4 人間
あれからまたしばらくたち、着々とレベルが上がるなか、俺は感動していた。
そう、人間を発見したのだ。
まぁ発見したとはいえ決して善人ではなさそうで、ゴツい筋肉と、あからさまに毛皮の鎧と合っていない金製のブレスレットをじゃらじゃら持っている2人のおっさんだ。
うん、お気づきの通りたぶん盗賊。
耳は聞こえないけど会話は良い話ではなさそう。
だって明らかに下品な笑顔でニマニマしてるんだもん。
まぁ俺は手は出さないよ。何つったって俺弱いもん。レベルは現在34だけどたぶんこいつらからしたら一捻りするだけで俺なんかやられるんだろう。
俺がボケーとしながら2人を見ていると片方の男と目が合う。
そして男はもう一人の男に俺を指差してなにか伝えてる。そしてゆっくりと俺の方に近づいてきた。
え?もしかして俺ヤバい感じ?
確かにいま思えばここまで進化して目があるサボテンなんて少ないのだろう。少なくとも俺の見える限りの砂漠のサボテンは目なんてついていない。
とりあえず先手必勝!(『角射出』!)
俺は何発もの角をとばすがいたがるだけであんまりダメージなさそう。
そして男の手が俺に近づいた瞬間俺は『毒排出』を使ってみる。
すると手に当たった男は見るからに痛そうにして悶える。
驚く片方の男にも毒を顔にひっかけてやった。
そして、2人の傷口に執拗に分裂体をあわせて陰湿攻撃。
なんか異世界に来たらめっちゃ強い相手と正々堂々とか真向勝負!とかだと思っていたが、俺の現状は、普通のみんなが思い浮かべる主人公の足元にも及ばなさそうなチンピラを陰湿な攻撃で袋叩きにしている。
種族が違うだけで何とも惨めな、、、
そして俺は毒をひっかける→傷口に攻撃→毒をひっかける→傷口に攻撃を繰り返した。
数時間がたち、俺の目の前には四肢が欠損した盗賊の死体が転がっていた。
うん。元々俺も人間だしかなりグロい。正直人間に転生してたら間違いなく吐いていた。
彼らは途中逃げ出そうとしたが麻痺毒を追加で投与したら大分効いたのか動きがかなり鈍くなり足の関節部分のみを途中から攻撃したから足の一部がとれてさらに、、、な。
まぁそれはともかく俺はとっても喜んでいる。
それは目の前にある俺の選択肢。
魔眼サボテン(草)(毒)(刺)からミニエルフに進化しますか?
YES/NO
そう!盗賊という圧倒的格上を倒したことにより、レベルがめちゃくちゃアップして進化ができるようになったのだ。
しかも『ミニエルフ』と来たもんだ。
まさかサボテンの進化の延長線がエルフだなんて、まぁ確かにエルフって「森に住まう美少年、美少女」って感じだし草に繋がりがあるのか。
そして俺は興奮する気持ちを抑えてYESと念じた。