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32.



「ところで、なんで余所者を嫌っているんです?」


 もう面倒くさいので直接聞いてしまうことにした。


「......俺たちにとって余所者はただ奪っていくだけの敵だ。貴族は金や作物を、賊共は子供たちを攫っていきやがる。そう簡単に信じる方がどうかしてる」

「なるほど、ここも被害を受けていたんですね。実は少し前に人攫いの一味を潰して、捕まっていた人たちを保護したんですよ。このククーもその1人。もしかしたらその中にこの村の子もいるかもしれません」

「なんだと!?それは本当か!?」

「そうだとは言いきれないけど、可能性はあります。ただ、その一味は子供以外は皆殺しにしていたみたいだから別の組織かもしれない......。すでに売られてしたりしたら難しいかもだけど、名前と特徴を教えてくれたら調べてみます」

 

 そして聞き取りの結果、攫われた6人中2人が保護している子のリストに名前があった。

 あの奴隷商からは売買リストも押収しておいたけど、どこに売られたかだけで、誰が売られたかというのは記載が無かったから探すのは手間がかかるな。

 それに、今のこの国では奴隷は禁止されてはいない。倫理的に考えればアウトなんだが、どうにも黙認されているみたいなんだよね。

 だから見つけたとしてもそう簡単に引き渡してもらえるとは思えない。力づくで奪っても、他の場所の奴隷たちが無事で済む確証はない。まずは法をどうにかする必要がある。

 

「2人に関してはケア中だからここへ帰すことは出来ます。ただ、他の子たちへの影響もあるからもう少しだけ待って欲しいかな」


 村へ帰れると知れば本人たちも当然喜ぶだろう。だがそれを聞いた他の子達はどうだろうか。家族や帰る場所すら既に無い子もたくさんいる。

 だからペルディアに新孤児院を建設して子供たちを移住させる際にこっそり帰すのが懸命だ。


「お前さん自身もまだ子供なのにしっかりしたものだな。失礼な態度を取ってすまなかった」

「いえ、気にしてませんから頭を上げてください。今までのことを考えれば疑うのは当然です。ただ、公爵も捕まって、今は娘のジェニーが治めていますから領民の暮らしもいい方向に変わっていきますよ」

「そうか......。お前さんがそう言うなら信じられるかもな。期待しているよ」

「ちなみに、隣の街でブブイモを使った新しい名物が出来たんだけど、ここでも作ってたりするのかな?」

「ああ、それなら作っておる。しかし我らの主食ではあるが、あれが名物に?面白くもない味だぞ?」

「それは......こちら!」


 アニフィが取り出した物を見ても村長は首を傾げるだけだ。


「これはルナ焼きというもので、ジェニーの盟友でもある妖狐ルナの印が入った食べ物です。ちなみに私の商会の印でもありますね。さ、おひとつどうぞ」

「おお、すまない。ルナ焼きか、どれどれ......ほう、これは面白い食感だ。噂には聞いていたが封印が解かれた妖狐か。いったいどんな姿をしているのやら」

「え?ここにいますよ?ルナ、変化(へんげ)

「......は?」


 一瞬で狐と化した少女に目を点にする村長。いやー、面白いね。再び人化したルナにルナ焼きを与えておく。


「ま、そういうことです。これからブブイモの消費が増えますのでたくさん作っていただければウチの商会で買い取りますよ」

「なんと、それはありがたい。作っても保存するくらいしか無かったのでな」

「うちの商会は出来たてですが、可能な限りは要望にも答えますので是非ご贔屓に。ちなみに初代商会長にはこちらのククーを任命しようかと思っています」

「はえっ!?わ、私ですか!?聞いてないです!」

「うん、今言ったからね。ククーなら真面目だし任せられると思ったんだよね。それに、広い世界を見て回れるよ?」


 僕自身は孤児院の経営、ジェニーの相談、魔薬組織の捜索と忙しいから動けないんだよね。もちろんサポートはするけど。


「ほ、本当に私でいいんですか......?」

「うん。ちゃんと護衛もつけるし、いつでも連絡は取れるからね。利益よりも、困っている人に寄り添う商会を作って欲しいかな」

「......分かりました。主様のお力になれるなら、是非やらせていただきます」

「......その若さで妖狐を従え、孤児院や商会を持ち、人望もある。お主、何者じゃ?」

「僕の名前はライ。より良い世界を作りたいだけの一般人ですよ」


 貴族は追放されたしペルダン伯爵家ももう無い。今の僕はちょこっと特殊なスキルを持っているだけの、ただの平民だ。

 

「より良い世界、か......。お主のような者が王になってくれたらどれだけ良いか」

「王になっても全ての人間が言うことを聞くわけじゃないですよ。そういうしがらみはゴメンです」

「自由を求めるか。儂らの力が必要になったらいつでも言ってくれ。子供らが笑って暮らせる世界を頼む」

「ありがとうございます。任せてください」


 村長と握手を交わしながらお礼を言っておく。味方がいるというのは、ただそれだけで心強いものだ。

 ブブイモも確保出来そうだし、あとは栄養価の高そうな野菜も作りたいね。それに1番はやっぱりお肉だ!わざわざ動物や魔物を狩ってこないといけないからお肉自体の値段は高い。

 この世界には養鶏場や養豚場のような場所も見当たらないし、なんとか作れるといいんだけどね。


 

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