第5話、覚醒者・藤原美咲の登場
モンスターが全国各地に現れてから1ヶ月、日本列島はまるでダンジョンと化した。
人々は怯えながらも日常を取り戻そうと必死だったが、偶発的なモンスターの襲撃は後を絶たず、避難所や自治体の対応は限界に達していた。
そんな中、新たな希望として現れたのが“覚醒者”と呼ばれる存在だった。
モンスターの出現に伴い、特定の人々が超常的な能力に目覚め、モンスターに対抗する力を持つようになったのだ。
その中でも特に注目を集めているのが岐阜の覚醒者、藤原美咲だった。
藤原美咲が覚醒したのは、モンスターが日本列島に現れ始めてからすぐの頃だった。
岐阜県議会議員を父に持つ彼女は、幼少期から恵まれた環境で育ちながらも、それに甘んじることなく努力を重ね、現在は岐阜市内の大学に通う才色兼備の女性だった。
彼女の外見はひときわ目を引くものだった。
艶やかな黒髪が腰まで伸び、見る者を圧倒する大きな瞳には強い意志が宿っていた。
身長は平均的ながら、バランスの取れたプロポーションと目立つ胸元は、同性でさえも一瞬視線を奪われるほどだった。
清楚でありながら凛とした立ち居振る舞いが、育ちの良さを物語っていた。
彼女は県議会議員の娘でありながら、その肩書きを傘に着ることなく自ら前線で市民を守る覚醒者になっていた。
美咲の能力は「光の融合」。彼女の手から放たれる光は自在に形を変え、武器となり、盾となり、人々を守る力そのものだった。
---
その日、美咲は岐阜市内にある避難所を訪れていた。
避難所周辺でモンスターの目撃情報があり、状況確認を行っていたのだ。
避難所の住民たちは、美咲の姿を見ると安堵の表情を浮かべた。
「藤原さん、またお願いします!」
「いつもありがとうございます!」
彼女の名声はすでに広まっており、その存在だけで住民たちに安心感を与えていた。
突如、大地が揺れる音とともに、避難所の外で悲鳴が上がった。
「来たわね。」
美咲はすぐさま外に飛び出した。そこには二足歩行の獣型モンスターが現れていた。
巨大な体躯と鋭い爪、口からは不気味な蒸気が漏れている。
住民たちを狙って足を踏み出したその瞬間、美咲の体が眩い光に包まれた。
---
「あなたたちにここを荒らさせるわけにはいかない!」
美咲が叫ぶと同時に、彼女の手元に光の剣が現れた。
それはモンスターの硬い甲殻をものともしない、強力な武器だった。
モンスターが突進してくると、美咲は一瞬の隙をつき剣を振るった。
光の刃は見事にモンスターの足を切り裂き、その巨体を崩れさせた。
だが、モンスターはなおも抵抗し、美咲に向かって爪を振り上げた。
「まだ終わらないわ!」
美咲は両手を広げると、周囲の光を一瞬で収束させ、防御壁を形成した。
モンスターの爪はその壁に阻まれ、隙を見た美咲はもう一度光の剣を振るった。
次の瞬間、モンスターは光の中で爆発し、消滅した。