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30.


 

 

 早速工房へ行ってみると、鉄を溶かしている最中だったので見学させてもらった。とはいっても型を掘って、そこに溶かした鉄を流し込んで固めるだけだ。単純だけど、モノ作りって見てるだけでも楽しいよねぇ。

 孤児院......には危ないからメーヴェの工房にも炉を作ろう。そうすれば作れる物も格段に増えるぞー。


「そういえば、この掘っている台のほうは何で出来ているの?」

「こいつぁな、メタニウムっていう特殊な材質だ。一応金属なんだが、どんな高温でも溶かすことが出来なくて加工に向かないんだ」

「へ~。溶かせないのに削れるくらい柔らかいんだ。不思議な金属だねぇ」


 メタニウムかぁ、面白いね。普通の炉じゃ温度が足りないのか、他の条件があるのか調べてみたい。もしくは他に活用方法があるかもしれない。ちょっと集めてみようかな。


「——ほれ、完成したぞ。こんなもんでいいか?」

「おお、いい感じだね!これでルナ焼きが作れる!ありがとう!」


 出来上がった型を使って早速ルナ焼きを試作してみると、街の人たちに好評だった。狐のマーク入れただけなのにね。

 よほど焼き印を入れるのが気に入ったのか、店主がつい張り切りすぎて作りまくっていたのでありがたくアニフィに収納させてもらう。


「これはいいな!あんがとよ、坊ちゃん。売って売って売りまくるぜ!」

「怪我だけには気を付けてね~」


 ここはシュヴェールからも近いしすぐに噂は広まるだろうが、ちょこちょこ様子を見ておこう。さ、次の街に出発だ―!



 


「アニフィ!もっとルナ焼きを出すのじゃ!妾の名が付いてるということは妾の物なのじゃ!」

「駄目だよ。ちゃんと少しずつ大切に食べないとすぐになくなっちゃうじゃないか」

「むぅ。主はケチじゃのう」

「せっかく好意で貰ったんだから1日1個まで。文句言うならお預けだよ」

「そんな殺生なぁ......」


 出発してそれほど経っていないのに、ルナが文句を言い始めた。ジェニーや孤児院の皆にも食べさせてあげたいし取っておかなくちゃね。


「うーん、さすがに次の街には着かないし今日は野宿かなぁ」


 出発したのが夕方前ということもあったが、次の街までは少し距離があるからまだ見えそうにない。ま、これもいい経験だね。

 暗くなる前に良さそうな岩陰を見つけてそこを拠点に決めた。野宿できそうな場所もピックアップしておかなくちゃねー。

 お馬さんたちを洗ってあげたり皆でご飯を食べてから、馬車の中で寝る。

 そういえば布団類は持ってこなかったな。いっそのことベッドを備え付けちゃおうか。見張りは僕の眷属をつければ問題ないし。

 とりあえず今日のところはルナに妖狐化してもらって、皆寄り添って寝ることにしよう。うーん、これはいい夢が見られそうだ。


『——じ............そろ......んか』


 なにやらうるさいなぁ。今いいとこなんだから......。


「主!そろそろ起きぬか!」

「......痛っ!?」


 頭に衝撃を受けて痛みのあまり目が覚めてしまった。あれ?僕のもふもふ王国は?


「まったく、今日は次の街へ行くのじゃろう?」


 あー、そういうことか。ルナが人化したから支えが無くなって頭を壁にぶつけちゃったんだ。まぁ寝坊した僕が悪いね、ごめんちゃい。


「ふわぁ......さぁて、それじゃ出発しますかー」


 今日は御者台には僕とククー。馬車の中ではルナがリュシオルに眷属のなんたるかを語っている。子供は素直なんだからあまり変なことは吹き込まないで欲しいけど。


「ククー、最近はどう?何か困ってることとかない?」

「いえ、大丈夫です。ライ様のおかげで子供たちもふさぎ込むこともありませんし......」


 いきなり家族と離れ離れにされたうえに、見知らぬ場所に連れて来られて戸惑うのは当然だ。ようやく事実を認識した子たちはそりゃもう泣いた。だけどククーたち年長組やモフモフたちが上手くフォローしてくれたおかげでふさぎ込む子はいなかった。

 本当は連れてきた僕自身がやらなきゃならなかったんだけどね。特にククーは自分も辛い目にあったというのにそれを堪えて本当にすごいと思う。


「ククーももっと欲を言ってくれていいからね?我慢は体に毒だよ」

「欲、ですか......」

「うん。やりたいこととか欲しい物とか、我が儘を言ってほしいかな」

「今のままでも十分幸せです。......でも、もし許されるのであれば、私を——ライ様の眷属にしてほしいです」

「......えっ?」

「私を、私たちを救ってくださったライ様のお役に立ちたいんです。ですから、私をルナ様たちのようにライ様の眷属にしてください」


 おおう、それは予想外だなぁ。眷属かぁ。ま、眷属になったからといって何かが劇的に変わるわけでもない。体力が増えて頭の回転が良くなるくらいかな。特にデメリットがあるわけでもないし、それがククーの望みならお安い御用だ。


「分かったよ。じゃ、僕の手に手を乗せて......はい、これで完了だよ」

「これが、眷属......ああ、素晴らしいですライ様......」


 あれ、なんか恍惚とした表情になっているけど大丈夫?ちょっと早まったかも......。


 

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