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25.



 「さて、あらためて挨拶といこうか。僕の名前はライ。この孤児院のまぁ経営者みたいなものかな。ここにはいろんな人が集まっている。各街の孤児院から来た人、スラムで暮らしていた人、元奴隷だった人。でもそこに上下も優劣も無いということを覚えておいてほしい。君たちは全員自由なんだ」


 目の前に集まった子供たちに向かって話すが、小さい子たちはすでに飽きているようでプリエたちがあやしている。無理もないか。


「行きたい場所ややりたいことがある人はもちろん応援するし支援もする。だけど、その前にまずはここで色々なことを学んでほしい。知識というのは必ず君たちの力になる。そして、少しでも僕に恩を感じているのであれば、困っている人に手を差し伸べてほしい。そんな優しい世界を作るのが僕の目標だからね。まずはたくさん食べてたくさん寝て、たくさん学んでほしい。以上!」


 僕の挨拶が終わると、次第に拍手が鳴り始める。

 今は分からなくてもいい。まずは皆が健康に笑って過ごせることが大事だからね。まぁいつの日か分かってくれる日が来るだろう。10年後、20年後にこの国を支えるのはここにいる子供たちなのだから。

 ま、それまでに下地くらいは作っておかなくちゃね。


 



「シーニュ、ちょっといいかな」

「あ、ライ様。どうかされましたか?」

「ちょっと相談というか、聞いておきたいことがあってね。シーニュのこれからについてだよ」

「私の......これから?」

「うん。ここも狭くなったし近いうちにペルディアにも新しい孤児院を建てることになると思うんだけど、そこの院長とかどうかなって思ってさ。もしくはジェニーの補佐についてもらうという手もある。それとも......家に帰るかい?」

「......っ!やはり気づいておられるのですね」

「まぁ最初から違和感はあったしね。ウルス達に必要以上に馴染まなかったのも、所作が綺麗なのもそうだと考えれば説明がつくしね」

「さすがです、ラモール様」

「僕はライだよ。今のキミがシーニュであるようにね」

「......私の本当の名前はロシアナ・イディオーと申します。侯爵家の長女でしたが、家の存続のために生贄にされそうになって逃げだして、ウルスたちと出会いました」


 この世界の貴族......というか現当主たちヤバすぎない?公爵、侯爵、伯爵とロクでもないのしかいないじゃないか。王家ってちゃんと機能してるの?


「生贄ってどういう?」

「隣国の第3王子との結婚です。王子といっても私より20以上も年上で醜く太り、素行が悪いと有名ですね」

「あー、それは逃げ出したくもなるね。それっていつの話?」

「私が12の時なのでもう5年も前になります」


 うげ。ってことは少なくともその王子は当時で32より上。それが12歳を?倫理観どうなってんの?そもそも王子なのに30超えて結婚出来てないって時点で問題アリって言ってるようなもんだよね。

 しかし貴族だったのにいきなり賊まがいの生活なんて大変だったろうに。それを5年間も。

 

「話してくれてありがとね。そのうち侯爵家とも色々あるかもしれないから今の内にシーニュの立場をハッキリさせておきたくてね」

「今の私はシーニュであり、ライ様の眷属です。如何様にでもお使いください。ライ様の作る世界こそが私たちの希望なのです」

「分かったよ。じゃ、シーニュには新しく作る孤児院の院長をお願いするよ。何か要望があれば遠慮なく言ってね」

「かしこまりました」


 ジェニーのほうも人手が足りないんだけど、侯爵令嬢となると色々と面倒くさそうなんだよねぇ。ジェニーは上手くやるだろうけど、他の貴族にバレたらマズいしね。





   *   *   *

 


「——ということで第1回円卓会議を始めま~す」

「あの、状況が理解出来ないんですが?」

「ん~、ちょっと貴族たちの情報を整理したくてね。信用出来そうな貴族とそうでない貴族にね」

「そうではなく......。ライ様はもしかしたらと思ってましたが、まさかシーニュさんまで貴族だったなんて......」

「あれ?ジェニーには僕のこと言ってなかったっけ?」

「聞いておりません!ペルダン伯爵に隠し子がいるという噂はありましたし、ライ様の手腕を見ればその可能性は高いと思ってましたが......」

「ま、僕は10年間ずっと軟禁されてたし貴族のつもりはないよ。伯爵家の人間ももういないしね」

「......そんな重い事実をサラっと言わないでくださいまし」


 しばらくして気を取り直したジェニー、シーニュと3人で情報を出し合っていく。といっても僕はもちろん、シーニュも5年前の情報しかないからほとんどジェニー頼りだけどね。てへっ。

 貴族の怪しい動きや情勢を調べるだけでなく、僕らのように不当な扱い受けたり嫌な思いをしている子供たちをこちら側に引き込めれば大きな1歩となる。

 それに今1番の懸念事項は例の組織だ。仮にだが、ギャルドたちのように体が変質した状態を「魔人化」、その作用を持つ薬を「魔薬」と呼ぶことにした。

 公爵の告発と同時に王都にも報告はしてあるし、調査隊もギャルドの成れの果てを持ち帰ったが組織がどこに潜んでいるか分からない。しかし研究を進める以上は人も金も必要になるはず。ということで怪しそうな貴族をピックアップしてマークするのが1番というわけだ。

 さて、この世界にまともな貴族はどれくらいいるのかな。......まさか全部が腐ってるなんてことはないよね?


 

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