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48.



「さーて、今日は何をしよっかなー」


 昨日は食べ歩きばかりだったから、今日はそれ以外のお店でも覗いてみようか。王都というくらいだからお店も豊富だろう。

 魔法がある世界だし、魔道具的な物もあるかもしれない。もし見かけたらいっぱい買って帰って研究しよう。

 そうそう、こういう路地裏にこそ知る人ぞ知る名店がありそうだよね。


「うわっ!」


 朝ごはんの串焼きを食べながら薄暗い路地裏に入ると、突如影が飛び出てきて右手の串焼きを奪われた。


「んふー!この串焼き美味しいニャー!」


 声のした方を見ると、猫耳を生やした少女が串焼きにがっついているところだった。まさか、僕もアニフィも反応出来なかったなんて。いったい何者だ?


「美味しいけど、物足りにゃい......」

「......そんなに腹ぺこかい?」

「3日ぶりに食べたニャ。串焼き食べちゃってごめんにゃさいなのニャ。そんにゃつもりは(にゃ)かったけど、体が勝手に動いちゃったニャ......」


 3日も食べてないのならそりゃ我慢の限界もくるだろう。あのスピードがあればそこらじゅうにいる人やお店から食べ物を盗むことなど容易いだろうし、嘘では無さそうだ。


「お金は?盗られちゃった?」

「違うニャ。全部使っちゃったニャ。王都へ来れば何か仕事にありつけると思ったけど、どこも獣人は門前払いニャ」


 仕事を探しに来たけど見つからず、そのうちにお金も尽きてしまったと。

 奴隷だけじゃなく人種差別までとはね。国どころか世界が違えば文化や価値観が異なるのは当然だけど、人権は尊重しようよ。


「それならさ、僕のところで働かない?衣食住は保証するし、お給料も払うよ」

「ニャ?働くってどういうことか分かってるニャ?お給料だって子供のお小遣いじゃ生活できにゃいニャ」


 ほう、すぐに飛びつくかと思ったけどそうでもないか。まぁこんな子供が雇うなんて言い出しても疑うのは当然か。


「差別を嘆きながらも僕のことを見た目で判断するのかい?ま、今は孤児院の経営と商会の設立で手一杯だけどね」

「ニャ?孤児院?商会?王都でそんなことしてるニャ?」

「ああいや、王都じゃないよ。シュヴェーレン公爵領って場所さ。ここへは騎士団のお手伝いのようなものかな」

「噂の新公爵様かニャ?騎士団までやってるにゃんて、いったい(にゃに)(もの)ニャ?」

「僕はライ。住みやすい世界を作りたいだけの平民だよ。僕と来るかい?」

「アタシはティアニャ。色々聞きたいことはあるけど、どうせ行くあても無いし串焼きの恩もあるから——ん?なんのにおいニャ?」


 ティアと名乗った少女は突如鼻をヒクヒクさせて僕に近づいてきた。え、そんなに臭うかな?たしかにここのところお風呂は入れていないけど、水浴びは毎日していたのに。


「さっきは串焼きに気を取られていたけど、この心が洗われるような不思議なにおい......何を隠してるニャ!」


 猫だから鼻が利くのかな?でも別に何も隠してないんだけどなぁ。まさかアニフィの中の食べ物まで嗅ぎつけられた!?

 と思ったら、服の内側からブランがひょこっと顔を覗かせた。


「キュゥ?」

「にゃにゃにゃ!それはまさか......グリュークかニャ!?なんで人間と一緒にいるニャ!?」

「キュッキュウ!キュ〜!」

「にゃんだってぇ!?人間に従うグリュークにゃんて聞いた事無いニャ......」


 そういえばブランって神聖な種族なんだっけ?それにしても獣人もブランの言葉が分かるのかー。羨ましいなぁ。


「従うっていうか、僕の友達であり家族だよ。この子のおかげで今の僕があるんだし」

「これぞ天啓ニャ!アタシはボスに着いて行くニャ!」

「ボス?」

「アタシのいた村はボスが一族をまとめているニャ!今は村を出ちゃったから、ライがアタシのボスニャ!」


 なるほどねぇ。まぁ既に主って呼ばれてるし好きにさせておこう。

 それよりもお腹を空かせているんだったね。


「ほら、食べていいよ」

「ニャ!?今どこから出したニャ!?全くにおいしにゃかったのにスゴいニャ!」


 アニフィから取り出した串焼きとルナ焼きを見て目を輝かせ、両手に持って頬張り始めた。腹が減っては仕事()ができぬというしね。


「ところでさっきのあのスピードはいつでも出せるの?それとも何か条件があったりする?」

「条件?そんにゃの無いニャ。アタシは村で1番早く動けるんだニャ!エッヘン」

「ほぉ、それは凄いね。でももっと早く動けるとしたらどうする?」

「ニャ?これ以上かニャ?さすがにそれは難しいニャ」

「はい、僕の手に右手を重ねて」


 お手のポーズを取ると、食べ物の効果もあってかすんなりテイムが完了した。ほとんどブランのおかげな気もするけど。


「これでオッケーだよ。少しずつ早く動いてごらん。あ、怪我しないように気をつけてね」

「......ニャ?なんか力が溢れて来るニャ!にゃにゃにゃにゃにゃ!スゴいニャ!体が軽いニャ!」


 テイムで強化された少女は僕の視界から消えた。声を頼りに姿を探すと、建物の屋根の上に影が確認できる。え、もしかして壁をかけ登った?

 いやまぁ猫だし有り得るのかもしれないけど、ここの壁10mくらいあるよ?重力どこいったの?


「おーい、降りておいで〜」

「にゃふ!」


 おー、すごい。あの高さから音もなく着地しちゃうの?まごうことなき猫だね。


「君にうってつけの仕事があるんだ。嫌なら孤児院とか商会とか他にも山ほどあるから断ってくれていいんだけど」

「やるニャ!ボスがくれたこの力を活かして何でもやるニャ!」


 内容も聞いてないのに即答かぁ。そうか、そこまでの覚悟があるなら話は早い。新たな計画を始めるとしようか......。


 

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