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40.



「本当にこの馬車は快適ですごいですわね......」

「まだまだ盛り込みたい機能あるんだけどね。今回は時間が無かったから我慢するよ」

「こんな贅沢な馬車、国内のどこを探してもありませんわよ。これで満足していないなんてライ様は何を目指しているのかしら......」

「僕が目指しているのは住みやすい世界だよ。ところで王都までどれくらいかかるの?」

「順調にいけば2週間ほどでしょうか。途中で各街にも顔を出さねばなりませんし」


 2週間かぁ......いくら快適な馬車を作ったとはいえ、そんなに長期間馬車移動をしていたらお尻が割れてしまいそうだ。

 王都に直行すれば1週間もかからないらしいが、今回は領内の街や村を訪れて領主着任の挨拶をする予定だ。それで日程に余裕を持たせるために急遽通達から3日後に出立することになったというわけだ。

 ま、お馬さんたちはちゃんとテイム済みで体力も増えてるから余裕は出来るだろう。

 慣れたいからと言って御者台にククーが座ってはいるが、見張りくらいしかやることはない。他の人たちから見たら御者がいないのは不自然だからカモフラージュって意味もあるけどね。


「そちらの方、スールさんと言いましたわね?ライ様の使用人だなんて大変ですわね」

「いえ、私が望んだことですので」

 

 そして馬車内には僕とジェニー、そしてもう1人いた。ジェニーにスールと呼ばれた女の子は孤児院にいた、水色の髪をボブに切りそろえた10歳の女の子で、僕の使用人になりたいと申し出たのだ。

 他にも希望者は出たのだが、最初に言い出しただけあって基本的な読み書き算数をマスターしてしまった。それが一昨日のことだったので、最初の仕事として王都に連れていくのだ。

 正直、今のところ使用人が必要だとは感じていないし、子供の内はたくさん学んでたくさん遊んでほしいのだけど、本人がそうしたいと言うなら無理に止めることもない。


「まぁ無理はしないでね。困ったことがあったらいつでも言って~」

「はい、ライ様のサポートが出来るように精一杯頑張ります!」


 僕は貴族でもないし堅苦しいのが嫌いだからもう少しリラックスしてほしいんだけど、スールは余計に張り切ってしまった。


「しかしこう温かいと眠くなるね......」


 道はあまり整備されていないけど、立派なタイヤもあるし馬も気を使ってくれてなるべく起伏の少ない場所を通ってくれるから揺れは抑えられている。

 そこに温かい気候が加われば、扇風機の風に乗って眠気が襲ってくる。出発直前まで馬車の改良とチェックをしていて少し寝不足ってのもあるけど。


「ライ様、どうぞ」


 スールが席をいじると、あっという間に寝転がることだ出来るだけのスペースが出来てしまった。これもこの馬車の特徴の1つだ。

 眠くななったり野宿をする時でも、テントを張らずに馬車内で寝転がることが出来るのだ。

 ちょうどいいから寝心地を試そうかなと寝転がろうとすると、頭が柔らかいものに包まれた。頭を上に向けるとスールの顔が見えた......これって膝枕?


「ライ様のサポートが私のお仕事ですから......」


 なにもそこまでしなくていいんだけどね。それに家ならともかく、ジェニーに見られているってちょっと恥ずかしいし。でも心地よくて抗えないし、まぁいっか。





「——ライ様、起きてくださいませ」

「んぅ?」


 体を揺すられて目が覚めると、ジェニーとスールが僕の顔を覗き込んでいた。あー、そういえば馬車の中で寝たんだっけ。それにしても2人して寝顔をのぞき込まないでほしいなぁ。


「もう着いたの?」

「ええ、街の入り口にたくさん人が集まっていますわ」


 そういえば前回僕たちが来た時も、ジェニーが来たって勘違いして集まっていたなぁ。どれだけ楽しみにしてたやら。


「そうそう、この街にはね......新しい名物があるんだよ。ルナ焼きっていってね——」


 2人にもルナ焼きを食べてもらって、それからメタニウムがどこで手に入るのかも聞かなくちゃ。

 今は使い道が無いと言われているけれど、新たな性質が知られたら価値が跳ね上がるからね。

 馬車以外にも応用できるかもしれないし、いまのうちにたくさん確保しておかなくちゃ。



気軽に評価とかしていただければ作者のモチベに繋がりますので何卒......!

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