第九話
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僕はその日、学校が終わると隆輝がいるであろう病院に行った。受付の人に聞いたら隆輝の部屋番号を教えてくれた。
ドアにノックを二回する。
「開いてますよ~」
っと隆輝の呑気な声が返ってきた。
「失礼するよ、隆輝」
隆輝の部屋は一人部屋だった。
本人は怪我人にも関わらず元気だった。
「おお、祐斗じゃん。見舞いにでも来てくれたのか?」
「もちろんだよ。でも怪我なんかしてどうしたの?」
僕は知らない風に装った。
「ん?ああ、なんか学校でいきなり襲われてな。んでいきなり鳩尾に攻撃されて一方的にボコボコにされた」
僕は驚いた。隆輝は喧嘩が強い。なのに不意を突かれたとはいえ一方的にやられるなんて想像もできない。
「相手は?」
恐る恐る聞くと、隆輝は、
「いやー、まさかあの転校生の女子にやられるなんて思いもしなかったぜ。まいったまいった」
言葉とは裏腹に笑っている隆輝。
「たしかあの子って祐斗と仲がいい桜っつー子だよな?」
「そうだよ?」
「なら単に変な誤解をされただけだろ、俺」
誤解?僕を狙ったという意味でかな?
「ところで怪我はどんなものなの?」
僕は話題を変えて聞いてみた。
「まさか女相手に骨折れるなんて想像してなかったわ。まあ全治一週間らしいから今日でもう退院するけどな」
「他は?」
「なんともねーよ。心配かけて悪いな」
隆輝の言葉通り他には怪我をしてる様子はない。そこは安心。
「よかったって言うべきかな?」
「そうだな。あ、そうそう、祐斗、お前は桜って子も大事にしてやれよ」
隆輝が唐突にそう言う。驚くだろ。だって普通自分に怪我を負わせた相手を友人に大事にしろと言うのだから。
「なんせあの子の秘密を少し知っちまったからな。たしかにこの学校に来たのも頷けるわ。ま、普通のやつなら理由そんだけ!?って言うだろうがな」
桜の秘密…。なんなんだろ?
「秘密のことを知りたければ本人に聞きなよ。さすがに俺からは話せん」
「わかった。とりあえず僕はもう帰るよ。隆輝、お大事にな」
「おう、サンキュー。祐斗も(逆ナンに合わないよう)気をつけて帰れよ」
「ありがと」
僕は病院から出て帰路についた。隆輝が無事でよかった。
さて後は桜から話を聞くことだな。それはまた今度にしよう。
病室での隆輝は、
「まさかあんな子までも祐斗は虜にするとはな。これからが楽しみだな」
と笑いながら言って実は今の状況を楽しんでいた。
その後の祐斗。商店街にて。
「あの~、もしよかったら私達とカラオケでも行きませんか?」
「い、いや、遠慮しておくね…」
「そんなこと言わずに!奢りますよ?」
「遠慮しておくよ。今日は帰ってやらなきゃいけないこともあるし」
「そうですか…」
ふう…。やっと諦めてくれたよ。もうこれで五回目だよ?なんで僕がこんなに声を掛けられるんだ!なぜか隆輝の見舞いの帰りで一番疲れた気がするよ…。さっさと帰ろう。
「あれ?祐斗君?」
そう思った矢先に知り合いに会うという。永峰だ。
「やあ、永峰」
「どうしたの?こんなところで。それとなんでそんなに疲れてるの?」
「たったさっき隆輝の所に行ったあとで五回も女性に声を掛けられたんだよ…」
「そ、それはまたお疲れ様だね…」
「ところで永峰はどうしてここに?」
「私は単なる買い物だよ。って言っても買い出しだけどね」
あはは、と小さく笑う永峰。
「それで、隆輝君はどうだった?」
「怪我をしたらしい。とは言っても軽いらしいからすぐ学校には来るって」
「そっか。よかった」
隆輝の話はもういいだろう。
「じゃ、僕はもう行くね。じゃあね、永峰」
「あ、祐斗君」
去ろうとしたら止められた。何故?
「できれば一緒に来てほしいんだけど…。ダメかな?」
「え、なんで?」
今は暴力事件も起きていない。まああれは元々男性しか襲われていないが…。
「なんかさっきから誰かが私をつけてるみたいでなんだか怖くて…」
なるほど。ストーカーか。
「わかった。いいよ」
相手がストーカーなら男が近くにいれば来ないだろう。
「ありがとう。疲れているだろうにごめんね?」
「大事な友人がストーカー紛いにあっているんだ。助けるのは当然さ」
さも当たり前なように僕は言った。
「……やっぱり優しいね、祐斗君は」
その言葉に僕は照れ臭くなった。
そして話をしながら僕達はスーパーに向かった。
ついでだし僕も何か夕食の材料でも買うとしよう。何にしようかな。
結局その後はストーカーの視線も感じなくなったと永峰は言っていた。諦めてくれたみたいでよかった。
「ありがとうね、祐斗君!また学校でね!」
「うん。じゃあね、永峰」
僕達は途中で別れて帰路につくのだった。
この日は永峰も隆輝も何事もなくてよかったよ。と僕は思った。
こんにちは、アイギアスです。
最近になって気づいたこと、それは最近伊島先輩が全然出て来てませんね。
また近いうちに再登場する予定です。
その前にネタ考えなきゃ……。
祐「最近更新早いじゃん」
ア「その分君の出番が増えてるから大変だね」
祐「タイトル通りだからいいんじゃない?」
ア「……そうだね」
祐「それかこの際他の誰かの目線のを書いてみればいいんじゃない?」
ア「考えておきます…」
桜「次回はまた更新はいつになるかわからないそうです。ご了承ください」
ア「しょうがないじゃん!僕だって忙しいんだから!」
桜「相手いないのにですか?」
ア「そこはスルーしてください」
ア・祐・桜「とりあえずまた次回で会いましょう!」




