八話:まったくもって、何?これ?
ふわふわ、柔らかい。
何が起こったんだっけ?目を開けず集中して思い出してみる。
え~っと。
確か、あぁ、そうだ。リヴが攫われたから軽く切れちゃって、たっぷり魔力を使って無双したんだっけ。あぁ、そうだ。赤雨も使っちゃったんだよなぁ。はぁ。どんだけ切れていたんだろう?オレ。
んでそのあともう1鳥やってきて、水合成と重力使ったんだっけ。
いやぁ~、まさか一日であんなに使うとは。あぁ、せっかくの奥の手なのに。
っと、今更だけどここは何処なんだ?目を開ける。
あぁ~ジンさん家かぁ。オレはオレが使っているベットにいた。
?そういや、このオレの足にある、ふわふわしているのは何だ?
布団をとってみる。知らない幼女―――とは言ってもオレと同世代―――がいた。
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Who are you? 誰だァァァァァあぁぁああああああ~~~~~!!!!
オレの足にしがみついているために顔は見れないが、髪で知らない人だとわかる。幼女というのは背丈でわかった。
え~、何この髪の色!リヴはオレと同じで金髪だし、ラインやリンは銀だろ。
誰なんだよ!この虹色の髪の毛した人は!?。
ん?んんん?虹色、虹色、虹色。なんか、つい最近虹色を見た気がする。どこでだっけ。
確か~
ってあの王種じゃねぇかよ!
は?なして?なして?Y?Y?Y?Y?Y?Y?Y?Y?Y?Y?Y?Y?Y?Y?Y?
WHY!?
つーか、なんで人になってるの!?
ふ~。落ち着け。落ち着くんだオレ。落ち着くために、何か物を投げよう。がちゃ。
「ルシア!やっとぶっ!」
……。やばっ。テキトーに枕投げたら、ドア開けて入ってきたラインにあたっちゃった……。
「……………」
とっくに枕が落ちたというのに、何も言わない、ライン。
…………………………。
バタン。
「おいおいおいおいっ!待てっ!ライン。枕を当てたことは悪かった。謝ろう。ごめん」
がちゃ。
「おれが帰ったのはそういうことじゃねぇ!」
「は?どゆこと?」
「誰だ!?そいつは!?ってことなんだよ!こっちは心配したのにさぁ!いつのまに知らない女を連れてきたんだよ!?」
どうやらラインも幼女のことを知らなかったっぽい。
まぁ、オレはもうわかっているが。
と、ラインの大きな声でオレが起きたのが分かったのか、ジンさんがやって来た。
「お、ルシア。起きたのか。とりあえずっ!なんでこんなところにいるんだ?」
おっ。あんなに驚いた顔をするジンさん初めて見た。
「ジンさん。とりあえずその話題は後で。オレにも何がどうなっているのかよくわからないので。起きたらこの鳥に聞きましょう」
そう、オレはこっち、つまりヤーライの森に来てからオレという一人称を使っている。と、いうのも、初めの頃は僕を使っていたのだが、ラインという“おれ”を使っている奴がいたので使っても違和感ないんだろうと思い、更にいい加減地を出していったほうがいいなぁ~と、思ったからオレという一人称にした。
いきなり使い始めて、みんなびっくりしていたが………。まぁ、蛇足だな。
で、オレはジンさんにオレが気絶してからのことを尋ねたわけだが、
「あぁ、それは後でな。とりあえず飯だ。今いつ頃か知っているか?お前」
さあ?夜なんじゃないのか?オレの顔を見てわからないと判断したのか、ジンさんが行った。
「答えは、昼だ。つーわけで、昼飯を食い終わったら話すからとりあえず来い」
そして、ラインと一緒にすたすたとオレの視界外へと去っていった。
へ~。そうなんだ。
って、マジで!?
いくら寝る子は育つとはいえ、どんだけ寝てるのオレ?
