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動物園と友達(5)


 南羽さんから連絡があったのに気づいたのは、夜だった。


《お土産ありがとう。早速つけてみたよ!》

《初めて見たけど、なかなかセンスいいね~》


 というメッセージとともに、写真がいくつか送られてきていた。

 俺が動物園で見つけたもの、それは、ゾウのおしりを模したマグネットバッジだった。お土産コーナーの棚で見つけたとき、『シマウマやゾウはお尻からの角度で見るのがいい』と言っていた南羽さんを思い出したのだった。

 マグネット部分が取り外せるようになっていて、普通のマグネットとしてだけではなく、シャツやかばんに穴を開けずにつけることができるようになっている。南羽さんから送られてきた写真には、彼女の胸元で輝くゾウのおしりが映っていた。


 シュールだ、とても。ただ、南羽さんが喜んでくれているのであれば、選んでよかったと思った。センスがいいかどうかは置いておくが。


《どこのお土産?》

《真北くんもどこか行ってたの?》


 と続く質問に、


《京都市動物園です。せっかくの休みだしと思って。隣にある美術館にも行ってきました》


 とメッセージを送り返す。いまさらだが写真を1枚も撮っていないことに気づき、こちらから送れるものが何もないのは少し申し訳なかった。

 ほどなくして、パンダがきらきらと目を輝かせているスタンプが送られてきた。そしてそのすぐあとに、1件のメッセージが届いた。


《真北くんの話も聞きたいから、今から電話してもいい?》


 こうしてストレートに思いを表現できるのは、南羽さんの長所であり魅力だ。人として素敵だと思うし、憧れもする。

 俺も誰かに話したいと思っていたから、このメッセージを見たときは素直に嬉しかった。そのテキストだけ、他に比べて立体的に映ったような気もする。もしかすると、俺はほんの少し笑ってさえいたかもしれない。

 ネコがサムズアップするスタンプを送ったあとで、すぐに通話ボタンをタップする。数回のコールの後、通話開始の画面に切り替わり、スピーカーからは南羽さんの弾んだ声が聞こえてきた。

 動物園で見たものや感じたことを丁寧に思い出しながら、南羽さんに伝えると、彼女は笑って聞き、共感してくれた。

 この間の電話ではやはり話し足りなかったようで、彼女もいろいろと思い出話を聞かせてくれた。ゴリラは彼女の行った動物園にはいなかったそうで、うらやましがられた。

 美術館の話も興味を持って聞いてくれて、それは少し意外だったが、話してよかったと思う。


 ふと目に入った置時計で、電話を始めてもうすぐ1時間が経とうとしていることに気づく。

 終わっても終わらなくてもいい、そんな雰囲気のやりとりがどこか心地よく、南羽さんも同じ気持ちならいいなと思いながら、俺は彼女の声に耳を傾けるのだった。


to be continued...

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