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大魔法使いは骸骨の少女に恋をする

作者: 来栖 餅
掲載日:2026/03/14

見た瞬間目が離せなくなった。

心を奪われた。


これは多分、一目惚れというやつなのだろう。


僕は今、目と鼻の先にいる骸骨の少女に恋をしてしまったのだ。

何故少女だと思ったのかはわからない。でも直感的にそう感じた。


武器を投げ捨て、近くにいく。



此処は敵地だ。武器を捨てたら死ぬだろう。

だけど、そんなことはどうだっていい。


遠い、遠い、遠い、遠い。近いはずなのに遠い。

彼女との距離は20メートルほどだろうか。

地面が泥濘んでうまく走れず、よろけて、転んで、それでも前に進む。


ようやくたどり着くと、僕は泥濘んでいる地面に片膝をついた。そして右手を差し出す。


「始めまして。僕の名前はノフ。もしよろしければ、僕と結婚して下さい」



そうして僕は敵地で骸骨の少女にプロポーズをした。

返事は


「ガルルッッッ」


唸り声だった。ついでに襲われ、肩を噛まれる。ローブの上から血が滲み痛みを感じる。

だけど関係ない。彼女が好きで好きで堪らないという感情に支配される。


「愛しています」


その言葉を言った瞬間、肩から口が離れた。


「アイ、シテル⋯⋯ナ、ンデ⋯⋯?」


喋った!!

これが愛の力かと感嘆していると周りにはもう既に骸骨に囲まれていた。

僕たちを中心として距離3メートルほど離れたところから囲まれていた。


「これは、少しまずい気がする」


とりあえず、脱出しなければ。

でも先ほど武器を投げ捨ててしまった。

そこで、懐に入っていた移動用魔法が入った瓶を持っていることを思い出した。


彼女も一緒に移動できるかわからないけれど。

僕は彼女の細い骨を握りしめながら地面に叩きつけた。ギュッと目を閉じる。


成功しろ⋯⋯

成功しろ⋯⋯

成功しろ⋯⋯


そっと目を開けるとそこは自室だった。

そして目の前に彼女はいた。


「やった!成功した!」


けれど、安心しては居られない。また襲われるかもしれない。そしたらその物音で彼女の存在が家族に知られてしまう危険がある。

彼女は外見は骸骨なのだから。


とりあえず縛っておこう。


椅子に座ってもらい、軽く部屋にあったロープで椅子と彼女をぐるぐると巻き固定する。


「これでよし」


安堵の表情を浮かべる。


「さっきは喋ってくれたけど、また喋ってくれるかな?」

「ガルルッッッ」


駄目だった。

それじゃあ、愛の言葉はどうだろうか。

時間を計っておこう。

「愛しています」


その瞬間


「ホン、トウ、ニ?」


喋った。

やっぱり愛の言葉がトリガーで彼女は言葉を口にする。愛の力は偉大だ。


「はい!本当です」


「ソ、ンナコ、ト、ハジメ、テ、イワレ、タ」


「貴方はこんなにも美しいのに今まで言われていたかったのは奇跡ですね」


美しい健康的な肌(骨)。秀麗なシルエット(骨の形)。整った顔(骨の形)。

こんなにも美しいのに。


「改めまして僕の名前はノフ、世間では大魔法使い様とか仰々しい名前で呼ばれています。貴方の名前は何ですか?」


「ワタシ、ノ、ナマエハ⋯⋯シルラ、デス」

「シルラさん!いい名前ですね!可憐な貴方にぴったりの名前です」

「ホ、ント?」

「はい!本当です」

「ウ、レシ、イ」


そこまで会話をした所で時計の針が5分を差した。

すると、


「ガルルッッッ」


また理性がない状態に戻ってしまった。


「限度が5分、か。なるほど」


とりあえず、服を見繕ってこよう。ついでに骨の形を隠すような綿や柔らかい布を買ってこよう。


「一応、彼女は隠しておくか」


万が一この部屋に誰かが入ってきてしまった場合彼女は殺されてしまう。


「問題はどうやって隠すか、だな」


部屋の中をぐるぐる歩き回りながら思考を回す。


「幻影魔術は、かけるとして」


そこでノフは閃いた。


「天井に貼り付けておこう」


天才的な閃きだとノフは自負した。

準備はできた。

それでは出かけるとしよう。


ーーーーーーー


「ただいま〜」


もちろん返事は返ってくるはずはないのだが、声をかける。

シルラから幻影魔術を時、天井から下ろす。


「シルラ、体に触るね」


シルラは基本的に大人しい。魔物は普通もっと暴れ狂ったりするはずなのだ。しかし、時折小さく唸るだけで暴れたりしない。


①服の中に布や綿を詰める。

②シルラに着せる。

③かつらを被せる。

④階が深く隠れるような帽子をかぶせる。

⑤ベールをつける。

⑥一応存在感を最小まで消す魔術をかける。


この工程をすることでシルラは外へ出られるようになる。


「シルラ、愛してるよ」


その言葉を合図としてシルラが動き出した。


「ワタシハ⋯⋯アナタ、ノ、コト、アイ、セ、テルカワカラナイ」

「いいんだよ。僕がシルラを愛していたいだけなんだ」

「ソンナ、コトハ⋯⋯」

「シルラ、僕はね、恋というものをしたことがないんだ」

「⋯⋯」

「だからね、嬉しかったんだ。シルラを見つけた時自分のなかにもこんな感情があるんだって」

「⋯⋯」

「こんな僕でも人を、愛すことができるんだって」

「⋯⋯」

「だから、大丈夫だよシルラ。君が例え僕を殺したいほど憎んだとしても、僕は愛す。僕は愛を届け続ける」


にこりとシルラに微笑みかける。


「愛してるよ、シルラ」


シルラは答えなかった。だけどシルラの目には涙のようなものが浮かんでいる気がした。


「シルラ⋯⋯?」

「ワタ、シハ、イキテ、イタコロ、ノ、コトヲ、オボエテ、イマセン」

「生きていた、頃?」

「ハイ」

「シルラ、君は魔物じゃないのかい?」

「ワカリマセン」

「そうか⋯⋯」

「タダ、カラダ、ガ、クサッテ、イク、カンカク、ハ、コワイ、コト、デス。ソレハ、ワカリ、マス」


シルラは魔物じゃなくて、生前は生きた人間だった。だとしたら愛の力以外の喋れる理由になる。


「大丈夫シルラ。僕は君を守るし、死なせない。」

「ワタ、シハ、ワカラナイ」

「僕は愛す」

「ワタ、シ、ハ、ワカラナイ」

「僕は守る」

「ダケ、ド、アイ、シテ、ミタ、イ。シンジテ、ミタイ」

「⋯⋯」

「シンジテ、ミテモ、イイデスカ」

「あぁ、信じてみてくれ。きっと君を幸せにしてみせる」

「ウレシイ」


その瞬間僕の目には骸骨なはずの少女が一時の間、人間の少女に重なって見えた。


美しい金髪を持つ海色の瞳の少女に。


目の錯覚かと思い、目を擦ると元のシルラに戻っていた。


何だったんだろう。でも、何にせよ変わらない。


これは、僕が彼女を愛す物語。

そして、彼女が愛を知る物語。

衝動的にこのお話が描きたいと思い、一話書いてみました。

ですので、筋が通っていない。誤字脱字がある可能性が多くあります。

少しでも楽しんでいただけたり、続きが気になっていただけたりしたら幸いです

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