四話:まったくなんでこんなに説明が多いんだ!!
あまり説明せずとも、しっかりと進めるようになりたい………。
さて、オレがヤーライの森に来て、半年ほどたった。しかし、鬼ヶ島の抵抗が強くて、いまだに父さん達は戻ってきてない。
唐突だが、冒険者の話をしよう。
この世界には、冒険者ギルドと呼ばれるものがある。だいたい前の世界にいたとき小説に出てきたのと同じだ。で、そこに冒険者登録をしたものが冒険者と呼ばれる者となる。
主な役割は住民の手伝いや魔物の退治、商人の護衛等がある。
冒険者にはランクがあり、その冒険者にふさわしいランクが付けられる。冒険者は自分のランク以下の依頼しか受けられない。しかし、次のランクを受けられる実力があると判断された場合、1ランク上の依頼を受けてもらい、その結果によってはランクが上がる。
ランクは、9個あり下から、F,E,D,C,B,A,S,SS,☆(スター)となっている。そのランクは、魔物の実力に対応しており、Cランクならば、Cランクの魔物を倒せるという風になっている。ただし、Bより上はあまりにも魔物が強すぎるので、パーティー(冒険者が1つの目的で行動する集団。大抵決まったメンバーで構成されている)で、ランク付けをしていることが多い。
で、前にも言ったことがあるのだが、オレの親は上から二つ目のSSだ。しかし、SSランクはこの国――――イクォルリー―――には母さんと父さん以外にもSSランクの人があと3人いる。と、いうより、その人達とパーティーを組んでいたから全員SSランクなのだが…………。
それで、その内一人がジンさん。本名は長いから教えてもらってない。種族は、エルフの王族と呼ばれている、ハイエルフ族。エルフ族は共通して華奢で近接戦が苦手で、体が成熟しても力は人の成人女性と同じぐらいしかない。しかしジンさんは、近接戦闘もBランク程の冒険者ぐらいの実力はある。他のエルフ族はあったとしてもDランク程の実力しかない。
だけど、その真の力が発揮されるのは遠距離攻撃においてだ。魔法はもちろん、弓矢の腕前がすごい。父さんたちのパーテイーでは、その弓矢の力で活躍していたらしい。
そして、そんなジンさんが今現在住んでいるのが、ヤーライの森。
永久中立王国イクォルリーの端にあり、グォルランド帝国に近い森だ。この森にはジンさん以外にもエルフ族がすんでいるらしく、エルフ族に会うならこの森に行けとまで言われている。しかし、普通にAランクの魔物が出てきたりするため、危険な森といわれている。
本来、オレがすんでいる王都からヤーライの森までは時間もかかるし、魔物出てきたりするためめんどくさい。が、転移門を使うと、一瞬で移動が出来る。
ほんっとう、転移門、最高!!!!
「火よ、集まりて敵を討て≪火球≫」
火の球が現れてオレに向かってくる。今の力では避けられないので、魔法を使う。
「水よ、≪間欠泉≫」
詠唱を途中で破棄して、オレが考え、まだ見せたことのない新しい魔法を使う。
火の球の前に地面から垂直に水が出てきて、火を消す。
「んなっ」
「火よ、水よ、風よ、集まり討て≪蒸気球≫」
続けて蒸気を球の形にし、敵にぶつける魔法を使う。
敵は、俺から見て右に転がり避けようとする。しかし、オレの蒸気球は後を追いかける。
「あつっ!!!」
敵にぶつかり球の形状が崩れて、制御を失う。
オレはすぐに次「終わりだ!ルシア!」
ふう、終わりか。うん、今日は使う魔力量に制限があったから勝てたけど……。まぁ、いい。勝ちは勝ちだ。久しぶりに勝てたんだ、喜ぼう。
「おい、ルシア。お前新しい魔法使ったな?どうゆうやつなんだ?≪間欠泉≫とか言っていたが」
ずっと、練習試合を観ていたジンさんが言ってきた。
「え~っと。あれは≪水壁≫を一つにまとめたようなもので、一点集中させることで、魔力消費量、威力などを上げたものです」
素直にそう言う。別に隠すほどの物じゃあないしな。
「ふ~ん。おもしろいなぁ。で、ライン、どうだった?」
「まぁ、半年前に比べると追いついてきてるな。でもよ、魔力の制限がなかったらおれが勝ってたぞ!」
と負け犬の遠「おれは負け犬じゃあない!!!!」
ふむ、心を読まないでほしいな。なら、言いわ「言い訳もしてない!!!!」
まったく、心を読むな「読んでいるんじゃあない!!!てめーがむかつくこと考えてるのがすぐわかるだけだ!!!」
さてと。こんな風に言ってきているのが、ジンさんの息子である、ライン。ジンさん同様本名は長いらしい。ハイエルフ族だけあって、俺より潜在的な魔力量が多く、使う魔力に制限をかけないとほぼ勝てない。ただし、奥の手を使わなければ、だ。奥の手を使えば俺が圧勝するだろう。
そして、いまオレは毎週恒例の模擬試合を終えたところだ。これは、来た当初から初めて、魔法の事をいろいろ教えてもらい、その復習とかのためにやっているのだ。
ああ、そうだ。忘れていた。ほぼ違和感ないから忘れていたが、この世界は前世とほぼ同じで1日が24時間で、7日で1週間。4週間で1ヶ月。そして、28日の月が2回続いたら35日有る月になる。その後は、その組み合わせが3つ続き、合計で28日有る月が8個35日有る月が4つで一年は364日になっている。そして、月の名前は前世と全く同じで、数字だ。
で、毎週恒例の模擬試合を終えたあとジンさんが最高なことを言ってくれた。
それはこんな言葉だ。
「ラインも魔力をしっかりとコントロールできるようになったし、ルシアも魔力が上がってきたな。そうだな、そろそろ新しい大系でも教えてやろうか?いや、教えてやるよ」
いやっほぅぅぅぅぅぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!
最っ高~~!!!
やったぞ!!やったやった!!
だってよ。新しい大系だぞ!!!
あ、そうか。大系って言ってもわからないよな。
大系っていうのは簡単に言うと、魔法の種類だ。
色々あって、代表的なものを上げると
声に出し、その言葉を媒介にして発動する、詠唱式魔法
陣や文字などを描きその文様を媒介にして発動する、刻印式魔法
物を消費することで発動する、顕現式魔法
精霊に頼みその力を借り発動する、精霊式魔法
かくあるべき等という人の意識により発動する、概念式魔法
等というようなものがある。
この大系というのは何によって発動するのか、という事で分けたものだ。
で、基本的には詠唱式魔法が使われている。必要なものは自らの声と文章力だからだ。
オレが喜んでいるのは、他の一般の人が大抵10才ぐらいの時に新しい大系を習うのに、オレは5才程度で新しい大系を学べたからだ。
それに、これによって魔術が使えるようにもなるし、新しい組み合わせがでると思うしほんっとうに
さ い こ う~~~~~~~~~~!!!!!!
さて、最高状態だったため、あまりジンさんがそのあとなんて言ったかを憶えていなかったが、どうやら昼食を食べてからやるようだ。
本当に楽しみだ。
ふふふふふふ、さっさと憶えてリヴたちに見せてやろう。
そんなことを考えながら、いつの間にか家に向かっていたジンさんとラインの背を追いかけていった。
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