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22.



「やっほー。完成したんだって?」

「あ、ライ様!はい、一応は......。こちらが完成品です」

「おお、いい感じだね!これならすぐに使えそうだ」

「はい。全部同じ大きさと薄さにするのが問題だったんですけど、アニフィ様のおかげです!」


 僕がメーヴェに頼んでいたのは、4種類の絵柄と1~13の数字が書かれたカード——木製のトランプだ。これで孤児院の子たちの勉強が捗るね。実際に使ってみて問題なければ量産化も視野に入れたいところだ。

 この工房も職人とアニフィで補習や改築も進んでるし、もっと使いやすくなるだろう。






 孤児院は今日も平和に大騒ぎだった。いろんな街から連れてきた子たちもすっかり元気になって馴染んでいる。本当は各街の孤児院を整備したいところだけど、そこまでの余裕もないし管理者の問題もあるからとりあえずここに集めているのだ。広さは十分にあるしね。

 シーニュにもフォローしてもらいつつ僕が勉強を教えているのだが、子供たちはみんな一生懸命に学んでくれている。やっぱり衣食住を保障されているっていうのは大きいよね。この子たち自身のためにも、世界のためにもたくさんのことを学んでほしいものだ。


「みんなー、今日は新たらしい遊びを持ってきたよー」


 遊びと聞いて子供たちのざわめきが大きくなる。1セットしかないのは失敗だったかなぁ。次が出来るまでは、グループごとに交代で使ってもらうしかないかー。

 説明しながらシーニュと7ならべを実践していく。数を覚えるにはこれが1番だよね。トランプの数が増えて慣れてきたら他の遊びも教えていこう。説明書作ってシーニュにも教えておけばいいかな。

 あとは遊具とかも作っておきたいなぁ。鉄とかだと加工が難しいし木材でアスレチック的なの作ってみようか。怪我をする危険もあるけどそれも人生経験だよね。それで何が危ないのか学ぶし。


「何か問題はあった?」


 向こうでシーニュに群がる子供たちを見ながらプリエに近況を尋ねてみる。シーニュは頭もいいし教えるのも僕よりずっと上手いから任せておいても大丈夫だろう。


「そうですね。喧嘩や小さな怪我などはありますが、1番の問題は人手が足りないことでしょうか......」

「だよねぇ。人が増えればその分トラブルがあるのは仕方ないそれも子供らしくていいと思う。人手についてはなんとかしたいところだけど、やっぱり子供の世話をするから信用できる人じゃないとねー」


 年長組が下の子たちの面倒を見てくれてはいるが、彼らもまだ子供だしね。ん-、どうしたものか......。


「ピィー!」


 考え込んでいると、アニフィから鳥の鳴き声が聞こえてきた。この鳴き声は......伯爵領の向こう側を監視してる子かな?共有で確認してみると、大きな荷台を布で覆った大きな馬車がゆっくり走っていた。いかにも怪しいな。しかもわざわざ人の通らないような道無き道を進んでいるようだ。


「ちょっと中身確認してみようか。バレないように布破ける?」

「ピィ!」


 荷台の上にとまって嘴でつついて器用に布に穴をあけて顔を突っ込む小鳥さん。その馬車の荷台には人が乗せられていた。しかも全員が縛られてまともに声も出せずに身動きすら取れないような状態だ。

 これはそういうことだよねぇ。ちょっと行ってくるかー。


「ちょっと出かけてくるよ。もしかした人手のほうもなんとかなるかも」


 サボに乗って現地に急行する。わずか10分とかからずに到着し、そのまま馬車の前に降り立つ。


「やぁ。こんなところを通って何処へ行くのかな?ずいぶんと大きな荷物だね」

「なんだテメェは!これは大事な荷物なんだ!痛い目見たくなかったらとっとと失せやがれ!」

「ふぅん。ま、君たちの都合なんてどうでもいいんだけど......ねっ!」


 御者台に乗った男2人を力ずくで地面に放り投げる。そこへサボの前脚が襲い、地面に縫い付けられる2人。


「僕は優しいからね、選ばせてあげるよ。おとなしく全てを白状して降伏するか......そこのヒッポグリフの餌になるのかをね」


 僕の言葉と共にサボが大きな声で鳴く。あの大きな鷲の顔で威嚇されたら大人でも十分に恐怖を刻み込める。


「ひぃっ!わわ分かった、降伏する!降伏するから助けてくれぇ!」

「おい!テメェ裏切る気か!そんなの(かしら)が許すはずねぇだろうが!」

「じゃ、そっちの人は助けてあげるよ。君はとりあえず空の旅を楽しんでもらおうかな」


 サボは抵抗する男を掴んでそのまま空へと旅立っていった。男の絶叫が響き渡るが、楽しんでもらえているようでなによりだ。


「さて、じゃぁ話してもらえるかな?この人たちはどこから攫ってきたの?」

「こ、こいつらは......近くの村から攫ってきたんだ。その......奴隷として売るために......」

「なるほど。領主が不在となった途端にこれか......。よし、頭とやらのとこに案内してもらおうか。ああ、君の命は保障してあげるから安心していいよ」

「わ、分かった。ここからそう遠くない場所だ」

「あ、その前にあの人たちの拘束解かなくちゃね。鍵は?あるでしょ?」


 おとなしく差し出された鍵を持って荷台を開放し、1人ずつ拘束を解いていく。どうやら全員意識はあるようだ。まずは1番年上であろうお姉さんに事情を聞こうか。


「落ち着いて聞いてください。僕は公爵家の遣いです。偶然この馬車を発見して止めましたが、状況を確認したいんです」

「......わ、私たちは......突然村が襲われて、捕まってしまったんです。私たち以外の人は皆、殺されてしまいました......」

「なんてことを......。僕は公爵領で孤児院を経営してるんですが、ひとまずそこへ避難してもらえますか?後ほど村のほうも供養に行きましょう」

「はい......私もですが、子供たちはもう身寄りもなく行くあてもありません。どうか、よろしくお願いします」


 奴隷として高値で売れるだろう女子供だけ攫って他は皆殺しとは酷いことをする。お姉さん自身も突然のことで動揺しているだろうに涙をこらえて答えてくれた。子供たちの前だからかな。

 なんにせよ、他にも同じことをしているだろうし放っておくわけにもいくまい。


「ブラン、お馬さんとお話して孤児院まで案内してもらえる?」

「キュゥ!」


 鳥たちと連携すれば道が分からなくなることもないだろう。馬車はブランに任せて、僕はその頭とやらのとこに行こうか。腐った組織は根絶やしにしなくちゃね。

 

 

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