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39.



「そのようなことが......分かりました、こちらでも可能な限り調べてみますわ」

「うん、お願いね。魔族も魔薬もこのまま放っておくわけにもいかないから」

「そうですわね。......それはそうと、ライ様にお願いがあるのですけれど」

「ん?何?」

「ライ様の計画通り、公爵位を授かることになりました。それで、王都に行かなければならないんですが、ライ様にもついてきていただきたいのです」

「おお、それはめでたいね!でも王都かぁ......」


 ジェニーが公爵になるのはめでたいが、通達が遅すぎるんじゃないかな。やっぱり反対する人たちがいたってことかねぇ。

 王都には興味あるしジェニーの護衛も必要なんだろうけど、あまり長くここを離れるのも心配だ。特に今は魔薬と魔族のこともあるしね。まぁ仕方ないか。アニフィの分体を残して逝けば連絡は取れるし、任せよう。

 よーし、ここはいっちょ新公爵に相応しいような馬車を作ってあげよう。まだ素材は余っているからタイヤは作れるし、いい宣伝にもなる。




「——ってなわけで、僕はジェニーと一緒に王都へ行ってくるから、ルナはここで、エリィは伯爵領で留守番を頼みたいんだ」

「嫌じゃ嫌じゃ!妾も一緒に行きたいのじゃ~!」

「我も一緒に行きたいのう。先日はルナに譲って留守番したのだし」


 案の定2人とも一緒に行くと駄々をこねていた。そりゃ僕だってみんなで一緒に観光行きたいけど、そうもいかないんだよね。


「いつまた魔物や魔族の襲撃があるか分からないからね。そうなったときに頼れるのは2人しかいないんだよ。お土産も買ってくるし、帰ってきたらお願い聞いてあげるから」

「そ、そうか?頼れるのは妾だけなのか......」

「ふむ、主殿が我の言いなりになるというのは面白いな」


 あの、2人とも?微妙に通じてないんだけど?まぁその気になってくれているならいっか。

 これで防衛に関しては大丈夫だろう。あとは公爵邸にはシーニュにいてもらえば安心かな?元侯爵令嬢だし政治のことも多少は分かるだろうしね。

 そうと決まれば馬車作りだー!お祝いも兼ねて立派なのを作ろ―っと。素材は十分にあるし試したい物もあるし楽しみだ。


「よーし、気合入れて作るよ!」

「はい!頑張ります!」

 

 それから出発までの3日間、監視や調査は他の人たちに任せて、アニフィやメーヴェと馬車作りに熱中した。

 馬車自体はすぐにでも出来るのだが、少しでも旅が快適になるようにと機能を盛り込もうとしたせいで出発直前までかかってしまった。僕らが王都へ行っている間離れ離れになってしまうルナたちからもっと構えと怒られもしたが、こればかりは仕方ない。

 センス云々はさておき、モノ作りというのはハマってしまうと満足する物が出来るまでやり続けてしまうのだ。作ってはやり直しという作業をひたすら繰り返した。


「じゃじゃーん!こちらが完成した馬車でーす!」

「これはまた......豪華ですね」


 新しい馬車を見たジェニーは呆気に取られていた。公爵なら馬車もそれなりの物があったほうがいい。王都での調査隊による報告を聞いた時も子供が女がと騒がれていたし、なめられてはいけない。

 公爵家の家紋だけでなく、狐とドラゴンの彫像が飾り付けられている。これなら両者の盟友であると印象付けられるし迫力も満点だ。それに外見だけじゃないんだよね~。

 中身は余計な装飾を省いてスペースを確保し、シートも触り心地の良い素材を使用している。そしてそのシートの下にはメタニウムという金属が使われている。

 メタニウムには高温でも溶かせないのに柔らかいという他にも特殊な性質がある。それは、冷やすとさらに柔らかくなるということだ。それによって個人のお尻に合わせたシートを作ることが出来る。

 タイヤとシートの素材もあるのでお尻への負担は最小限に抑えることが可能だ。


「すごいですわ!以前の馬車とは比べ物にならない座り心地!わずか3日で作れるなんてさすがライ様ですわ!」

 

 まぁ実際に作ったのはほとんどアニフィだけどね。僕が設計してメーヴェがデザイン、そしてアニフィが再現というわけだ。

 あとは冷房も付けたいところだけど、構造すら知らないものは作れないので断念した。肌寒いなら重ね着をすればいいが、暑さはどうしようもない。

 せめてもの対策として扇風機もどきを設置したけど、空気が温いと効果はいまひとつだ。ジェニーが満足そうにしているから今回はそれで我慢するとしよう。

 さぁ、王都へ向かうとしようか!


 

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