表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/25

報告と報酬と宿と

 オリビアさんに案内され、支部長の部屋へ。

 中には勿論、ミランのおっさんが座っていた。



「おお、よく来てくれたね。まぁ座ってくれ。オリビア、お茶を出してあげてくれないか。」


「かしこまりました。」



 頭を下げるとオリビアさんは一時退室。さてさて、俺が呼ばれたのは・・・。



「やっぱり賢魔の話ですか?」


「あぁ、その通りだ。魔人クラスのワーウルフなんて、もう何十年も報告には上がってなかったからね。実際に遭遇し、討伐までした人間に話を聞くのは当然だろう?」



 しかも、前回賢魔に遭遇したときには討伐隊が全滅してるわけだしな。そりゃ情報も欲しいってもんか。



 オリビアさんがお茶を淹れてきてくれた後、俺は受付でオリビアさんにしたように、ありのまま起こったことをミランに報告した。

 ミランは目を瞑り、口も挟まず最後までジッと俺の話を聞いていた。



「・・・で、俺はとりあえず頭を持って帰ってきたんですよ。」


「なるほど・・・。流石はCランクと言ったところだね。たぶん、その賢魔は推定D+ランクは有っただろう。かつての資料にはG+ランク以上だろうという推察が為されていたが、とんだ見当違いだったのか、それともこの数十年で成長したのか・・・。だがこの依頼、Dランク推奨にしておいて良かった。他の冒険者じゃあ無駄死にになるところだったね。」



 たしかに結構強かったもんなぁ。魔法も使ってきたし。あれがこの世界のスタンダードなら、近日中に俺死ぬわ。



「報告は以上ですね。他には特に言えることもないんで。」


「あぁ、ありがとう。助かったよ。すぐに報酬を用意して貰うから、もう少し待っていてくれるかい?」



 オリビアさんにギルドカードを渡し査定を待っている間、ミランと世間話をして時間をつぶした。・・・世間話出来るほどちゃんとこの世界を知らんが。


 そして、オリビアさんが報酬を持ってきてくれた。

 ん?なんか呆れ顔なんだが。



「カズマ様。随分と暴れられたようですね。報酬は金貨2枚、銅貨30枚です。」


「は?」



 な、なんかとんでもない額になってる!?何故に!?



「それはスゴいねぇ。ちなみに内訳は?」


「ワーウルフ338体が銅貨3380枚、ハイワーウルフ3体が銅貨150枚、賢魔1体が金貨1枚、それに依頼の報酬が銀貨65枚です。」



 どうやら俺の勘違いらしく、依頼達成の「討伐証明」と「討伐数」は別物のようだ。

 つまり今回の場合、『賢魔の討伐依頼』を達成したので銀貨65枚、それとは別に『賢魔を討伐したこと』で金貨1枚が支払われるという事だ。これに素材を持ち込んでいれば、もっとスゴいことになったらしい。



「はははっ!当分遊んで暮らせるんじゃないか?」


「はぁ、まぁそうみたいですね・・・。」


 脱力して反論する気にもならん。マジで遊んで暮らせるぞ、この額。



「とりあえず、今日はここまでにしよう。もしかしたら、後日改めて話を聞くかもしれないけど、そのときはよろしく頼むよ。あと、それだけお金があるんだ。最高級の宿を紹介しようか?」


「いや、安くて飯がうまい宿がいいですね。貧乏性なもんでね。」


「そうかい。それじゃあ・・・。」



 少し話をして、宿を紹介して貰ったところでギルドを出た。

 いやぁ、いきなり大金持ちかぁ。幸先はいいけど、生活費以外にあんまり金って使ったことないんだよなぁ。

 まぁ追々考えるとしよう。まずはベッドで寝たい。紹介された宿屋を探そう。



 5分程歩くと見えてきた。宿屋『肉の楽園亭』。ネーミングセンスはアレだが、飯はかなり美味いらしい、楽しみだ。


 中は洒落たカフェテリアのような落ち着いた雰囲気がある受付。すぐ横にある通路の入り口からは食堂が見える。人は疎らだな。まぁ真っ昼間だし仕方ないか。さっさと受付しよう。受付は俺と同い年ぐらいの女の子だ。



「いらっしゃいませ!お食事ですか?ご宿泊ですか?」


「宿泊です。とりあえず1ヶ月ほどお願いしたいんですが。」



 料金を聞くと、1泊朝晩食事付きで銅貨40枚、昼食は別料金。温泉付き(!)で温泉も別料金。

 ワーウルフ4体で宿代はすぐに稼げることを考えれば破格だな。即決だ。銀貨12枚をその場で払う。



「わっ、大口のお客さんだぁ・・・あっ、失礼しました!それではこちらがお部屋の鍵になります!お部屋は3階の302です!ごゆっくり!」


「ありがとうございます。俺はカズマと言います。これからよろしくお願いします。」


「あ、わ、私は『イーリア・ミート』と言います!こ、こちらこそよろしくお願いします!」



 ミートって・・・。とか思いながら部屋へ向かう。

 部屋はなかなか広く、本来は二人部屋なんじゃないかと思うほどだ。きっと長期の客用の部屋なんだろう。



 荷物を整理して、部屋に展開。部屋の時計を見ると今はだいたい13:00過ぎ。へぇ、この世界にも時計があるのか。そろそろ昼飯食うか。さっそく食堂へ。部屋の鍵があれば食事は出てくるそうだ。


 出てきた昼食は予想を上回っていた。さすがは『肉の楽園亭』。凄まじいボリュームだ。


 まず、メニューは2種類から選ぶ形式だった。「ガッツリAコース」か「モッサリBコース」。なんかどっちも量がありそうだが、俺の食事量は尋常じゃないので、勿論名前で選んだ「ガッツリAコース」だ。


 出てきたのは「1kgの灰蜂牛(かいほうぎゅう)のステーキ」に「大盛りライス(!)」と「燻海魚(くんかいぎょ)のスープ」。さらには「キジマ地方の新鮮野菜サラダ」だった。




 総計1.5kgは有るだろう食事。俺は全てを3回おかわり(・・・・・・)して、ようやく一息ついた。

 いやー、質も量も満足出来た食事はいつ以来だろうなー。腹八分目がちょうど良いって言うし、そろそろ寝るかー、昼間だけどなー。

 料金は銅貨80枚だった。安いなー!素晴らしい宿だ。永住したいぐらいだなー。



 さてさて、夜まで寝て晩飯食って、そっから次のことを考えるかー。



んじゃ、おやすみーっと。



 地味に異世界初の寝泊まり。初めてが野宿とか異常。



 実際は『肉の楽園亭』の一食銅貨20枚は勿論高いです。だって、一般人の一日の生活費が20銅貨だもの。

 ミランも和真が食事に拘ってるのを見て、わざわざそういう宿を紹介しています。稼げることを分かっているので、その方が市場に金が回るのでね。


 ちなみに領主と支部長はマブダチ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