五話 サイズとゲームをしてます
五話 サイズとゲームをしてます
「履歴書がないので、簡単に自己紹介をしてください」
シールドは就に言った。冗談を言っている感じではないのを察したのか、就は真面目な顔で答えた。
「二瓶就。二十二歳です。服の仕立て屋をしようと思いまして、今はアルバイトでお金を貯めている最中です」
「服ですか。目標は達成できそうですか?」
「能の、彼女の協力が得られそうなので、数年で軌道に乗ると考えています」
要は見込みの甘さを感じていた。能がそんなに働き者だと思えないのだ。就には本性を隠している可能性もある。
「恋愛関係にある異性の金をあてにするのはよしたほうが良い。恋とともに店が終わるのは避けたいからね。もしそんな事になったら、サイズが路頭に迷う」
「それは避けなければならないわ。うちなら不自由はさせないし」
「母さん、黙って。まだ質問は終わっていない」
マダムは息子に言われてしぶしぶ黙った。
「仕事が軌道に乗ったとして、サイズはどう育てていきますか? 学校は?」
「学校ですか。いつ宿守応該に連れ去られるか分からないので厳しいです。かと言って人間の学校に入学させるわけにもいきません」
「ならばどうします?」
就は考える。シールドは急かす事なく、待ってくれている。
「俺達で教えられる事もあると思いますが、小人の常識は教えられません。その役割をみなさんに頼ってはいけないでしょうか?」
「つまりは家庭教師をつけたいという事ですね?」
就は頷いた。
「それはサイズの意見も聞いてみないといけませんね」
「母の言う通りです。やりたくない事をさせられるのは苦痛ですから」
「じゃあ、お義姉様達に任せれば良いんじゃない?サイズも知ってる小人のほうがやりやすいだろうし。安く出来るかもしれないし」
能は良い事を思いついたと言わんばかりの顔で加勢する。あわよくばノーギャラでやらせようと考えているようだ。
「みんな、仕事を持っているんだ。能みたいに身軽じゃないんだ」
「分かってるわよ」
口を尖らせ、すねている。
シールドはその様子を見つつ、頷いた。
「就さんには及第点を出せると思います。しかし能さんには不安を感じます」
「どうして?」
「発言に重みを感じません。責任を就さんにだけ背負わせているように感じました」
「そんな事ないよ。私の人となりも知ってよ」
シールドはしぶしぶ面接を続けた。