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18.



「あるじぃ......本当にやらねば駄目かのう?」

「まぁ、必要なことだしね。難しく考えずにいつもみたいに偉そうにしてれば大丈夫だよ」

「主の目には妾がどう映っておるのじゃ......」

「ほら、ジェニーが待ってるから行ってきなって」

「うぅ......仕方あるまい」


 今日はここ、領都シュヴェールでのルナのお披露目だ。今は領主の館前でジェニーが、森に封印されていた狐様の封印が解けたが敵ではなく味方となったことを、集まった民に説明している。

 渋々といった感じで了承したルナは、妖狐の姿に戻って領主館の屋根に登り巨大化した。

 突如として現れた巨大妖狐に民たちは驚き恐怖し始めるが、すかさずジェニーが制した。


「皆さん、恐れる必要はありません。こちらは我らをお守りくださるお方なのです」

「人間どもよ。我はジェニー・シュヴェーレンの盟友となった。この者が領主である限り、人間と敵対しないと約束しよう」

 

 うん、打ち合わせ通りのセリフが言えて良かった。ここで噛んだりしたら威厳もなにもないから少し心配だったけど。

 領民も恐怖から一転、歓喜に沸いてるから問題ないだろう。どうやったのかより、危機がなくなったことのほうが重要だろうしね。

 そしてこの事実はどんどん広まっていくだろう。当然ジェニー自身からもすでに王都に報告は出している。同時に公爵の不正も報告しているから大騒ぎになっていることだろう。当然公爵は処分しなければならないが、ジェニー以外を領主とすれば妖狐が敵となってしまう。

 あの妖狐を手なずけたという功績を含めてジェニーに相応の地位を与えて領主に据えるしか手はないというわけだ。ついでに、信用できる文官の派遣も要請するように言っておいたから経営のほうも楽にはなるだろう。


 それから僕たちは新孤児院建設を手伝ってくれた職人たちの伝手を使ってひたすら資材を買い集めた。サボに乗って飛んで行って、買ったらアニフィに詰め込んで帰還。領都の端っことはいえ、資材が山積みでとんでもないことになってしまった。

 なにせアニフィが優秀すぎて建物自体は当初の予定よりも広く上質な物が出来上がったのだが、中身はすっからかんだ。というわけで家具やらなんやらは自分たちで作ってしまおうという話だ。建物のように専門的な知識はそこまで必要ないし、メーヴェとアニフィがいれば作業はサクサク進むのだ。

 ベッドにテーブルに椅子に......とひたすらに作っていく。途中、思い付きで某ゲームのスライムの形をロゴとして刻んでみたら、アニフィが全ての家具に刻み込んでいた。自分のマークだってことまで理解しているのかな。

 ちなみに元々あった建物に関しては、プリエからの要望により補強だけして残すことになった。まぁ色々思い入れもあるのだろう。





「まぁ、ここが孤児院......?ですのね」


 ようやく完成したと報告したら、ジェニーが早速視察にやってきた。なんで疑問形なんだろうか。れっきとした孤児院なのに。


「ここが新生『フィーニア孤児院』だよ!」


 元々名前が無かったということなので、アニフィのおかげで生まれ変わったしロゴにもなっているのでアニフィをもじって名付けた。子供たちも喜んでいるし名前があったほうが何かと便利だろうしね。


「しかし......ずいぶんと大きいですわね?」

「あはは。()()()()()()()大きくなっちゃったけどその分中は充実してるから」

「これは領主館よりも......いえ、これも未来の為なのですからよしとしましょう。では案内してくださいまし」

「おっけー。まずはー、居住スペースだね。さすがに個室というわけにはいかないけど、十分寛げる広さはあるよ~」

「これは......ベッドが重なっているのですか?」

「うん、2段ベッドだね。やっぱり場所を効率よく使うためには縦に上手く使わないとね」

「こんな発想があるだなんて......」

「はい次ー。僕こだわりの場所でーす!」

「ここは......お風呂ですか?」

「まぁそうだね。みんなでゆっくり浸かれるようにここも広く作ったよ!」

「はぁ......」

 

 元日本人たるもの、お風呂は欠かせないよね。公爵邸にもお風呂あったから絶対作るぞって決めてたんだよね。広さは圧倒的にこちらが上だ。10人は余裕で入れるぞ。


「で、ここが子供たちが勉強する部屋ね」

「なんというか......もう何を言ったらいいのか分かりませんわ......」


 黒板とチョークに似た物は見つけたから設置したけど、黒板消しの代わりが無いんだよね。何で出来てるのかも分からないし。なのでそこはボロ布で代用。これで少しは学校っぽくなった気がする。

 そして外には子供たちが運動できるスペースもあるんだよね。今もルナやアニフィたちと遊んでいるのが見える。エリィもすっかり子供たちと打ち解けている。こうしてるとあの2人がとても人外の存在だなんて思えないんだよなぁ。

 遊具作ったり建物自体ももっと改造したいけどそれはおいおいやっていこう。やるべきこともやりたいこともたくさんあるけど、そこまで生き急ぐ必要はない。まずは子供たちをしっかり育てないとね!


 

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