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小さな妖精に転生しました  作者: fe
二章 2つの満月
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041. 朝食

 朝起きたら朝食が用意されていた。


 パンとスープ、スクランブルエッグと謎の肉片だ。あとサラダ。スープはハーブを煮込んだ感じなのかな、何かの草とベーコンの切れ端が入っている。


 スープを飲もうとしたら、その前に身だしなみを整えられるようだ。見習いメイドちゃんに濡れ布で顔を拭かれた。力加減が分からないのかサワサワされるだけで、こしょばゆい。もっと力を入れてくれて良いよ、と言うかもっと力を入れてくれ。


 体も露出している箇所はパパっと拭かれた。


 次に先端に糸を巻いた棒をクチに突っ込まれた。うごごご……、これは? 歯磨き?

これがこの国の歯ブラシなの? それとも私サイズの歯ブラシを用意できなかったから代替物を用意したと? 何にせよ嫌がらせではないようだね。


 見習いメイドちゃんがクチを縦に開ける仕草をする。私も真似てクチを縦に開ける。前歯の裏に棒が入ってきた。いたっ、歯茎に刺さってるって! おごごご……。




 そうしてようやく朝食の前に立たされた。鳥籠が設置されている人間サイズのテーブルの上に、私サイズの机として箱が置かれて、その上に小さな朝食が乗っている。机代わりの箱の前には、これまた一回り小さな椅子代わりの箱。私は椅子箱に座って朝食を吟味する。


 なんだか高級料理店みたいにスプーンとかフォークが料理の両脇に並べられているんだけど、大丈夫かな? 私はちゃんとした作法とか知らないぞ? まぁ好きに食べれば良いか。


 私は小さなスプーンを手にとってスープをすくった。スープは例のごとくスプーンの上で丸まるけど、その水滴、いやスープ滴?にクチを付けて吸い取った。なるほど、この方法なら熱い液体も飲めるね、若干クチビルが熱いのを我慢すればだけど。


 ベーコンも相当小さく切られていて食べやすい。んぐんぐ、相変わらず味は薄いけど塩味は利いてて美味しい。がっつり食べるなら冒険者ギルド、お上品に味わうなら王城だね。なんと贅沢な食生活! ビバ、王家のペット!


 よし、次はスクランブルエッグだ。私はスープを飲むのに使ったスプーンのまま、スクランブルエッグをよそおうとした。プルプルしていてスプーンの入りが悪い。これは、このスクランブルエッグがスライムみたいに粘性ありすぎるのか、それともまたサイズ差による弊害なのか……。なんとなく後者な気がしてきた。


 ほとんどの料理は人間が食べるのにちょうど良い構造をしているのだ。スクランブルエッグの気泡がでかすぎるし、このスプーンだって普通のスプーンにしてはぶ厚すぎる。でも固定観念にとらわれてはいけない。この世界には魔法があるのだ。ひょいパク、うまい。


 あ、この謎肉、ソーセージの端切れか。私サイズのソーセージがないからソーセージの一部を切り出した感じかな、皮がちょっとだけ付いてる。んー、ソーセージは皮ごとかぶりついてパリッが良いんだけど、私サイズだと難しいかー。これだったらベーコンの方が良いかな……。


 いやいや、食べられるだけ有難いと思おう。こんな見知らぬ世界に身1つで放り出されたのに、衣食住の面倒を無料でみてもらえているんだ。よく考えればこんなに有難いことはないよね。パンの気泡が私の爪よりでかくて食べにくいとか文句を言ってはいけないのだ。サラダの食物繊維が布のように目視できてかじるとクチの中に水があふれても文句はないよ、わんわん!



 ふと見上げれば鳥籠メイドさんが何やらメモを取りながら嬉しそうにしている。ふむ、ペットの観察記録かな? ペットがエサ食べてるだけでめちゃくちゃ笑顔になる人っているよねー。ちなみに、見習いメイドちゃんはすでに居なかった。身だしなみセットとかを片付けに行ったのかな。




 そうして今日も私は外に出た。川の水位がまた上がっているね、雨は降ってない筈だけど……。河上で雨が降っているのかな? この水位どこまで上がるんだろ? 微妙なところを秘密基地にしていた子どもたちが、ちょっと心配になってきたな。


 よし、今日はまず秘密基地の様子を見に行こう。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 町の子供たちや司祭さん、そして歯磨き……棒にまつわるものが鬼門ですな
[良い点] 侍女さん報われてよかった! [一言] 増水した水路は怖いですね。 しかし水路に子供が気軽に入れたのって、例の敵国の工作活動で進入口が開きっぱなしになっちゃったからなのかなあ。
[一言] そうそう。川の水量は付近の雨量だけじゃなくて、上流域の総雨量によって変わるからね-。しかも結構な時間差で はたして秘密基地は無事なのか!?
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