三話 マダムがサイズを誘ってます
三話 マダムがサイズを誘ってます
「サイズを人間に任せておくのは良くないのではないですか?」
鶏肉を食した事をかなり問題視していて、マダムはエスパーダに詰め寄った。
「就君と能ちゃんなら大丈夫ですよ」
「あなた、責任を放棄する気?」
「私は責任持てませんて」
「無責任な」
「だいたいどうしてシールドのお母さんがサイズに構うんですか? 同情ですか?」
「似てるのよ。昔の私に」
「は?」
「髪や目の色も、何もかもそっくりなのよ。私の子供かなって思うくらい。もしかしたら私のクローンかもしれないわ」
想像力たくましいマダムにエスパーダは失笑した。
「何がおかしいの! 応該ならやりかねないのよ」
確かにマダムの話を聞いていたら、極悪人のようなイメージを持つ。だが要にはそれだけでは判断が出来なかった。離婚した後も要の母と繋がっていて、能が生まれた。きっちり認知しているし、養育費も払っていたと聞く。
いずれ会わなければならないと要は決めた。
「クローンなんて作ってどうするんだろ?」
「人に応用できたら、いろいろな事が出来るだろう。産業のありかたも変わるし、何より軍需産業がほっとかない」
「サイズはそんな事のために生きてるんじやないよ」
「そうなのです! だから私達でサイズを守らなければならないのです」
急にマダムは元気になった。
「サイズ、私の養子になりなさい」
「はえ?」
ゲームをしていたサイズは何を言われたのか理解できていないようだ。
「私の娘にならない?」
マダムは言い換えた。
「おばさんの事初めて知ったし……」
明らかな拒絶を示され、マダムは悲しそうな顔をした。
「それはさすがに急過ぎるよ。まだ二瓶就に会っていないのに」
「人間のところにいては応該に取り返されてしまうわ。小人族の社会に溶け込めば、絶対に追って来られない。シールドという実績があるのだから」
良い事を言ったとは思うが、サイズはゲームに気を取られて話を聞いていないようだった。マダムのテンションが下がったように感じた。
「人の話を聞かないところは確かにそっくりですね」
エスパーダがそう言うとマダムは顔を真っ赤にして説教を始めた。