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小さな妖精に転生しました  作者: fe
八章 混迷
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329. 出でよ!

 おー、すご。こんな偶然ってあるんだねぇ。


 洞窟を通って森に戻ってからその洞窟をふさいだ後、なんとなく北に向かってみたんだよね。

 あの洞窟があった森はたぶんこの国の南東だったでしょ? 東と南は今年行ったし、北は去年行った。西だって何回か行ってる。


 ってことは、この国でまだ行ってないところって大雑把に分けると北東、北西、南西の3か所なんだよね。でも南西ってたぶん森しかない感じだった。んで、北西は遠すぎる。

 ってことで南東の森からそのまま北進してやってまいりました、北東地域。


 その途中、なんか雪の中でギリギリの3人組を見つけたんで、気付かれない程度に支援しながら付いてきたんだ。そしたらなんとビックリ、その3人組は見習いメイドちゃんが居る村に到着したってワケ。

 すごい偶然だねー。


 いやぁ、道中の3人はなかなか面白かった。

 口げんかが多いんだけど、でも魔物が出てくると息ピッタリ。

 この世界の(たたかい)って、めちゃくちゃ強いお酒マンとかムニムニとか、超魔法ぶっぱの鳥籠メイドさんとかばっか見てきたからさ。

 ザ・一般冒険者って感じの(たたかい)はなんか新鮮ですごく楽しめたよ。私にも理解できる感じの動きが2重マル。

 お酒マンなんてそもそも見えないもんね、速すぎて。


 で、この3人組。なぜこんな無茶して雪の中を進んでたかって言うと、どうも何かを必死で探してるらしいんだ。で、よくよく観察してみると、捜してるのがなんと妖精(わたし)ってね。思わず爆笑しちゃったよ。

 で、思ったんだ。捜してる対象がめちゃくちゃ近くにずっといるのに、いつまで気づかないのか。どうなれば気づくのか。そして気づいたときのリアクション、おもしろいこと間違いなしだって。


 ってことでまだまだ隠れてます。

 私は光ってるけど、雪空だからか上空にいれば良い感じに見えないっぽいんだよね。ビバ、雪景色!


 それからこの村。平原丘に点在する家々、ちいさなかわいらしい教会、ハロウィンのような領主館、こじんまりとまとまったミニ砦、まさにザ・長閑(のどか)って感じ。

 これだよこれこれ、私が求めてたカワイイ西洋風田舎風景! 求めてた理想はここにあったんだ!


 だけど問題もあるらしい。

 見習いメイドちゃんが塩がどうのこうのって村のみんなをなんか説得してまわってるっぽいんだよね。でも村の人たちはよくわかってないって感じ。


 たぶんだけど、見習いメイドちゃんは都会で満たされた生活に慣れすぎちゃったんだ。だから故郷の味気ない料理は口が合わなくなってしまった。それであんなに切実に塩味を求めてるんだね。

 だけど村のみんなは味の濃い料理なんて存在すら知らないに違いない。味を濃くするっていう概念すらないかも。で、一緒に王都からきた護衛の筋肉オバケが唯一の理解者になったってところか。

 なるほどなるほど。


 私はこの前塩コショウを出せたから、たぶん塩単体でも出せる。だけどそれじゃぁ、塩味に慣れちゃった村人が私がいなくなった後困るよね。たんにほいっと塩を出すだけじゃ根本問題は解決しないんだ。


 そしてここで、解決しないまま放置してた東の特産品の話。半年前に東側の貴族のトップだっていう筋肉(マッスル)ブルクさんに、この国東部の特産品を考えてって言われてたあの話だ。


 何の関係があるのかって?

 つまりこうだ。ここでなにか味の濃い特産品を産み出しちゃえば良いんだよ。北東地方のここだって東部地方の一部みたいなもんでしょ。

 よーし、地球の知識でスーパーエレガントでパーフェクトな特産品を作って、さすが叡智の妖精様ってまたみんなに褒めてもらおう。


 だけど私は前世の記憶があんまりない。全ての問題を解決できる特産品を考えろって言われても良い案は出てこないのだ。出るなら半年前に特産品問題は解決してたし。

 でも問題ないよ。知識がないのなら知識があるヤツに考えてもらえば良いのだって。


 ってことで、用意しましたのはこの回収したボードゲーム。

 おじゃーさんの話を信じるなら、このボードゲームに描いてある真ん中の紋章は魔王だって召喚できる超すごい召喚陣って話だ。ならアイツも呼べるハズ。


 やり方はよくわかんないけど、とりあえず魔力を込めてっと……。

 よしよし、まぁなんとかなるでしょ。あとは……、なんかそれっぽい呪文でも唱えておくか? うーんと、えーと……、ん、……よし、適当でいってみるか。


 ――出でよ! 我が忠実なる(しもべ)! ポチ!



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― 新着の感想 ―
また妖精さんが暴走してる…
うしろー!うしろー!が見られるのか
えっ、口から塩を出し続ける犬なのか!?
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