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第2話 現実


 彼の言葉が頭の中で、繰り返し再生される。現実なら、ここは一体何処なのか。何故、気を失っていたのか。


 (現実…ここは現実…現実…)


 考えても分からない事ばかりで、意味も無く心の中で現実の一言を繰り返していると…

 

 「あぁ、そうだ」


 と、会話が成立する言葉を投げかけられた。


 「エ、エスパーですか…?」

 「さっきから、声にでてたが」

 「うっ嘘…!」

 「本当だ」


 手遅なのは分かっているが、思わず自分の口を手で覆う。完全に無意識だった。


 (やらかした…。いや、この際…もう聞こう!最初から、そうすればよかったじゃん!聞く!)


 深呼吸をし、気持ちを落ち着かせ、私は口を開いた。

 

 「現実なら…ここはどこなんですか!」

 「ここは───」


 彼の言葉を遮るかのように、後ろから扉が開く音が耳に入った。誰かの足音が部屋に響き渡る。誰かが、こちらに向かって歩いてきている。気になってしまい、後ろを振り返ると、そこには…プラチナブロンドのイケメンが歩いていた。


 (…イケメンがもう一人!!)

 

 私と目が合うと微笑んでくる。


「起きたんだね。無事に起きてくれてよかった。心配していたから」


 黒髪の男性とは違い、穏やかな雰囲気を纏った男性。窓から入り込んだ太陽の光の反射で、髪の毛がキラキラと輝いて見える。口調は優しく、優しそうな笑顔、垂れ目、鼻筋が通って、口元の左下にはほくろ。


 (なっ何だ!!その口元のほくろは!)


 思わず、口元のほくろを凝視してしまう。


 「あはは。そんなに見つめられちゃうと、穴が開いちゃいそうだね」

 「ぐっっっっ!!」


 爽やかに笑うイケメンが眩しい。胸が苦しくなってしまう。


 「涙目になっていたから心配したけど、涙は引っ込んでくれたみたいだね。よかったよ。」


 自分でも涙目になっていたのに、気が付いていなかった。


 (それは貴方様のおかげですっ!ありがとうございます!)


 心の中で感謝を伝えていると、


 「ここが何処か教えてあげたいんだけど、国王陛下がお呼びだから、僕に付いてきてもらえるかな?不安で堪らないと思うのにごめんね。」

 「こっ、国王陛下?」

 「そう。この国で一番、偉い人だよ」


 彼の言葉で余計に、分からなくなってしまう。国王陛下とやらに呼び出されている何て、私はこれから、どうなってしまうのだろうか。頭を悩ませていると、いきなり手に温もりを感じた。温もりの正体は、彼が手だった。私の手を両手で包み込んでいた。


 「不安になってしまうよね。説明して安心させてあげたいんだけど…呼ばれているから時間が無くて…」


 申し訳なさそうな表情をしながらも、私を安心させる為に、かけてくれる言葉と手の温もり。まだ不安はあるが、その王様とやらから、何か説明があるかもしれない。意を決して、彼について行く事に決めた。現状そうするしか選択肢は無さそうだ。


「…行きます」

「…よかった。ありがとう。」


 小さな声で伝えると微笑んでくれた。


 「さぁ、行こうか」


 その言葉と共に手が離されてしまい、彼の温もりが徐々に手から消えていく。少し…かなり!!残念だが!しょうがない。安心させる為に握ってくれたのだから。彼の後ろをついて行く。内心、残念がっていると、前を歩いていた彼が踵を返し、また私に近寄ってきたのだ。


 「手、繋いで行こうか。人の温もりがあると不安も多少は紛れると思うから」


 そう言い、手を繋いできた。


 (なっ何!!このイケメンは!!!私の事を殺す気なの!?)


 温もりより彼の行動が、1番不安を紛らわせてくれる。手を引かれながらついてくと、顔だけ振り向き微笑んできたのだ。笑っているのだ。私の顔は今とんでもなく変な顔をしているだろう。


 「あっ。レオも一緒に来てくれるよね?」

 「…俺も呼ばれてるのか」

 「そうだよ」


 扉を抑えながら、私達二人は黒髪の男性が来るのを待つ。


 (名前もイケメンだな…)


 『レオ…』と心の中で名前を呟いていると、いつの間にか私の横に立っていた。


「ボーッとしているが…どうかしたか」


 視線だけを私に向け、言ってきた。

 

 「いっ、いえ!!」


 心の中で呟いたのと同じタイミングで、話しかけられ驚いてしまった。「じゃ、行こうか」と私の手を引きながら歩き出した。


 廊下に出ると驚いてしまう。廊下は学校よりも幅が広く、長い道のりが続いていた。部屋になら分かるが、廊下にも高価そうなシャンデリアが吊るされている。窓から入り込んだ太陽が反射し、光が灯ってもいないのに、キラキラと輝いていた。国王様が居るって事は、ここはその人の城なのだろう。城何て映画でしか見た事がない。初めて見る光景に圧倒されてしまうのだ。


 (うっへぇ〜…ひんろ!)


 こんな感想しか思いつかない。圧倒されながら辺りを、興味津々で見渡していると、私の一歩先を歩いていた二人は立ち止まっていた。だが、周りを見回していたせいで、私は気付かず、背中に顔をぶつかってしまう。そんなに痛くは無かったが反射的に「いてっ」と口から出てしまった。

 

 「大丈夫?」

 「大丈夫か」

 

 『いてっ』の一言のせいで、イケメン二人に心配されてしまった。空いている手を慌てながら振り「大丈夫です!!」と伝える。「なら、よかったよ」と、何度目かの微笑みを向けてくる穏やかイケメン。


 「国王陛下が、ここで君を待ってる。…入る準備はいいかな?」


 準備が出来ていなくても、私は入らなければならない。控えめに小さく頷くと彼等の手によって、扉が開かれた。


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