真っ暗だけど、なんだか外が騒がしい。どうしたんだろう?

 そんなことを考えていると、母さんが子供部屋に飛び込んできた。



「あんたたち!起きなさい!逃げるのよ!」



 急に何を言っているのかと思ったけれど、切羽詰まった母さんの顔が冗談じゃないことを物語っている。

 ボクはすぐに弟妹を起こし、母さんと一緒に急いで逃げる用意をする。・・・義兄さんと姉さんは無事だろうか?今は確認する暇がない。無事を祈るしかない。


 外に出ると、父さんが馬車の用意を終えていた。ところで、何が起きているの?



「つ、ついに目覚めちまったんだ!こ、『黒龍王ファブニール』が!」





 黒龍王ファブニール。この村のすぐそばにある山、「カラハト山」に眠っていると謂われていた伝説の(ドラゴン)

 その巨大な身体は30mを超え。金剛石より硬い鱗。高位の魔法障壁を張った城壁すら貫く爪。街一つ消し飛ばす吐息(ブレス)

 挙げればキリがない伝説を持つ最強の生物。



 逃げる馬車から振り返ると、カラハト山の向こう側に、巨大な影。雨雲なんかとはどうあっても見間違えようがない、圧倒的な存在感。さらに、駄目押しのように轟く咆哮。

 疑う余地すらない、あれは確かに黒龍王。

 『Aランク』の真正の怪物、ファブニールだ。



 いったい何が目的なのかは分からないけれど、黒龍王は明らかに逃げ出す村人を狙っているようだ。僕たちに向かって飛び立とうとしているみたいだ。

 正直言って、飛び立ったらもう逃げきれないだろうな、と考える冷静な自分がいる。人は死に瀕すると、こんな風になるのかな。


 黒龍王が飛び立った。10km以上離れたはずなのに、あと2、3分で追いつかれそうだ。

 普通に追いかけても追い付けるのに、黒龍王の口に轟々と燃え盛る焔が集まっていくのが見えた。

 黒龍王のブレスが発射された。全ての馬車は既に動いていない。馬が失神しているみたいだ。もはや躱すなんて出来る訳ないし、防御なんか不可能だ。



・・・ははっ、もう冒険者になる夢も叶わないのか。でも、せめて家族だけは。ボクはどうなってもいい。家族だけは・・・。










 目の前で焔が消し飛んだ。

 ボクたちの馬車の後方には、かなり背の高い・・・女性?

 髪から服、靴までもが、闇に浮かぶほどの、金色。体に沿った、かなりピチピチな服を着ていて、豊満なプロポーションが目に毒だ。

 左手を腰に当て、右手は横に払ったような体勢。立ち姿は気怠げで、首も左に傾いている。



「アタシが怖ぁいからって逃げるんじゃねぇよぉ、クズ蜥蜴野郎がよぉ。挙げ句の果てにゃあ、弱ぁいモンイジメですかぁ?マァァジで、生きてる価値ねぇよなぁ、ゴミがよぉ。」



 女の人が使うとは思えないほどの、下品な言葉に下品な口調。でも、僕も含めて村人は誰も彼女から目が離せない。

 黒龍王ですら霞むほどの存在感は、見ているだけで、なんだか、アタマが、ぽわって、して



<Side.Out>



 そこはまさに戦場だった。幾度も放たれたブレスを弾く度に、辺りは地獄のような光景になっている。

 クリスティーナは気怠げに、ファブニールを観察する。

 身体能力、魔力、知能、全てを総合。



(総合評価:65点。カッ、ゴミかよぉ。)



 もはや用はない。クリスティーナはファブニールを殺すことに決めた。


『貴様・・・!何故執拗に我を狙う!我が一体何をしたというのだ!』



 どういう理屈かは不明だが、ファブニールは人語のようなものを話せるらしい。クリスティーナには関係ないが。



「あぁ?そぉんなもん、アタシが気にイラねぇって思ったから、テメェは死ぃぬんだよぉ。他に理由がぁいるかぁい?」


『ふ、巫山戯るなぁぁぁァァァァ!!』



 ファブニールは、目の前のモノを叩き潰すように、上空から突撃する。その際に、ブレスを吐くのも忘れない。

 焔に身を隠し、その伝説級の力を宿した爪を叩きつけようとしてファブニールは絶命した。



「ギャヒヒハハハ!アタシに挑むなんざぁ10000年はぁはえぇんだよぉ!ゴミがぁ!アヒャヒャイヒアヒャアァ!」



 頭部から尻尾まで貫通した巨大な穴をあけたファブニールの死骸は、凄まじい勢いで地に激突する。

 その悪夢のような光景を背にしながら哄笑をあげる、金の悪鬼。








 名を『クリスティーナ・アイゼンハルト』。








 この世にたった6体しかいない『真種体(しんしゅたい)』。

 Sランク、『暴君』クリスティーナ・アイゼンハルトが動き出す。




 結局ソラくんは話には関係ない件。


 色々出てきましたが、詳細はまたいずれ。

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