十二話:外伝壱・鬼ヶ島でⅢ 鬼と人
すいません、遅くなりました。
風邪→インフルで倒れたり、忙しかったりで書けていませんでした。
この小説を楽しみにしている方、すいませんでした。
今回の会話は読みにくいです。
ご注意ください。
「ふむ、何から話そ」ガァン
「空気中に魔木藻種の花粉を散らしたんだろ?
だったら、時間をわざわざ使わせるか!」
吹き飛ばされる前より更に速い速度と力を得たラルベルクが剣を振り下ろし、言う。
そして更に、連撃を重ねていく。
鬼皇帝は自らに身体強化魔法をかけ、それに冷静に対処していく。
右の剣で払い、左の剣で刺す。両方の剣を使い、払う。二本を交差して受け止める。
「まあ!確かに!そう!だ!が!」
後ろに下がり、言う。
「詳しく説明してやろう」
ラルベルクはその言葉に答えず、すぐに間を詰め、再び連撃する。
「まず!俺が!使!ったのは!白魔木藻だ。こ!う力!は!知っての!通り!花粉を吸い込んだ!者の!魔りょ!く!を吸い!成ちょ!うする」
受け止める、払う、避ける時に声が大きくなるが、しっかりと避ける若しくは払う、受け止める等して、鬼皇帝はラルベルクの連撃を躱していく。
「そうして!花粉か!ら何らかの道を通して得た!魔力を!使!い!木若しくは!藻は成長する!だ!が!花!粉は人体に!有が!いだ!から!沢山取り込むことで気絶し!た!!!」
最後の言葉と共に思いっきり力を込め、ラルベルクを押す。
そして、今度は攻守が入れ替わる。
鬼皇帝の流れるような連撃が続く。
「そして、我々鬼にはその効力が効かない。故に、お前らは時間が経つとどんどん不利になっていくのだ。
あぁ、ちなみに先ほど言った異なる世界の知識というのは、真っ赤な嘘だ。
単なる時間稼ぎに過ぎん」
セイヤァッ!、と言い、渾身の二撃を繰り出す。
大剣を使い、その二撃をガードしたが、余りにもの強さに足が後ろに少し滑る。
「だったら、なんである程度の魔法は使えないかを説明しなさいよっ!≪武器召喚≫≪疾風突≫」
鬼皇帝は追撃をしようとしたが、剣の大群が飛来してきたため諦め、蒼の魔剣に魔力を流し氷の壁を作った。
カカカァン!
という澄んだ音を出し弾かれていく大量の剣。
「この空間内に特定の魔法、魔術が使えないようにしただけだ。
俺は、転生後に何になるのかを教えてもらっていたから、それに即する形のヤツを貰ったのだよ。
これも、その時貰ったモノの一つ。≪死闘≫と俺は読んでいるモノだ。呼び方等は言わなくても良かったな。
さて、さっさと死ぬか気絶をしてくれ。こちらも、予定があるのだ。もう、何度も言っているがな」
≪帰化≫、と呟く。
その声は、小さなものだったが、氷を通しラルベルクヤリリシアに伝わり、更に、盾に強靭な爪が当たり嫌な音を周囲に発生させているプロールドの所にも伝わった。
グゥゥゥゥルウゥゥゥガァァアァァァァァア
言葉で表すと最もそれに近い音が、
言葉に成らないとても不興だが、どことなく恐れを感じさせる音が、
響いた。
氷が砕け散り、そのあまりの音に耳を抑えるラルベルク達、冒険者。
そして、唯一盾の効果のおかげで影響が無かったプロールドが、
ドグワァン
盾をその場に残し、
ドン
吹っ飛び壁にめり込んだ。
カラン
と盾が空中から地に落ちる。中央が大きく凹み、その真ん中は小さな穴が空いている盾が。
そして、その場には肌に赤と青の不思議な文様が浮かび上がった鬼が何も手に持たず、ボウっと立っていた。そして、一陣の風と共に拳を振りかざし、近くにいたリリシアを狙う。
既に咆哮をあげた時に、召喚した鬼は還したため、その道を防ぐものは無い。
ドグン
しかし、その手が彼女を触れる寸前、急に彼女が消え、急に止まれるわけでもない鬼皇帝の一撃は、壁に突き刺さる。
「危ないところだったわ」
無詠唱で咄嗟に発動させた≪転移≫により、攻撃を避け、ラルベルクの近くに現れたリリシアが言った。
本当は危ないでは済まなかったのだが。
彼女の能力は魔法、魔術等主に座学等に秀でている。
