第七話
桜と言う子に会ってから次の日。早速というか僕は今、大変な目に遭っていた。理由は少し前の事だ。
「あ、祐斗先輩♪今日は一緒にご飯を食べませんか?」
朝早くから桜が早速僕の所に来た。ここ、二年教室のはずなんだけどな…。ついでに言うと周りの女子の視線が痛いです…。さらに言うとまだ朝なんだが…。
「何を言ってるんですか?兄さんは私と食べるんですよ?」
雪音、さらっと兄の自由を奪わないでくれないかな…。
「雪音、この一年生って誰?」
水瀬が疑問をぶつけた。そういやまだ水瀬は桜と面識がなかったな。
「新しく転校してきた春月桜さんですよ」
すごいぶっきらぼうに答えた雪音。ところでなんで雪音はこんなに桜に敵対心を向けているだろう?
「春月桜です!よろしくお願いします!」
ペコリとお辞儀をする桜。
「ん、よろしくね、桜ちゃん。私は水瀬華奈だよ」
水瀬は桜を受け入れているみたいだ。少し安心したよ。
…って思ったけど心なしか水瀬の目が笑ってなかった。なんでだろう?てか怖いよ。
「祐斗君、どうしたの?」
少し恐怖の目で水瀬を見ていたら、横から長峰に声を掛けられた。
「なんでもないから気にしないで」
「?」
長峰は心配そうに僕を見ていた。
早く授業始まらないかな…。
キーンコーンカーンコーン。
丁度チャイムが鳴った。
「鳴っちゃいましたね。祐斗先輩、また後程迎えに来ますね♪」
よし、昼休みはさっさと教室から出るとしよう。
「祐斗君、なんで手を握ってるの?」
「この後全力で逃げるっていう意志表示」
「え?」
わけがわからないという顔をした長峰。まぁ当然だろうけど。
そして昼休み。僕はさっさと教室から出て屋上に来た。この学校の屋上は風通しがよくて気持ちがいい。まあとりあえず先に昼飯にするとしよう。
「いただきます」
ーー昼飯が食べ終わったのでどうしようかなって考えてたら、いきなり屋上のドアが勢いよく開いた。なぜか僕は嫌な予感がした。
「あ、祐斗先輩、見つけましたよ!」
予想してた桜がやって来た。
「教室で待っててくださいって言ったじゃないですか!酷いですよ!」
「そんなこと言われても…」
桜は少しご立腹のご様子。そりゃそうか、約束をすっぽかされたんだし。やったの僕だけど。
「約束破った先輩に罰ゲームです!私とデートしてください!」
………え?今とてつもないこと言われたよね?デート?
「なんでだよ」
「言ったじゃないですか、罰ゲームって」
しれっと桜は言う。
バン!またいきなりドアが開いた。やって来たのは雪音、長峰、あとなぜか伊島先輩だった。
「聞き捨てなりません!兄さんとのデート券は私が持ってるんですよ!」
雪音、僕はそれ以前にデート券を誰かにあげた覚えもないよ。
「あら、おかしいわね。祐斗君とのデートはすでに私が予約済みよ?」
伊島先輩、変なこと言わないでください。
「誰が何を言おうが私が祐斗先輩とのデート券を持ってるんです~!」
「違います、私です!」
「いえ、私よ!」
……この会話、もう混じりたくないな。そういえば長峰はこの会話に入ってないな。
「祐斗君、とりあえず教室に戻らない?これは放っておいても大丈夫だろうし」
っと、長峰は言った。たしかにこれならもう戻った方がいいな。
「そうだね、戻ろうか」
「うん!」
少し嬉しそうに答える長峰。
とりあえずよくわからない口論をそっとしておいて僕と長峰は二人で教室に戻った。
「ところで、なんで長峰は屋上に来たんだ?」
「祐斗君と一緒にいたかったからだよ♪」
「そ、そうなんだ…」
でも今回はこれで助かったんだよね。だからまあいいか。
教室に戻ると僕は少し長峰と話していた。
「そういえば最近隆輝君来ないね」
そう言われてみるとそうだ。隆輝のやつ、なんで来ないんだろ?
「ちょっと隆輝のクラス行ってくるね」
「うん」
ちょっと残念そうな顔をした長峰を見届けてから僕は隆輝のクラスに行った。
そこで最近隆輝を見ない理由がある人の仕業だとも知らずに。