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小さな妖精に転生しました  作者: fe
八章 混迷
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338. ペロッ、これは

 3ピー組が1人いなくなった。

 3ピー組の中じゃ1番イカツイ顔したイカツ兄ちゃんが昨日からいなくなっちゃったんだよ。どこ行っちゃったんだ? これじゃ2ピー組だって。

 残された2ピーの糸目さんとモッサリさんが、いなくなったイカツ兄ちゃんを心配して騒いでいるのが痛ましい。

 そんな痛ましい2人が雪掻きに駆り出されているのがなおさら痛ましいって。


 魔王(ポチ)もいなくなってるけど、ポチはたぶん特産品を東の辺境伯(マッスルブルク)さんとこへ届けに行ってるんだろう。私が行けって言ったからね。


 雪の閉鎖空間で起きる連続殺人事件。そしていなくなる人間。死体は見つかっていない。

 この場合考えられるパターンは、犯人だから身を隠した、殺されたけど死体が見つかっていない、犯人だけど殺された被害者のふりして自由行動を得た、の3パターンだよね。


 今回はどのパターンかな?

 ……ダメだ、分からない。まだ情報が圧倒的に足りてないって。


 まず3ピー組が住んでいる家。

 なぜかその家の屋根裏部屋にお酒マンが隠れて暮らしている。だから私もその屋根裏を拠点としているよ。

 だけどイカツ兄ちゃんはこの家には戻ってきてない。


 イカツ兄ちゃんの荷物は置かれたままだから、自分から村を出てったって線は薄いと思う。この大雪の中、荷物も持たずに自分の意思で村を出るなんてアホすぎるもんね。


 イカツ兄ちゃんが消えたのはこの村に来て2日目だ。だからその2日で兄ちゃんが行った場所はメチャクチャ限られている。この家と、見習いメイドちゃんの家くらいのハズだ。


 地道な捜査が事件解決への近道。見習いメイドちゃんの家を物色する。でも特に目ぼしいモノはない気がするなぁ。

 ん……? 荷馬車に積まれているこの大量の袋はなんだろ?


 !


 !!


 白い粉!


 ……ペロッ。


 これは……、青酸カリ!?

 もしくは麻薬!?


 わからないけど、少なくても塩や小麦粉じゃないってことは味からわかる。閉鎖空間で起きている連続殺人事件現場で白い粉って怪しさ満点じゃん! ヤバいって!


 でもこの袋、私がお城でこの馬車に紛れ込んだときにも積んであったような……。

 ってことは犯人は見習いメイドちゃん!? お城から毒を運んできて故郷で連続殺人事件を起こしてるって言うの!?


 ヤバい。心臓バクバクしてきた。

 どうしてなの、見習いメイドちゃん。何をそんなに思い詰めて……。一言私に相談してくれたら良かったのに。


 いや、待て。まだ決まったワケじゃない。おちつけ私。序盤で犯人っぽい人は犯人じゃないのがセオリーなハズ。

 はい深呼吸。すぅ~、はぁ~。


 とりあえずこの怪しい粉は全部塩に変えてしまおう。これで犯人が次に毒殺を狙っても被害者はしょっぱくなるだけですむ。

 もし事件と無関係なら後で元に戻しておけば問題ないよね。安全策だよ安全策。備えあれば患いなし、先手必勝ってね。



 それから地図を出して青点と赤点を確認する。小さい村だから人はあんまり多くない。

 その点の場所に誰がいるか1つずつ確認していく。推理小説で重要なのは登場人物の把握なのだ。


 ……ダメだ。イカツ兄ちゃんはどこにもいない。

 地図上にプロットされてないってことは、この村にいないってことだ。この村にいないってことは、村を出たか、……この世にすらいないか。

 やっぱりイカツ兄ちゃんは殺されちゃったんだ……。私の予想通り、これは連続殺人事件だった。


 そうか! アリバイだ!

 アリバイを確認して見習いメイドちゃんの潔白を証明するんだよ!


 ……どうやって?


 わからない。


 よし、こうなったら次の犠牲者を見張って現行犯逮捕を目指そう。3ピー組の1人が殺されたってことは、次の犠牲者も3ピー組の可能性が高い。

 私はその2人、糸目さんとモッサリさんから目を離さなければ良いんだ。


 あれ?

 それって、それまでの私の行動と全く同じじゃない?

 まぁ、いっか。行動方針は確定した。


 で、次の殺人がいつ起こるかだけど……、ズバリ、今日のうちでしょう!


 だって1人目の犠牲者が一昨日発覚したんでしょ? で、2人目のイカツ兄ちゃん行方不明発覚が昨日。

 同じスパンで事件が起こるなら、そりゃもう今日に違いないって。1日に1人ずつ殺られていくんだ。


 よーし、糸目さん、モッサリさん、安心して!

 殺されないよう私がずっと見張っててあげるからね!


 そして私が犯人をとっ捕まえるのだ!



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― 新着の感想 ―
(◎_◎;)また余計なことを。
『彼に係ればどんな簡易な事件でも迷宮入りにしてしまう』と謳われた、『迷惑探偵イボ痔小五郎』にも、勝るとも劣らない大活躍。 「事件は会議で起こってるんじゃない。私が起こしてるんだ!」
妖精さん・・・取らないといけない責任がいっぱい
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