そのため彼女の肉体は、女である事を加え貧弱な物になっている。とはいっても、同ランクの女冒険者と比べて、だが。
「ルァァァァアァァ」
理性を自ら失わせ身体能力を強化した鬼は、獲物を外したからかそんな声を上げる。
腕を引き抜こうとするが、余程深い場所にまで達したのかなかなか腕は出ない。
引っ張り
引っ張り
引っ張る。
だが、取れない。
そんな事をしている中、
「どう?見えた?」
リリシアの回復魔法によって回復したラルベルクに話しかける。
「いや、ギリギリだ。イフリートを呼んで、時間を稼ぐから準備をしといてくれ」
そう言い、
「≪武器召喚≫」
元々持っていた大剣を、異空間に収納し、新たな武器をそこから出す。
荒々しい気配を持った真っ赤な両手剣だ。その投信の先は微妙に波立っており、まるで炎の煌めきを思い起こさせる。
そして手に持ったそれを前に出し、唱える。
「我等が契約に基づき今此処に姿を顕し給え。≪精霊召喚≫」
紅蓮が、吹き荒れる。
ラルベルクが≪精霊召喚≫と言ったその直後、剣を炎が包み込む。
渦巻くそれは、しばらくの間そのままだったが、唐突に止まり剣先に炎が集まり一つのカタチを造った。
『久方振りだな、ラルベルクよ』
そのカタチは、炎により出来たヒトガタであった。
火炎属性の最上位精霊、イフリート。
彼の者は俗にそう言われる者だ。
この世界には精霊という非物質的存在が在る。
属性毎、階級毎に分ける事ができ、階級は下位、中位、上位、最上位という風に分かれている。
意識を持つ精霊のはほとんどが中位以上で、その数は数少ない。
下位の精霊は色々な所に多く在る。しかし、意識を持っているモノは、ほぼいない。
そして、それらの精霊の中で最も徳が高く、最も強いのが、最上位精霊であり、その数は属性毎に一体しか存在しない。
基本的に魔力で構成されているため身体という概念が無く、また、普通は見ることができない。
だが、魔力で構成されているため、膨大な量の魔力を持ち、それを使う事ができる。
そんな精霊だが、契約というモノができる。
精霊は生きる度、普通に暮らしていてはその身の魔力を消費し、消滅してしまう。
それを防ぐために、精霊は魔力が多い場所等で暮らし、待機中等に存在する魔力を吸収して生きている。さながら、人の食べるという行為のように。
しかし、それは精霊にとっては人で言う、携帯食料等味気がなく、無味のつまらない物を食べている様な事だと言う。
それ故に、人の魔力という、個人個人で違う味を持つモノをもらい、代わりに何かをしてやろう、というのが大雑把に言う契約である。
もちろん、この行為は意識がある精霊しかやらないし、やれない。
それに、精霊が気に入った魔力でないと契約してくれない等というのもある。
そして、ラルベルクはその契約を結んでいるイフリートを召喚した。
『それで、己に何の用だ?どうやら戦闘中みたいだが?』
未だ腕がめり込んでいる鬼を見、云う。
「お前には時間稼ぎをしてもらいたい。奴を倒すのには少し足りないから、な」
『ほぅ。只のオーガの王種にそこまで苦しまされるとは、“ニクスターン”の名が泣くぞ?』
「そんな事はどうでもいい事だ。他のモノに比べるとな」
『さて、それでは行ってくるか。奴も準備ができたようだしな。実体化で肉弾戦をしていいんだな?燃えるぞ。奴が』
やっと腕を抜いた鬼を見て確認する。
「ああ、多分燃えないと思うがな」
『ふははははは、それは楽しみだな。この火炎の最上位精霊の力をもっても燃えないものが在るかもしれないと聞くと。
やはりお前と契約したのは間違いではなかったようだな』
そして、炎の塊で出来たヒトは鬼に向かい突っ込んでいく。
対する鬼は、それを見、同じように走りながら腕を振りかぶる。
ズドォン
言葉で表すとそう言われる音が当たった拳同士から溢れ出る。
鬼との死闘は、未だ終わらず。
タイトルが変なのはまったく思いつかなかったからです。
もしかしたら、あとで変えるかもしれません。
意見とか感想とかアドバイスをもらえるとありがたいです。