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38.



「ブラン!どうしたの!」


 魔族を倒せたのは良かったが、その代わりにブランがぐったりしたまま様子がおかしい。やや息が荒く、意識も怪しいのか呼びかけても反応が無い。


「ブラン!しっかりして!ブラン!」

「主、落ち着くのじゃ。おそらくは力を使った影響で衰弱しておるのじゃろう。刺激を与えずに休ませてやるのじゃ」

「ブラン......こんな体を張って助けてくれて......ありがとう」


 ブランは眷属の中でも1番付き合いが長いし、 僕のテイムスキルを発現させてくれた大恩がある。

 そんなブランに魔族を倒すようなスキルがあるなんて知らなかった。元々あったのか僕のテイムで発現したのか分からないけど、こんな消耗するようなものを使うだなんて。

 

「ブランを心配する気持ちは分かるが、妾たちも同様にいつも主を心配しておるし、ブランとて主の力になりたいのじゃ。その気持ちは汲んでやるのじゃ」

「......うん、そうだね。ルナもいつもありがとう」

「うむ、分かれば良いのじゃ」


 たしかにブランに対しては守ってあげなくちゃという思いが強かった。もっと皆の気持ちも考えないとね。


「それにしても魔族かぁ。ルナとエリィはなにか知ってる?」

「妾は知らぬな。まさか魔薬の裏にあんな者がいたとはな......」

「我は噂には聞いたことがあるが、実際の見たのは始めてだ」

「そうか......魔族があれだけとは思えないし、何か対策を建てないとね」

「そうじゃのう......アニフィとてそう何度も力を使えるわけでは無さそうじゃし」


 あの魔族が持っていた魔薬が最後の1つならいいのだが、楽観はしないほうがいい。

 地下道を壊しちゃったのは失敗だったかなぁ。先制攻撃を仕掛けるためとはいえ、魔薬が地下道にある可能性が頭から抜けていた。こうなったら地下道がどこまで伸びているのか調べて全て潰しておくしかないね。

 崩れてしまった地上の街道もどうにか直さないとだし、魔族も厄介なことをしてくれたものだよ。

 とりあえずウルスを通じて街のほうへ連絡すると、街道の修理は街のほうで引き受けてくれるそうだ。

 

「ルナ、悪いんだけどブランを連れて先に帰りたいから商会の馬車お願いできる?」

「任せるのじゃ。ブランを頼んだぞ」


 ということで僕らはエリィに乗って一足先にシュヴェールへと帰ることになった。どうせ回る予定だった街もあと1つだったし、そこはククーに任せよう。

 ジェニーへの報告も後回しでいいだろう。さっそく自宅に戻ってブランを寝かせる。呼吸の粗さはなくなってきたものの、いまだに意識はないようだ。





 

「——じどの!主殿!」

「ううん......?」

「主殿!ブランが目を覚ましたぞ!」

「はっ!ブラン!大丈夫!?」

「きゅぅ」


 どうやらブランを撫でているうちに僕まで寝てしまっていたようだ。エリィが起きていてくれて助かったよ。

 ブランはまだ少し弱弱しい声だが、表情はだいぶ和らいできたように見える。


「良かった、心配したよ。助けてくれてありがとね」

「キュウ~」

「主殿の動揺するところなんて初めて見たな。我を目にした時ですら笑っていたのに」

「......僕にとって、家族は特別だからね」


 再び眠ったブランを抱きかかえながら、アニフィの分体を通して地下道を探索してみた。

 結局魔薬が隠されていたとかアジトがあったとかも無かったが、その地下道自体はペルディアを挟んで東西に2つずつの街にまたがっていた。

 まさかこれほどの規模の地下道を掘っていたとは......どれだけ前から準備していたのやら。

 たしかにこれを使えば魔物の移動は誰にも気づかれないが、いったい狙いはなんだろう。街の占拠?破壊?いや、そもそもペルディアの領主一家は魔族についていたからその必要はない。

 それに、あの魔族は魔薬を使った実験と言っていた。ということは街の襲撃自体は目的ではないのか。


 「うーん。結局何も分からないなぁ。魔族の規模と目的......知りたいことはあるけれど手だてがない。困ったねぇ」

「確かに。奴らは巧妙なうえに手ごわい。厄介なことこの上ないな」


 せっかく理想の世界を作ろうとしているのに、それを台無しにしようなんて絶対に許さないけどね。

 

 

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