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26.



「——うんうん、順調みたいだね。これでジェニーの地位と領地は決まりっと」


 王都にあるお城の一室。潜んでいる小さな影と共有(リンク)している僕はそこでの会話を聞いていた。調査隊の荷物に紛れ込ませたアニフィの小さな分体。それが今は調査隊の服の内側に張り付いていた。

 その調査隊の人による必死の説明はその場にいる人を戦慄させた。公爵の不祥事と妖狐だけでも頭が痛いというのにそれに加えてまさかのドラゴン。さらには魔薬なる物に手を出して滅んだという伯爵家。

 結局、良い解決案など見つからず、国王が下した決断は「特例としてジェニー・シュヴェーレンを公爵として伯爵領も与える」というものだった。

 13歳の子供——それも女がいきなり公爵ということで当然反対意見は出たものの、「ではお前がドラゴンの棲みつく街を治めてみるか?」と問われれば黙るしかない。妖狐もドラゴンも、ヘタに刺激すればいつ牙を剥くか分からないのだ。

 それに、ジェニーが優秀なのは認めるしかない。告発文と共に届けられた、実施中もしくは実施予定の政策はどれも理に適っており、どのような効果が期待されるのかまで記されていた。まるで未来を知る者が書いたかのように。

 ということで、妖狐を従えて国に安寧をもたらしたという功績を理由に、この国初の女公爵が誕生したのであった。


 


「しかし僕も所詮は人間か......」


 テイムの力のおかげでこうして離れた場所の様子を見聞きすることが出来る。だが能力の制限上、1か所のみだ。同時に他の場所で情報収集することは叶わない。慣れてしまうとさらなる欲が出てしまうのだ。

 同時共有(リンク)は出来ないし、出来たとしてもどこぞの太子じゃあるまいし聞き取れるとは思えない。




「——ということで、商会を設立することにしたよ!」

「はぁ、またいきなりですのね」


 なんだかジェニーは乗り気じゃないみたいだ。というより戸惑ってる?ちゃんと事前に相談してるのに。

 

「で、どういうことですの?」

「ん~、まぁ色々作って売りたいっていうのもあるけど、各地の情報収集をしたいんだよね」


 眷属の動物だと会話が出来ないからなかなか難しい。だから人間が直接見聞きして報告してもらうために各地を回る商会を作ってしまおう!と考えに至ったのだ。


「たしかに情報は欲しいですわね。それに、ウチが使っていた商会は伯爵との連絡に使われたり後ろめたいこともあったので、ライ様が商会を作るのであれば私も利用させていただきますわ」

「それはこちらも助かるよ。公爵家が懇意にしているとなれば信頼も得られやすいし、ヘタに手出しも出来ないだろうしね」

「こちらからも支援させていただきたいのですが......申し訳ありません」

「いいって。必要な物はこっちで用意できるし」


 お金も人も足りている。欲しいのは人脈だけど、公爵家が使っている商品となれば宣伝は十分だろうしね。

 あとはロゴなんだけど、公爵家とも縁のある狐にしようかな。ただ、家具類にはアニフィのロゴがついてるから、どこかでドラゴンも使わないとエリィが拗ねるかもしれないな。


 よし、ジェニーの許可は貰ったし、次は馬車だ!馬は賊から保護したのがたくさんいるから問題ない。馬車も奴隷商が使っていたのを改造しようかとも思ったけど、ここはイチから作ってしまおう。メーヴェとアニフィに協力してもらえばいいモノが出来るはずだ。

 問題はタイヤなんだよなぁ。この世界ではゴムはまだ無いみたいだけど、木がむき出しだと衝撃がモロに伝わるだろうし。特に道が舗装されているわけでもないから余計にだ。なんかいい素材があるといいんだけど......。

 

「ルナ、エリィ、何かちょうどいい素材知らない?丈夫でほどよく弾力がある感じの。魔物の皮とかでもいいんだけど」

「弾力とな?なかなか難しいのう」

「イメージがつかぬな」

「ん-、そうだ、実際に馬車に乗ってみれば分かるよ」


 3人で馬車に乗って少し走らせてみるが、やはりお尻への衝撃が大きいし、揺れて酔ってしまう。

 ルナとエリィも何かに乗るという経験が無いからか、すっかりダウンしてしまっていた。どちらかというと乗せる側だもんね。


「こんな感じで揺れがすごいから、タイヤに何か巻いてそれを軽減したいんだよ」

「にゃるほどぉ」

「こ、これは......なんとかする必要がありそうだな......」


 2人とも分かってくれてなによりだよ。ちょっとみんなで狩りにいきますかぁ!

 

 

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