27.
「さーて、いっぱい狩るぞ〜!」
「「おー!」」
元々エリィが住み着いていた山奥。そこには僕を含めて6人が降り立っていた。
僕とルナ、サボとエリィ、それぞれに子供が1人ずつ加わった形だ。空が怖いから、サボに乗るくらいなら自分で走るなんてすごいよね。
「さーてと、この辺りにいるんだよね?」
「生態系が変わってなければおそらくはな」
たしかに、エリィがいなくなったことで縄張り争いとか起きてたら分からないよね。ここへ来る途中も何度か魔物に遭遇したし。全部蹴散らしてたけど。
今回の目的はグルヌイユと呼ばれる魔物だ。エリィが使えそうな魔物に心当たりがあるということで例の山へとやってきた。
ついでに社会科見学的な体験として、戦いを見てみたい子を募ったら意外と希望者が多かったので、今回はその中から2人だけを連れてきた。それ以上多くても守り切れるとは限らないからね。
「ふむ、あっちのあたりに気配を感じるな」
さすがドラゴンだ。気配なんて言われても僕にはさっぱりだよ。そろりと向かってみると、岩山の陰にナニカがいた。どうやらお食事中みたいだ。
「ほほう、随分と育っておるのう」
「育つってなに?どういうこと?」
「あやつは特殊でな、他の魔物を食らって自らの力にしてしまうのだ。過去には山1つぶんの大きさにまで成長した個体もいたほどだ」
うへぇ。山と同じ大きさってありえないでしょ。過去にはってことはエリィが倒したのかもしれないけど、よくそんなの相手したね。もはや地形変わるレベルだよ。
今ですら家くらいありそうなのに、アレがそんなにデカくなるとは想像もしたくないなぁ。......だって見た目はどう見てもバカでかいカエルなんだもん。
なんで山にカエルがいるのさ。しかも食べる音がバキバキって鳴ってるし顎の力どんだけあるのよ。カエルって口内で獲物を溶かすんじゃなかった?
「ねぇ、ホントにアレを相手するの......?」
呑まれたらゲームオーバーだよね。死ななくても絶対ヌメヌメするやつじゃん。
「安心せい。あの大きさならたいして強くはない。まぁ念のため子供たちは離れてみておれよ」
よし、僕も子供だから離れていよう!と思ったのだけど、エリィに捕まってしまった。トホホ......。
仕方ない、馬車のため......ひいてはみんなのおしりの為だ。やぁってやるぜ!
「......で、どうやって戦うの?」
僕、素手なんですけど?あのヌメヌメには触りたくないよ?こうなったら......アレをやるしかない!
「アニフィ!......合体だ!」
僕の意図を正確に読みとったアニフィが僕の頭に乗り、触手をウネウネさせて威嚇する。
フハハ!これこそがパーフェクトライフィだ!これなら......勝つる!
アニフィはスライム故に移動が遅いのが弱点だ。それを僕が補い、アニフィは収納してある武器を持った触手で戦う。
「うおりゃぁぁぁああ!」
と僕が叫びながらアニフィが剣で斬り掛かる。が、ヌメっとした表面で滑って傷は付かなかった。
鈍器のような物で殴っても、皮膚がポヨンと震えるだけで弾かれてしまう。クッ......厄介な敵だ。
「こうなったら......奥の手を使うしかないようだね」
「(プルプル)」
「いくよっ」
勢いをつけてカエルの周りを走り回る。しばらくキョロキョロしていたが狙いを定めて口から長い舌が飛んでくる。やっぱり......カエルだから舌で敵を補足するつもりだ。
「身代わりの術!」
アニフィから吐き出された元伯爵に舌が巻き付いてすごい勢いで引っ張られていく。
「今だ!」
カエルの口が開くタイミングで急接近してアニフィからドラゴンブレスが放たれた。エリィと出会った時に収納したブレスである。
巨大なカエルは内側から焼き尽くされて口から煙を吐きながら絶命した。やったね、素材ゲットだぜ!
ドラゴンブレスで焼いたので臓器系が一部灰と化していたが、皮は完璧な状態で残っていた。いや、丈夫すぎるでしょ......。
とんだ社会科見学になったけど、とりあえず持ち帰って作業だ!この丈夫さと弾力ならいいタイヤになるぞ~。
「できたーっ!」
なんとか加工して、試しに既存の馬車の車輪につけてみたがこれはなかなかいいぞ。振動をしっかり吸収してくれるから馬車内は快適だ。
そして馬車本体のほうも設計図さえあればアニフィがあっという間に組み立ててくれる。ちゃんと狐マークも入れたし、これで商会で使う用の馬車の完成だ!
「——ということで、宣伝がてらちょっと色んな街を回ってくるよ」
「まさかこんな短期間で馬車を作って商会を立ち上げてしまうなんて......さすがライ様ですわ......。お気をつけて行ってらっしゃいまし」
「うん、何かあったら連絡してね~」
すぐに戻ってくるし、ジェニーなら問題ないだろう。さ、お出かけにレッツゴー!




