二話 世間話をしました
二話 世間話をしました
シールドは箱に入ったスマホをサイズに渡した。受け取ったサイズは乱暴に取り出し、手になじむ事に感動していた。
「すぐ使えるように設定しておいたよ。要さんからいろいろ聞いていたからね」
「ありがとう、おじいさん」
サイズはスマホを起動させて、画面に集中する。
「しかし、その、二瓶就という男は信用できるのですか? 要さんが言うので名義人にはしていますが」
「大丈夫だと思うよ。能ちゃんもいるし」
エスパーダが気休めを言うとマダムが睨んでくる。
「あなた無責任じゃないかしら。小人族としてサイズのフォローをしないつもり?」
「しますよ。能ちゃん達も信用しているんです」
「ではサイズに何かしたと言うの?」
「神話とゲーム知識を教え込みました」
「その程度では慕われないわ。スキルや知識を教えるのです」
「たとえばどんな……」
「衣食住を一人で確立できるくらいにはしなさい。あなたは出来ていないようだけどね」
確かに食事は要任せだし、家賃も出してくれない。マダムの意見は正しいと言えた。
「まあ、要さんの料理はおいしいので分からないではないのですが。要さん、今日は何を食べさせてくれるのかしら?」
要に期待の視線を寄せる。料理を目当てにされているようだ。
「まさか早く来たのは二食食べるつもりだからですか?」
「な……」
図星を指されたマダムは顔を赤くした。
「私がそんな浅ましい小人だと思っているの⁉︎ 失礼ね!」
「いえ、浅ましいというか、当然だと思います。確かに要の料理はおいしくて、黒星も認めるほどなんです」
エスパーダはのろけで返し、マダムを黙らせた。
「要さん、頼むわね」
怒りの持って行く場所を失い、マダムはそう要に言うしかなかったようだ。
「まずは他人丼を考えています。親子丼はエスパーダに却下されましたので」
「親子丼?」
「鶏の肉と卵を使うので親子丼です。小人族は鳥を食べないらしいので」
「確かに乗り物を食べるわけにはいかないものね」
そこはエスパーダとは争わないようだ。
「え? 親子丼食べた事ないの? 味濃かったけどまずくはなかったよ」
サイズが顔を上げて会話に割り込む。
「鳥を食べるなんて!」
マダムがショックを受けていた。