はぁ~、まったくもってなんてことだ。貴重な活動時間を無駄にしてしまった。
で、昼飯を食い終わったオレ達は食器を片付けて話を始めた。
今ここにいるのは、オレことルシア、オレの妹リヴ、ジンさん、ジンさんの妻エリスさん、その2人の息子ライン、そしてラインの妹であるリンの6人だ。
「さて、ルシア。どっちが先に話す?」
「お先に、どうぞ」
こっちは色々と考えないといけないんだよ。
「・・・・・・後でちゃんと言えよ。とりあえず、オレはラインから報告を受けた後、すぐに行動を開始した。お前も見たイフリートにラインとリンを任せてな。
それで、エリスを見つけて治癒魔法をかけて家に連れ帰った。そして、今度はお前を探しに行ったんだが……、お前を見つけたときお前は気絶したところだった」
そこまでは、推測できる。足音が聞こえていたし、ジンさんならちゃんと、エリスさんのこととかをやると分かっていたからだ。
「そこまでは、大体推測はできます。その後はどうなったんですか?」
「推測できてんのかよ。まぁいい。
お前を見つけてすぐに、あの王種がいることに気づいた」
「えっ。王種って、あの王種か?」
と口を出すライン。
「あぁ、その王種だ。で、だ。一応ケッツァコアトルとは聞いていたが、王種だとは聞いていない。というより、王種じゃなくて水色の奴だと聞いていた。
なんで、こんな奴がいるんだと思ったんだが、とりあえず周りを見渡した。
お前が何かと戦っていたみたいだったからな。んで、何か焦げているものを発見した俺は、どうしてこうなったのか聞こうとしたんだが、逃げられた。ただ、後で会いに行くって言っていたがな。それで、家に帰ってきた。そして、今に至るというわけだ」
なるほど。何も話とかはしなかったのか…………。
「さぁ、お前が使った魔法込みで何があったのか話してもらおうか」
ふむ、魔法のことはどうしよう。よし、少し変えて話すか。危険だからなぁ~。
「出てどのくらいかはわかりませんが、結構経った後リヴを背中に乗せた水色の鳥が歩いていて、それに奇襲をかけました。で、リヴを今日もらった転送札で返した後、敵の攻撃を避けまくりながら≪火球≫の刻印を書いて、書いて書きまくって一斉に発動させて、魔力量にモノを言わせて動きを封じてから、でっかい≪火球≫のようなモノを落として勝ちました。というより、黒焦げにしちゃいました。あ、でもそれでほとんど魔力使い切っちゃいましたけど」
うわ~。なんか、改めて自分がしたことに愕然とするなぁ~。みんな驚愕してるみたいだし。というより、つい、ケッツァコアトルのことを鳥って言っちゃった。
あまりの驚きに約1分、誰もなんにも言わなかった。重いんですけどっ、空気。
ラインでさえ口を開かない。
そうして、しばらく経った後ジンさんが口を開いた。
「で、その後のは?」
「その後、というのは?」
「惚けるんじゃあねぇ。その後に、王種と戦っただろ?そのときに使った魔法はなんだって言ってるんだ」
やっぱ、≪ブラックホール(笑)≫を見られていたのか。まぁ、当然って言えば当然だけど。
いや、それとも≪分解雷≫からの爆発か?どっちにしろ、どうにかしないといけないなぁ~。
というより、どうやってあの王種は≪ブラックホール(笑)≫から逃れたんだろう。
まぁ、いい。テキトーに似た魔法を考えるか。とりあえず、見せるからと嘘ついて、庭に向かってその途中に考えるか。
「ふ~。わかりました。ジンさん。他言無用でお願いしますよ。これは、危険なものですから」
そう言い、立つ。
そして、庭に、向かえなかった。
「吾のことを忘れてもらっては困るのぉ」
その声が聞こえ振り向くとすぐ前に王種(人の姿)がいて、
オレの服をつかんでいた。
ねぇ、これ、何?
魔法の説明を求められるわ、鳥類最強の王種に服をつかまれるわ。
女神は転生者だから色々と巻き込まれるとか言っていたけど、
これ、ホントに、何?
意見とか感想とかアドバイスをもらえるとありがたいです。