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60.



「よっと......さて、じゃぁ早速子供たちの治療に行こうか」


 アニフィの中に保管してあったもので腹ごしらえを済ませてから起き上がる。うん、やっぱりもう何ともない。


「ホントにスゴイのねェ。3日も寝ていたとは思えないわァ」

「ちなみに、その力って何か制限とかあるの?1日何回までとか、使いすぎると後遺症があるとか......」

「特には無いと思います」


 そのあたりは僕のテイムと同じか。まぁ僕は1度に大量テイムとかしたことないから分からないけど。

 大丈夫ならとりあえず子供たちを治してしまおうか。





「——こちらですわ」

「これは......」


 ジェニーに案内されて来た部屋には黒っぽい肌の子供たちが鎖で拘束されていた。薬で眠らせていたということだったが、すでに目が覚めていて鎖を引っ張って暴れている。

 薬が未完成だったのか子供だからなのかは分からないけど、他の魔人ほど肌は黒くなく、引きちぎるほどの力も無いようだ。だからゴンちゃんとフラムの2人で捕まえることも出来たと。

 

「まずは端の子からやってみよう。アニフィ、押さえつけてもらえる?」

 

 暴れられると聖女の身が危ないのでアニフィの触手で押さえてもらったのだけど、ブランが子供の顔に近寄ると何故か子供が怯え始めた。

 なんだろう......魔薬も魔族が作った物だし、ブランの力を感じ取ったのかな?ま、おとなしくなるなら都合が良いや。


「では、始めます」


 聖女が子供の傍でしゃがみ込んで手を翳すと、僕の時と同じように光り始める。すると子供はさらに怯えて体ごと震え始めた。

 光はそのまま子供の体に侵食していくけど、時間が経っても変化する様子はない。怪我と違って薬の効果だから上手くいかないのだろうか。


「——一旦ストップして休憩しよう。どうやら一筋縄ではいかないようだ」

「すみません......私の力が及ばないばかりに」

「いや、君のせいじゃないよ。相性が悪いのかもしれないし」


 だけどどうしたものかな。聖女の力が通じないとなると困ったな。ブランだと治すんじゃなくてダメージを与えてしまいそうだし。


「何の罪もない子供がこんな目に......どうにかして元に戻してあげたいですわね」

「そりゃぁね。ところで聖女は何故教会に従っていたの?子供を治そうとするってことは魔族に賛同しているわけではないよね?」

「......孤児院にいた頃から神父様たちにも良くしていただいたので、教会に聖女として引き取られてからも言われる通りにしていたのです。全ては人々を救うためだと信じて。まさかこのようなことが......」


 聖女として?もしかして僕は勘違いしていたのかな。孤児院にいた頃から聖女って呼ばれていたのかと思ったけど......。


「孤児院にいた時から聖女って呼ばれていたんじゃないの?」

「いえ......教会に引き取られてから、聖女に任命されました。孤児院では子供は番号で呼ばれています」

 

 何が孤児院だ。番号で管理なんてまさに実験施設じゃないか。子供も外を知らずに幼いころから洗脳されていれば疑うことすらしないというわけか。


「その力はいつから?」

「教会に引き取られてから、ある日突然発現したんです」

「......もしかしてだけど、孤児院や教会で何か薬みたいなものを飲まされてなかった?」

「はい。教会ではひと月に1回薬を飲む決まりがあるんです。病気にならないようにって言われて......」

「やっぱりかぁ」


 それが原因で間違いないだろう。だけどスキルを生やす薬?魔薬は1種類じゃなかったのか?たまたま聖女に適合したのかもしれないけど、どちらにしろまともなものとは思えない。

 代償が魔力だけなのは良かったけど、今後も油断は出来ない。実は寿命が縮んでいるとかだったらシャレにならないしね。

 それはそうと今は子供たちのほうだ。他に方法があるわけでもないし、賭けに出るしかないのか。


「教会に寄付している貴族もいるはずですわ。そちらも調べなければなりませんわね」

「どこかに名簿があるかもしれないね。そっちはジェニーに任せるよ」

「分かりましたわ。聖女さんの力はライが強化してあげられませんの?」

「うーん、物理的な力なら強化出来るけど、能力に関してはなんとも言えないかなぁ。薬で得た能力だとどう影響するのかも分からないしね」

「そうですか......」


 アニフィは元々ルナの眷属で特殊なスライムだったし、それに加えて僕の眷属になったから能力が増えた......んだと思う。

 だけど他の眷属には今のところそういった変化は見られないし、魔族に関することは未知だからなぁ。あとは本人次第か。


「よく聞いてほしい。僕には少し変わった力があるんだ。僕の眷属になることで色々な変化が起こる。ただし、どんな変化が起こるかは分からない」


 聖女に語り掛けていると、アニフィが見せつけるように触手で物を出し入れしている。だから君は特殊なんだってば。


「子供たちを救える可能性があるのならば、ぜひお願いします」

「分かった。じゃぁ僕の手に右手を置いて」


 迷うことなく答えるなんてすごいな。その心こそ、まさに聖女に相応しいね。

 聖女が右手を乗せようとした時、僕の手との間にブランが飛び込んできて前脚を滑り込ませた。3人の手が重なった瞬間、ブランが光ったと思ったらその光が聖女に流れ込んでいった。

 どうやらテイムは無事に完了したようで、頭の中に名前が浮かんできた。今まで人に対しては名前は浮かばなかったけど、聖女には名前が無かったから特別なのかな?


「今から君の名前はサンだよ。どう?何か変わったって感じることはある?」

「......すごいです。体中に力が漲って、なんだか生まれ変わったような気分です。名前まで付けてくださってありがとうございます」

 

 テイムされる側の感覚は分からないけど、生まれ変わったは大げさな気もする。ブランの光がなんだったのかが気になるけど。


「ブラン、何したの?」

「キュ?キュウキュッ!」


 ルナはお使いに行かせちゃったし、今この場にはブラン語を解読できる人がいないのが残念だ。


「あの、もう1度子供たちに試してもいいですか?」

「あ、うん。それはもちろん」


 再びアニフィが拘束して聖女が手を翳すと、先ほどとは光の色が異なっていた。聖女は白っぽい光、ブランは青っぽい光だったのが、2色が混じったような色になっている。

 そして光が入り込んだ子供の体は、今度はみるみるうちに変化が現れた。目や肌の色が元に戻り、大きさも少し縮んで普通の子供になった。

 これは......ブランと聖女の力が合わさった効果なのか?すごい、これで魔人化も元に戻せる。さすが僕のブランだ!


 


 

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