スタート、理不尽プロローグ
初投稿です。
小説の勝手は全く分からないので、気軽に感想や評価、アドバイスいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
次回第1話は本日正午更新、
以降は月1以上投稿を目標に頑張ります。
気付いたら、真っ白に包まれていた。
「…なんだこりゃ」
どこを向いても色らしい色はなく、なんなら足元にすら白が行き届いている。大雪で先の景色が見通せないのを銀世界とは言うが…
『ちゃんといるね』
「?」
これじゃ白世界だなガハハ…とか、独りごつ猶予は与えてくれないらしい。
視界の変化を認めることはできなかったのだが、妙にエコーかかり気味な声が聞こえたのだって認めざるを得ない以上、何かが始まる状況を受け入れるしかないだろう。
『素直でよろしい、そういうの好きよ?』
思考盗聴!?
『アルミホイルは無いからね』
「あっマジで思考盗聴なのかよ」
さすがに反応に困ってしまう。
内心スケスケお見通し状態の相手と対話なんてやったことがないんだが、つまるところ口を開く必要は一切ないということか?
…つか。
「どこにいるんですかー、知らない方ー?」
『悪いけど声だけで勘弁して、ぶっちゃけた話ガワの用意ないし』
「なれなれしっ」
話しやすさで鳴りを潜めているとはいえ、いま現在、言葉を交わす相手がまったくもって異質極まりない存在なのが嫌でも分かる。
夢…とするには、頭ん中がクリアすぎて。
ドッキリにしちゃ、手が込みすぎていて。
奇っ怪で、得体の知れぬ説得力を感じて。
『怖い?』
………
『これから君に、大事な話をする』
瞬間、今までにない、圧迫感。
ただの事実を述べたのみでしかなく、ただ明白にする必要があったから明らかにしたのでしかない、ただただ一言一句。
声だけだ。それなのに。
たった声だけで、身体中が強張る。
「…死刑宣告、でも?」
『まっさか。受け取り方によっちゃそう聞こえるような話ではあるけどね』
うわ聞きたくねぇな。
『君は異世界転移に選ばれました』
「おい聞かすな!!!いや待てなんつった今もういっぺん言ってみろいややっぱ聞きたくないかも『異世界転移に選ばれたぞよ』」
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『落ち着いた?』
「なんで分かりきったこと聞いてんだ?テメェ」
衝撃の宣告からたった何秒しか経ってないくせして誰が正気になれると思うのかどんな考え方したらその声かけが出てくるのか聞きたくてたまらないなこの野郎………
『いやぁね、なんかオチついたからなぁと思って』
何を言ってんだ?この一瞬で漫才始めて終わらす刹那一人漫才したのか??
『ほーら異世界でちゅよ、チート能力あげるよー』
「幼児をあやすのには過ぎた玩具だな」
『好きな時にセーブ、好きな時にロードを無制限にできるガチ最強無敵神最強能力を、嫌がっても勝手にあげまーーす』
情報量の暴力に、どこから聞き返せばいいのか訳が分からなくなってしまう。
ハテナマーク何個分だ?これは…
「何…いや、良く分かんねぇな…」
『もいっこ、初期アイテムおみくじをこっちで勝手に引かせてもらいまーーす』
「お前あれだよな??説明面倒くさがってっから必要以上にテンポ高いよな?」
『忖度ありませーん』
流れ出したテープの停止ボタンは一向に見つからないまま、声が流れ続ける。
どこからともなく聞こえ出したチャチなドラムロール音で白世界を震わせた後、またまた訳も分からず状況は…
「…?」
沈黙。
停止ボタンでも見つかったか?
………いたたまれない静けさで微妙な居心地の悪さに包まれ、今度は絶望的にも等しいテンポの遅さを食らわせられる。
「どうした」
『………あのね、過去一の引き』
「あっそ」
『まぁいいや』
どうだって構いはしない。
チュートリアル装備が最終盤まで通用するゲームなど俺の記憶にはなかった、“初期アイテム”っつう響きから推測するに劇物は無いだろう。
『大事なこと忘れてたわ!』
「…」
『ちょっと悪いんだけどさぁ───
自己紹介してもらえないかな?』
ふざけ通したくせして、今更それらしい会話をしようって言うのか?
ニタニタ笑ってそうな非常識野郎に名乗る…
名乗る…名前………
『君は君という人間でありながら』
『生物的情報以上の人間的情報を忘れた』
『名前』
『趣味』
『特技』
『家族構成』
『大切なもの』
『うーん君は男で、身長ざっと170弱ぐらいの、重すぎない体重をしている、誰?』
『…知りたいなら、取り戻したいなら、
理由を思い出したいと願うのならば』
『異世界を攻略するんだ』
『世界を知れ』
『その手で、その足で、その意志で』
『掴め、踏み締めろ、望め』
『面白いものを見せてくれよ』
『それじゃグッドラック、人間クン』




